2019年3月14日
東京立正中高、一人ひとりの習熟度に合わせた 質の高い家庭学習を提供
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東京立正中学校・高等学校(東京都杉並区)は、仏教の精神を重んじる伝統ある学校だ。教育活動においては「文部両道」(※部の字は部活動を指す)を重んじ、人間力を磨く部活動と学力の向上に力を入れる。2018年度の高校1年生からはタブレットによる1人1台も実施し、学習の効率化や家庭学習の充実にも取り組む。
「すらら」で家庭学習の充実を図り、部活動の時間を確保したい
東京立正中学校・高等学校では、2014 年度から「すらら」を導入し、中学1年から高校2年までが学習している。その経緯について同校の澤田幸雄校長は「大学進学のためには放課後の補習が必要ですが、本校は文部両道を重視しているため、放課後はできる限り部活動に専念してほしいと考えています。そのためICTを活用し、家庭学習の質を高めることで学力の向上をめざしたいと考えました」と語る。
その結果、部活動で忙しい生徒たちでも短時間で取り組める学習教材として、すららの導入を決定。澤田校長は「すららは、教科書の内容や基礎知識をアニメーションで理解できるのが良いと思いました。忙しい生徒たちが、動画を見ながら家庭学習に取り組むのはむずかしいですが、アニメーションであれば短時間で学習を進められますからね」と語る。また、すららは学んだ内容を確認するテストがついていたり、基本的な内容を繰り返して学べる構成である点も良いと同校長は話してくれた。すららでは、生徒が問題を間違った場合も、ひとつ前の問題に戻って学習を見直すことができるため、一人で学習を進めながら、内容の定着を図ることがメリットだというのだ。
クラス全員が予習を済ませる反転授業で、授業中の活動に変化
東京立正中学校・高等学校では、どのようにすららを活用しているのか。難関私立大学をめざすアドバンストコースの高1英語の授業を紹介しよう。
同授業を受け持つ多田恵理子 副校長は、すららを活用して反転授業を行っている。このコースは、上位層に合わせたレベルの授業が求められているが、クラス内の学力差が大きく、下位層の学力引き上げが課題であった。一方で、家庭学習の習慣が定着している生徒ばかりではないため、まずは家庭学習の充実をめざして、すららの活用を始めたという。
具体的な反転授業の流れは、こうだ。生徒たちは、1週目にすららを使って家庭学習で予習を行い、与えられた範囲まで学習を進める。その翌週の授業では、予習した内容の演習問題に取り組み、理解を定着させながら、同時に新しい範囲の予習を家庭学習で進めておく。このパターンを繰り返しながら、基礎知識の習得は家庭学習で行い、授業では演習やプレゼンテーションなど、より実践的な学習に取り組むというわけだ。
すららを活用した予習は、短時間で効率よく取り組めるのがメリットだ。生徒たちは、レクチャー画面で文法の説明をアニメーションで学んだ後、理解度を確認するためにドリルに取り組む。このドリルは、難易度コントロール機能により、個々の習熟度に応じた問題が提示される仕組みで、英語が苦手な生徒にはヒントを与えたりもする。もちろん、生徒たちの進捗状況や学習結果は多田副校長にも共有され、授業が始まる前に生徒たちがどれくらい理解しているのかも把握できる。
このような形で、全員がすららで予習を済ませてから授業に入る。授業では演習問題を解いたりすることが多いが、仮定法の単元ではプレゼンテーションが行われた。生徒たちは、「If I were~(もし私が〜だったなら)」や「as if ~were~(まるで〜が、〜であるかのように)」といった予習で学んだ知識を活用し、オリジナルの英作文をつくって発表し合った。
多田副校長は反転授業について、「今までの授業では、教科書の内容を教えるだけで精一杯でしたが、今は全員が予習をしているので、その分の時間をプレゼンテーションや協働学習などに活用できるようになりました」と語る。授業中も余裕が生まれ、映画の中の英会話や英語の絵本を紹介したり、出生率のグラフを見ながら、日本の少子化の原因を考えたりと、新しい活動が取り入れられるようになったというのだ。副校長はまた、「分詞構文や仮定法などを学んでも、”こんなの役に立つの?“と思ってしまう生徒はいます。そうした生徒たちに対して、英語が日常生活と結びついていると授業で見せられるようになったことも良いと思います」と語ってくれた。
学習内容の定着を大事にする「すらら」の教材で、模試の偏差値がアップ
多田副校長が実践しているすららを活用した反転授業では、実際の模試でも偏差値アップの成果が出ている。すららを導入した2014年度は、7カ月間の学習でクラス平均偏差値が1.5も向上した。なかでも、当初の課題であった下位層の学力向上については、2014年度の同じ模試で、偏差値50以上の生徒が28%から52%に増えた。すららによる反転授業で、授業中に演習問題やプレゼンテーションなどに取り組み、学んだ英語をアウトプットする機会が増えたことも一因だといえる。
多田副校長は、「すららの教材は、間違った問題を繰り返し解いたり、英文を3回書いてみようと手書きの問題もあったりと、知識の定着を疎かにしていないところが良いと思います。生徒たちが作る英作文のレベルも上がってきました」と手応えを語る。一般的に反転授業といえば、教師による動画制作や教材の準備など手間がかかるイメージもあるが、すららの場合はすべての単元でアニメーションのレクチャー画面があり、教師の負担が少ないこともメリットだという。実際の活用では、「予習の進捗が遅れている生徒に、担任から言葉がけをしてもらうなどフォローは必要ですが、準備で大変なことは一切ありません」と多田副校長は語る。
東京立正中学校・高等学校の澤田校長も、反転授業には手応えを感じている。同校長は「いま求められている『主体的・対話的で深い学び』の実現につながると考えています。反転授業はアドバンストクラスの取り組みだが、今後は他のクラスにも広げていきたい」と抱負を語ってくれた。中学1年から高校2年でのすららの活用を通じて、同校では「個」に合わせた学びを実現していきたい考えだ。
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