2020年11月16日
「すらら」で不登校時代を挽回、劇的な大躍進でオール5を達成/わせがく高等学校
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わせがく高等学校は、早稲田学園が2003年に開校した通学型の単位制・通信制の学校。首都圏に12キャンパスを有する。2011年に開設された太田キャンパス(群馬県太田市)では、2014年10月から「すらら」を導入。同キャンパスに、「すらら」との出会いをきっかけに、目覚ましい成長を遂げた生徒がいた。
今春卒業し、現在は、東京福祉大学心理学部1年生の大島 響(ひびき)さんだ。高校在学時の「すらら」を活用した学習について、大島さんと当時の様子を知る高橋 翼教諭に話をきいた。
苦手な勉強。転機が訪れた高校2年
太田キャンパスは、全日型(週5日制)、全日型(週5日制・午前)、フレックス通学型、自学型(通信制)の4つの学習スタイルがある。「すらら」は、国語、英語、数学の3教科を全日型とフレックス通学型で取り入れている。当時、大島さんは週5日制の全日型に所属していた。
中学時代は不登校。小学校も5年生頃からあまり登校はしなかったという。わせがく高等学校へは、中学時代、不登校生徒向けの適応教室の学長先生から教えてもらいオープンキャンパスへ行ったことを機に志願。2017年に入学した。しかし、1年生の夏を過ぎた頃から数学と英語の授業に出なくなったという。その理由を、「授業についていけず、もともと数学と英語に興味がなかったから」と吐露する。
ところが、2年生になると大きな変化が訪れた。高橋教諭は当時の大島さんの様子を、「彼が2年生の時に数学の担当になりました。1年生では授業に出たくないと言っていたのに、2年生になったらフリースペースで勉強するようになっていました。授業にも出るようになり、投げかけた質問にも答えてくれて。英語でもそうだったと思いますが、誰も答えられないけれど響(大島さん)に聞くとすぐに答えられるようになっていました。2年生の後期ぐらいからです」と振り返る。
勉強のハードルを下げた「すらら」、表れた数々の成果
一変した大島さん。快進撃のはじまりだった。勉強への取り組みが大きく変わっていった背景に何があったのか。大島さんはそのきっかけを、「2年生になって具体的に進路を考え出して、そこで行動しなきゃと思いました」と打ち明ける。臨床心理士になろうと思った。それには勉強して大学へ行かなければと気づいた。将来を見据えた時、自分にとって今必要なこと。出した結論が「行動」だった。そして、その「行動」をサポートし、大島さんの学習意欲と成績向上を加速度的に後押ししたのが「すらら」だった。
「すらら」は対話型アニメーションを使った無学年式のオンライン教材。同キャンパスでは、授業後、その練習問題として「すらら」でドリルを行う反復学習に活用している。家庭学習も同様に習った単元を「すらら」で復習するという取り入れ方だ。
大島さんは「すらら」で中学校の総復習から開始した。「パソコンを使って勉強する感覚がなかったので、こんなことができるんだなと。やってみると、中学時代の勉強は説明をちゃんと聞けば『できるな』と思いました。高校レベルになると難しいなと。でも『すらら』なら、説明を繰り返し聞けて、今までやったレッスンが履歴でわかるのでこれだけやったんだと振り返ることもできる、進み具合が自分でわかるので勉強しやすかったです」。
教科書は勉強という感じがどうしてもありなかなかやる気になれなかったが、「すらら」だとその感覚が薄れたという。「すらら」はキャラクターによる対話型のレクチャーで根本的な考え方が学べ、学習を飽きさせない設計が施されている。ゲーム感覚で取り組める親しみやすさが「勉強」へのハードルを下げ、学習意欲の喚起につながったようだ。
ICTならではの良さもあった。「苦手なところは何回も学習しました。ICTだからできたと思います。先生に何回も間違いを言われるとかなりきつかったと思いますが、“機械”に指摘されるのであまりそうは感じません」。心的な負担も減って気楽に学習できた一方で、「『すらら』はドリルもテストも制限時間が早いと感じました。時間が過ぎるとまた最初からその問題の繰り返しになってしまって。問題は解けるのに間に合わない、でも制限時間のおかげで集中力がつきました(笑)」。
中学時代にさかのぼって勉強の遅れを挽回し、高校の範囲もレベルアップしていくうちに、もっと先に進みたい思いも出てきた。「すらら」で先取り学習をしたり、先生に問題をもらったりしたという。はずみがついた大島さんは自身の変化にも気づく。「興味がなかった英語が好きになっていてけっこう勉強しました。意外にできるなと」。
高橋教諭は当時の学習の進め方について、「(大島さんの)この学年では大学進学したいという生徒たちが何名かいました。そこでレギュラーの『すらら』の課題のほかに、プラスアルファで大学進学向けの学習も取り入れました。例えば、同校では『数1』や『数A』を先に進めたり、英語についても3年でやる範囲を早めにやったり。それもだいたい2年の夏休み明けでした」。
大島さんの変化は成績アップのみならず、多方面の活動にも開花する。「1年生からの彼の変化を見ると、所属していた陸上部やボランティアなど勉強以外でも積極的になりました。学級委員長をしたり、農業体験などいろいろあるのですが、みんなを代表して挨拶をしたり」。大島さん自身は心境の変化を、「年齢的なものだったり、学校に慣れたことだったり。誰かがやらなきゃという思いから」だったと語る。成績アップがもたらした自信が、まさに「行動」を次々と体現していった。
夢中になれた「わせがく太田すららカップ」
大島さんの学力向上の背景にはもう一つ大きな要因がある。同キャンパスが独自に取り組んでいる「わせがく太田すららカップ」だ。すららネットが開催している本家「すららカップ」のわせがく版。「すららカップ」とは、期間中2ヵ月間の「総学習時間」や「総学習ユニット数」で、学年やエリアを問わず「すらら」利用者同士が競い合う大会。「わせがく太田すららカップ」は校内の生徒同士で競い合う。ライバルはクラスメイトのため相手の顔が見えやすいのが特長だ。
大島さんは、「最終的に順位が出るので夢中でやれました」と話す。「すららカップの時はみんな出し抜こうとしましたね。休み時間にしゃべっていると違う子は『すらら』をこっそりやっていたり。それを取り返すみたいな(笑)」。みんなで切磋琢磨。日々競い合うことで「より差をつけたい」気持ちが自然とわいてきた。しかし、あくまで無理のない範囲で、自分のペースでやっていたという。
みるみる学力は向上。大島さんは最終的に「オール5」の成績を獲得するまでに登りつめた。
「すらら」の効果的な活用と生徒が取り組みやすい環境づくりに徹してきた先生の功績ももちろん大きい。「すらら」を活用して6年。今だから見えてきた課題もある。「彼みたいに『すらら』を継続できるのは、使い方を理解して成果を感じられた生徒。そこまでたどり着かない生徒へのアプローチはなかなか難しい。我々教員の声掛けの差、意識の差も改善を感じます。太田キャンパスは導入して長いので先生たちの理解も深いですが、今後は他校舎との連携をできればというところです」と高橋教諭。今年はクラス対抗ですららカップを実施。これまで「すらら」に取り組んでいなかった層の生徒たちも、個人戦とは異なりクラス対抗のため盛り上がっているという。
中学生の頃は大学に行けると全く思っていなかったいう大島さん。中学生の自分に声をかけてあげるとしたら?という問いに、「『勉強しとけよ』です。5教科を勉強するのはたぶん高校が最後なのでその知識は身につけておいて無駄じゃないと」。そして、現在の夢は「大学院への進学」だ。「臨床心理士になりたいです。そのためにまず心理学。自分の経験を活かせるかなと、スクールカウンセラーとかですね」と定めた目標を真っすぐに語った。
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