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2016年7月26日

WROの教員向けイベントで「ロボット&プログラミング教育」に触れる

WRO JAPANは、ロボットを使いプログラミングを学ぶ小中高生を指導する教員等向けイベント「科学技術におけるロボット教育シンポジウム」を、7月23日に東京・千代田区の科学技術館で開催した。教育現場や人材育成の場で実践されているロボットを活用した教育内容、手法等を紹介する催し。

「科学技術におけるロボット教育シンポジウム」

「科学技術におけるロボット教育シンポジウム」

事例発表として、プログラミング・ロボット教育を先進的に行っている学校や教育機関等の担当者が実践事例を発表した。帝塚山小学校 池田節校長と理科主任である吉川澄人教諭は、「小学校における全校的なプログラミング教育、およびロボット教育への取組みの可能性を探る」をテーマにした事例紹介を行った。

同校では2016年度から、3・4・5年生の児童を対象にプログラミング学習を導入。5年生にはロボット体験学習を実施した。また、土曜開講の「ロボット教室」では、WRO全国大会出場をめざし、低学年でも簡単なプログラミング・ロボット体験を実施している。こうした取り組みには、民間企業の協力や先進的な活動を行っている中学・高校との連携が不可欠、と池田校長は語った。また、児童4人に対して1人のメンターが必要で、そうした指導者の養成も大切だと感想を述べた。

Preferred Networksチーフアーキテクト奥田遼介氏による基調講演

Preferred Networksチーフアーキテクト奥田遼介氏による基調講演

CESでのデモの様子

CESでのデモの様子

基調講演では、Preferred Networksチーフアーキテクトの奥田遼介氏が「ロボットの機械学習・ディープラーニング活用事例」をテーマに、レゴを活用したデモンストレーションの事例等を紹介した。

同社は、企業と業務提携し、機械学習・ディープラーニングの技術を駆使して製造業の新たな手法等の提案を行うスタートアップ企業。2016年6月に米国・ラフベガスで開催された「CES 2016」ではロボット学習による自動走行のデモを、大手自動車メーカー、通信事業者と共同で行った。

奥田氏はこのデモについて、発展途上国でみられる信号のない交差点をたくさんの車が接触することなく、交差点を抜けていくといった状況を想定して始めたものだと説明。システムとしては、Webカメラの画像とPCをつなぎ、画像認識ソフト、シミュレーターと深層学習(Deep Learning)を活用して複数のロボットカーを走行させるというもの。車の行動としては、前方向・後方向への進行やブレーキなどいくつかを用意。取り付けられたセンサから得た情報をもとにしてどのような行動を取るべきかを選択する。

コースには、障害物が置いてあり、複数の車が移動する状況で、それぞれがぶつからないように移動する。車は、実際のボディを模したものを乗せているが、中身はレゴEV3が使われている。

このシステムのポイントは、あらかじめ制御規則を与えないということだと奥田氏は説明した。(1)コースにそって移動する、(2)他の車両や壁、障害物にぶつからないようにすることを目的に、それぞれ成功した場合は“報酬”、失敗した場合は“罰”を与えるというルールを基に機械が“Deep Learning”を行う。

レゴを使った利点として奥田氏は、安定して制御できることや、程よいバッテリー時間とパワーがある点を挙げた。動くデモはインパクトも強く、SESの会場でも注目を集めることができたという。

「We Do 2.0」

「We Do 2.0」

ワークショップの様子

ワークショップの様子

午後のワークショップでは「小学校低学年向けロボットを使ったプログラミング学習の可能性を探る」と題して、参加者がロボットキット「We Do 2.0」を実際に触って、プログラミング教育の一端を体験した。参加者は4~5人で一班ととなり、まずタブレット端末を見ながらWe Doの組み立てを行う。さらに、授業を構成する3つのプロセス手法を使って授業での課題提示やレゴの活用方法について話し合い、その後発表を行った。教える側にいる多くの参加者もワークショップに参加することで、普段とは違う新鮮な体験をしているといった様子が見受けられた。

WRO JAPANは、プログラム開発による自律型ロボットの競技会「第13回WRO JAPAN 決勝大会」を9月18日に開催する予定。このような大会を通じた児童・生徒へのプログラミング普及支援はもちろん、指導者へ技術体験の場を提供できるよう、今後も活動を続けていくとしている。

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