2019年6月21日
独自のカリキュラム「岡崎市プログラミング学習」を市内全小学校で実施
愛知県岡崎市教育委員会では、本年度から独自のカリキュラム「岡崎市プログラミング学習」を市内全小学校で実施している。6年間で8教科24単元の系統的なプログラミング学習に取り組むことにより、全ての子どもたちにコンピュータを活用するための論理的思考力や情報活用能力を育成するもの。学習指導案や教材プログラムなどの「授業づくり4点セット」を準備するなど、きめ細かな手立てを講じることにより、市内の全ての教員が見通しをもって指導できる体制を整えているという。
【投稿】
愛知県岡崎市教育委員会 川本 祐二
「岡崎市プログラミング学習」は、子どもと教員の両者の視点に立ち、全市的に一様かつ円滑に取り組むことができるよう、きめ細かな手立てを講じて作られた独自のカリキュラムです。次の3点について、新しい工夫を盛り込んだ全市的な実施は、全国的に見ても先進的な取組と考えております。
1点目は、1年生から6年生までの全学年で、子供の発達段階に合わせ、各教科の特性に合わせて系統的なカリキュラムを構築した点です。新学習指導要領の趣旨に沿い、各教科の学びを確かなものにするねらいのもと、既存の単元にプログラミングの活動を無理なく取り入れた24の授業モデルで構成されています。
一つの例を紹介します。5年生理科の「電磁石の性質」の単元では、磁力を表示させるプログラムを組んで、マイクロビット(micro:bit)という小型の電子ボードに命令し、電磁石の強さを数値として計測します。従来のようにクリップを何個つるすことができるかという実験とともに、定量的に計測する活動を行うことにより、科学的な学びに加えてプログラミングのよさを実感することができます。
さらに、プレゼン作成や音楽の旋律づくり、動画編集など、より幅の広いプログラミングの活動を取り入れている点も大きな特長です。コンピュータを通じて創作する多様な経験を積むことにより、新学習指導要領において「学習の基盤となる資質能力」として重視されている情報活用能力の育成を見据えたカリキュラムになっています。
2点目は、プログラミングの指導が堪能でない教員でも指導に困ることがないよう、独自に作成した「学習指導案」、「ワークシート」、「教材プログラム」、「操作説明動画」の「授業づくり4点セット」が準備されている点です。プログラミングの授業のイメージが明確になっていない現状において、これらの4点セットを使用することにより、全ての教員が見通しをもって指導できます。
例えば、教員が授業づくりをするにあたり、学習指導案をもとに授業の目標や展開をつかんだ上で、操作説明動画を見て、ソフトや機器の具体的な操作方法を把握します。子供たちが学習する際には、まずワークシートでコンピュータにどのような命令をさせるかを考えた上で、授業に最適化して作られた教材プログラムを利用してプログラミングの活動を行えるようになっています。
3点目は、全市一斉の必修化を実現するための研修体制とICT環境を整えている点です。まず、岡崎市全体の指導的立場にある学習情報指導員が、本年度一年間で全小学校を訪問し、指導や助言をします。授業後の協議会では、同じく授業を参観した校内の教員同士でプログラミング学習のねらいや指導のポイントなどについて理解を深めます。
また、多様なプログラミングの活動を実現するため、岡崎市には充実したICT環境が整備されています。昨年度の段階で、プログラミング学習の開始を見越して、iPadやパソコン教室等の整備を完了しており、プログラミング関連のソフトやアプリが豊富に準備されています。このように岡崎市の子供たちは、最新のICT環境を最大限に生かして、プログラミング学習に取り組むことができます。
以上のように、今後も岡崎市では、プログラミング学習を中心としたICT教育を推進し、情報活用能力を育成して、Society5.0とも呼ばれる高度に情報化されたスマート社会で自己実現できる子供を育てていきます。
問い合わせ先
岡崎市教育委員会事務局総務課学校情報係
電話:0564‐23‐6420
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