2018年5月18日
ICT教育を推進する先進自治体がEDIXに集結「首長サミット」
「第9回 教育ITソリューションEXPO (EDIX)」開催初日の16日、全国ICT教育首長協議会による「特別企画 首長サミット」が国際会議場で行われた。当日は、各地の自治体首長をはじめ、教育の最新動向やICT導入に関心を寄せる多くの教育関係者が詰めかけた。
開会宣言には、全国ICT教育首長協議会会長で、佐賀県多久市の市長である横尾俊彦氏が登壇。
「プログラミング教育やアクティブ・ラーニングなど、新たな教育のベースがスタートする2020年。その本来の目的をやり遂げるのに欠かせないのが、ICT機器、体制整備、人材確保などです。これらは基本的に各自治体に任せられていますが、1自治体でするにはとても苦慮するところ。そこで、全国の自治体同士が継続的に情報交換や切磋琢磨できるよう立ち上げたのが全国ICT教育首長協議会です」と同会の経緯を紹介した。現在118の自治体首長が参加している。
同会は、文部科学省へ「提言2017」を昨年7月に提出。横尾市長は「今年度のICT教育整備に関する地方交付税の交付金が1805億円になったことは活動成果の一つと勇気を得ています。今度は、自分たちが整備を推進していく立場。関係機関とともに協力や連携をしながら進めていきたい」と語った。
基調講演には、文部科学省 生涯学習政策局 情報教育課 梅村 研 課長が登壇。IoT・ビッグデータ・AIなどにより社会が大きく変化する第4次産業革命に向け、ICTを活用できる創造性に富んだ人材の育成が急務とし、教育の情報化の一層の推進の必要性を語った。
梅村氏は、学校のICT環境整備は年々進展するも、目標値には遠く地域差が顕著になっていること、また、教育用コンピュータ1台あたりの児童生徒数は目標3.6人/台に対し5.9人/台、普通教室の無線LAN整備率は目標100%に対し29.6%であることなどを解説。その上で、学校の普通教室におけるICT環境整備のステップとして考えられている4段階のうち「Stage3(大型提示装置+授業展開に応じて必要な時に1人1台+無線LAN)」の環境整備が早急に必要だと説明した。梅村氏は、「2020年度からの新学習指導要領の全面実施に向け、各自治体において学校のICT環境整備にかかる経費を予算化し、整備を進めていくことが喫緊の課題です」と呼びかけた。
また、「お願いしたいこと」として、(1)学校のICT環境整備計画を策定していない自治体・教育委員会における早期の策定、(2)3クラスに1クラス分の学習者PCや普通教室等への無線LAN等の整備、(3)校内研修の充実等を通じた、授業中にICTを活用して指導することができる教員100%の実現、の3つを具体的に挙げた。
基調講演の後は「シンポジウム」が開催された。信州大学の東原義訓教授をコーディネーターに迎え、ICT教育を推進する先進10自治体首長が「教育ICT化に向けた環境整備5か年計画」と題し、地方財政措置をいかに自治体で実行するかについて、その方針や目標などさまざまな意見を交わした。
その中で、横尾市長は、首長自らが教育ICT環境整備を進める「ICT首長 Action Plan」を説明。「あえてチャレンジします」と付け加えた。そこには「首長が動く」「首長が国と動く」「首長が産学と動く」をキーワードに、それぞれどのように取り組んでいくか具体的な考え方が提示された。
その後、首長らは場所を展示会場へと移し「視察ツアー」を行った。
最先端のICT機器やコンテンツなどを展示する企業ブースをまわり、プログラミング教材や電子黒板、タブレットを使ったアクティブ・ラーニングなどを実際に体験した。
IoT・AI時代に向けて驚くような速度で社会が変化を遂げている。これまでに誰も経験したことのないイノベーションを生み出す時代に、子どもたちが心地よく羽ばたけるように応援していこうという首長がこの日集まった。冒頭の開会宣言の中で横尾市長は、2020年は新しい変化の節目の年、教育改革が具体的な大きな一歩となる年としつつ、ある意味危機感を持っているとも話した。
児童生徒の学び方にとっても、教職員の働き方にとっても、繰り返しになるが、ICT教育環境の整備は急務だ。都道府県あるいは市区町村をあげて教育の充実に対するコンセンサスを大切に、新しい時代を見据えてICT化に積極的に取り組んでいく必要がある。それを自治体のトップが先導する意義が大きいことは言わずもがなだろう。
すでに取り組んでいる自治体はもちろん、これからはじめる自治体にこそ、ICT教育の最新動向にどんどん触れてほしい。
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