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2019年9月27日

わせがく高校、学習習慣の定着と学びの動機づけに「すらら」を活用

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わせがく高等学校は、早稲田予備校を運営する早稲田学園が2003年4月に開校した通学型の単位制・通信制の学校。首都圏に12キャンパスを有し、全校で約1300名の生徒が在籍する。学習スタイルは、全日型(週5日制)、通学型(週2日制)、自学型(フレックス通学制)、自学型(通信制)がある。

「すらら」を利用した全日制の授業風景

同校の丸山昌利教頭は、「生徒には登校して基本的な生活習慣を身につけてもらいつつ、学習・進路指導を徹底的に行っています」と学校の特長を語る。中学で不登校だった生徒や高校に入学したものの進路変更してくる生徒など、入学理由はさまざまだ。

生徒の学力の保証に「すらら」を有効活用

群馬県太田市にある太田キャンパスでは2014年10月に「すらら」を導入した。丸山教頭は、「多様な生徒が在籍するため学力の幅がとてもあります。中学校の総復習が必要な生徒もいれば、進学校から入学して学力が高い生徒もいます。太田キャンパスの当時の教師は6名、生徒は80名程度。その中でどのように生徒の学力を保証していくかが課題でした」と振り返る。

「すらら」導入の経緯を語る丸山教頭

さまざまなデジタル教材を検討した結果、偏差値レベルや学習方法など「すらら」のコンセプトが同校の生徒の層と合致すること、使いやすそうなことも導入の決め手となった。太田キャンパンスでは、国語・英語・数学の3教科で全日型とフレックス制の生徒が「すらら」で学習をしている。昨年度は授業の中で「すらら」を使っていたが、今年度は授業では主に紙の教材を使い、家庭での宿題に「すらら」を活用。さらに、独自の取り組みとして「わせがく太田すららカップ」を実施したという。

「わせがく太田すららカップ」で見えてきた生徒への新たなアプローチ

太田キャンパスでは「DCプロジェクト」と名付けた取り組みを推進している。「D」や「C」はベネッセ社提供の基礎学力試験などの成績をもとに学習到達ゾーンのランクを表す。最上位の「S1+」から順に「D3-」まで。「D3-」は基礎学力が定着していない状況で、進路を決定して行く上でも特に学力の下支えが必要なランクだという。高橋翼教諭は、「今年度はそのレベルに値する生徒が多く、なんとか『C』までランクアップしようというプロジェクト。基礎学力の向上に実践したのが『わせがく太田すららカップ』です」と説明する。すららネットによる本家本元の「すららカップ」を独自に取り入れた形だ。

「わせがく太田すららカップ」の成果を語る高橋教諭

「すららカップ」とは、期間中2カ月間の「総学習時間」や「総学習ユニット数」で、学年やエリアを問わず、すべての「すらら」利用者同士が競い合う大会。成績や偏差値といった結果での評価ではなく、勉強した時間や量など、重ねた「努力」を評価するというもの。

同キャンパスでは、各学年内で「総学習時間」の各学年次上位2名を表彰するという内容で、今年6~7月の1カ月間で実施。太田の生徒たちだけで行うため、相手が見えやすく競争のしやすさもあり、結果、全体として生徒の学習時間が増加する成果が得られたという。

「すらら」での学習風景

生徒のやる気はもちろん、褒賞があると動機づけになるのか、ならないのか、生徒の学力を伸ばす方法を探るための意図もあったと丸山教頭は説明する。それをもとに、教師が生徒への働きかけを変えていくきっかけが作れたらという思いもあったという。須藤泰希教諭は「『わせがく太田すららカップ』をしたことで、学力というより、学習習慣ができている生徒とできていない生徒がわかり、できていない生徒へのアプローチをどうするか考えるようになりました」。高橋教諭も「学習習慣をいかに定着させていくか、声かけの仕方に工夫の必要を感じました」と続ける。

「すらら」での学習を重ねることで生徒の意欲にも変化が表れた。夏休みなどの長期休暇で宿題の達成感を得られた生徒が、日頃からもっと宿題を出してほしいと申し出たり、受験科目など自分に足りない部分の課題がほしいと伝えてきたりと積極性が出てきたという。

ICTならではメリット、紙の宿題ではわからなかったこと

丸山教頭がある日帰宅してPCを開いたときのこと。「『すらら』にログインし勉強している生徒がいることがわかるので、メッセージ機能を使ってその生徒にメッセージを送ったところ、生徒はそれが嬉しかったらしく、翌日私のところにその画面の写メを見せに来たんです。先生ずっと見てくれていたんですねと。生徒の頑張りをこうやってリアルタイムにフィードバックできるのはICTならでは。授業以外でも生徒とつながりを持てるのはいいですね」と、生徒とのエピソードを明かしてくれた。

また、ICT活用のメリットについて丸山教頭は、「国・英・数と『すらら』を使ってこう学習させようという授業の組み立て・全体のデザインがしやすくなりました。『すらら』というツールを通じて、授業の均質化や学びの質の担保、学力の保証がよりできるようになってきたと感じます」と手応えを語る。さらに、宿題づくりの面でも「すらら」なら配信にかかる手間はものの数秒。採点は自動で、苦手判定も出るため教材作成が楽になったという。常日頃忙しい教師たちの作業負荷の軽減を実感している様子だ。

生徒の生活習慣も見えるようになったという須藤教諭

須藤教諭は、学習データが残ることに大きなメリットを感じている。「紙でも保存はできますが物理的に膨大、何十人と生徒を抱えて一人ひとり管理していくとなると紛失のリスクもあります。『すらら』であればさまざまなデータが残るうえ、ログイン時間などもわかるので、いつどのくらい勉強していたのか生徒の学習傾向の管理もしやすいです」と、紙の宿題からはわからない生徒の一面を知ることができる良さも挙げた。たとえば夜中の2時に宿題をしていた生徒には「大丈夫?」と声掛けしてみたり、三者面談で話題にしたり、生活習慣の面でも指導に役立てられるという。

ほかにも、動画を見てから問題に取りかかるきっちりタイプか、いきなり回答するせっかちなタイプか、「すらら」の使い方でその生徒の特性もつかめるという。全部見ないと気が済まず次に動けないような生徒であれば、それでは時間が足りなくなるよとか、反対にとてもせっかちで簡単なところを間違える生徒なら、試験ではそれが致命的なミスになるから焦らずゆっくり問題を読んでごらんといったように、細やかなアドバイスもできる。生徒自身もおそらく気づいていない自分の「クセ」。こうした指摘はそれを見直す良い機会にもなるだろう。

「すらら」を使って学習の動機づけを図る

現在、同校では、13インチのタブレット一体型ノートPCを全キャンパスで約400台所有。太田キャンパスでは35台を使用しており、1学級で1人1台使える環境だ。校舎のフロアごとにWi-Fiを設置し各教室でネット接続ができる。「すらら」で家庭学習をする際は、自宅のPCを使用してもらっている。PCがない生徒は放課後に残って学校で済ませたり、スマホで行ったりしているという。

「すらら」導入から5年。大きな成果が出ている。英語では、中学校で不登校だった生徒が「すらら」だけの学習で英検準2級まで取得(面接指導はALT)。また、数学が全くできず苦手、授業も出たくないという不登校経験者の新入生が「すらら」で一からはじめたところ2年生の冬にはクラストップになった。もともと学力が高い生徒たちにも成績の向上が見られるという。

今後の目標を尋ねると丸山教頭は、「まず、大学入試改革が喫緊なので生徒にはそれに対応できる学力を身につけてもらいたい。そして、生徒にはやり切る力を身につけさせてあげたい。そのツールとして今は『すらら』がベストだと思っています。与えられたもの、与えられていなくても自分で必要だと思ったら自発的に取り組める力を養ってほしいです。そのための仕組みを、私たちは常に見直し更新しながら継続していきたいと思います」と力を込めた。「すらら」の活用でさらなる学習習慣の定着と学力向上を目指す。

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