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2019年11月5日

SB C&S、教育者がワクワクを体験「iPadでオトナのCreativityを解放しよう」

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SB C&Sは26日、「iPadでオトナのCreativityを解放しよう ~学校×iPadワークショップ~」を東京・ベルサール九段で開催した。会場には全国各地から、教員、教育委員会、学校関係者などが集まり、iPadを使って「創造」に焦点を当てた2つのワークショップを体験した。

冒頭に登壇したのは、小学校教諭や大分県教育委員会 情報化推進班 指導主事などを経て、現在は株式会社Doitの代表取締役を務める土井敏裕氏。加速度センサー付きのサッカーボールや鉛筆など、モノがインターネットにつながりはじめているIoTを例に、ビッグデータを使い自分たちで仕事やサービスを創造する時代が到来していることを説いた。

「知る」と「創る」の循環を語る土井氏

土井氏は、総務省が制作した近未来を描いた映像や経済産業省が提示する「未来の教室」ビジョンの3つの柱、文部科学省が提示する「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」などの概要を紹介したうえで、「学校は単に知識を伝達する場ではなく、人と人との関わり合いの中で、人間としての強みを伸ばしながら、人生や社会を見据えて学び合う場。子どもの力を最大限に引き出す学びを実現するために、ICTを基盤とした先端技術を活用することは、教師本来の活動を置き換えるものではなく、支援・強化していくものです」と解説した。

また、科学、技術、ものづくり、芸術、数学の5つの領域を重視する教育方針であるSTEAMについては、「科学技術を活用するだけでなく『作れる人材』、科学技術の理解を深め『新しいものを生み出す力を養う』ということ。文系・理系に関わらず様々な学問分野の知識に横糸を通して編み込み、『知る』と『創る』を循環させ新たな知を構築する学びです」と論じ、さらに、Society 5.0時代の教育においては、「対話や協働を通じて知識やアイディアを共有し、新しい解や納得解を生み出す」点に注目していると語った。

カメラアプリの課題に取り組む参加者

続いて、1つ目のワークショップが行われた。Apple Professional Learning基礎インストラクターであるSB C&S ICT事業本部 EM本部 エデュケーションICT推進室の榎田芳美氏と牧野美希氏によるBasic編「iPadOSの基本操作を学ぶ」。

参加者は4人1グループになり、「カメラアプリ」を活用した課題に取り組んだ。グループでリーダーになった人が「Book」から「課題」を開くと、早速、写真や動画撮影に取りかかった。その後、はじめて知った機能などを1人1つずつグループ内で発言していく。

それぞれ担当した機能の使い方を教え合う

次に、ジグソー法によるエキスパート活動。各メンバーが1つずつ課題を選び、他のメンバーに説明する。「ジェスチャー」「メモ」「アクセシビリティ」「コントロールセンター」といった機能の使い方をまずはペアで確認し合い、その後、別のメンバーに1分間でプレゼンする。最後に、新たな発見や活用例などメモアプリを使って個人でまとめ、リーダーにAirDropで送信、グループでディスカッションを行った。作業の随所にアプリ機能を使う指示が散りばめられ、参加者にとっては基本操作の発見は多く、またペアやグループでの関わり合いによって知見が広がる時間になったようだ。

次に、2つ目のワークショップ。グループを新しく再編し、土井氏によるCreative編「Creativeを解放する」が行われた。「あなたにとって“Creativity”とはなんですか?」そんな問いかけからはじまった。

1枚の写真からクリエイティブを楽しむ

ここでのお題は「俳句or詩を作ってチームで動画にしよう」。手順は、「書式設定」、「写真を決める(Safari、iPhoneなどから)」、「俳句・詩を手書きする」、「手書きにアニメーションをつける(線描画)」、「動画にする」。個人から協働作業につなげ、最後にはコンテンツを共有し、グループで1つの動画作品に仕上げていく。

思い思いの写真を選定し、手書きで俳句や詩を書き添える個人ワークでは黙々と夢中な表情の参加者。しかし1台のiPadに集約する作業の頃には、笑い声やどよめきが沸くなど完全に楽しむモードに。写真、動画、文字、音楽など素材を取り込んで編集しClipsで作品をまとめた。

プレゼン回数が増すだけ伝える力も上がる

最後に、仕上げた作品を全員で共有。グループの代表者が各テーブルを順にまわり、解説を交えながら作品をプレゼンした。土井氏は、「全員の前で大画面を使って発表するのに抵抗があっても3~4人の前でなら結構できるもの。またテーブルをまわるごとに1回目より10回目はプレゼン力が上がっているはずです」と、この手法の利点を添えた。

ワークショップを振り返り、参加者からは、「Clipsで校内の30秒CMづくりができそう」「書くことが苦手な生徒も動画を使った発表で思考が整理されて、書くことができるのではないか」といった声が上がった。教育活動や授業現場でのアイディアやイメージの感触を得た様子だ。

最後に土井氏は、ICTを活用した授業改善は「課題の質を高める」ことがポイントだとし、「情報活用能力の育成」「協働的な学び」「PBL 課題解決型学習」などここまで考えてはじめてICT活用であると強調。その具体的な考え方として「SAMR model」を紹介した。Substitute(代用)、Augmentation(増強)、Modification(変容)、Redefinition(再定義)の4つの段階があり、前半2つが「強化」を、後半2つが「変革」を示し、下から順に上がっていく構図だ。「強化」と「変革」の壁が最も大きく難しいという。

最終的に辿り着きたいのがRedefinition(再定義)。生徒にいかに考えさせることが大事かという本質に気づき、空間や時間にとらわれない授業を再設計する。つまり、生徒たちの主体的な学びの支援が教員の仕事だと定義し、先生が”作る”授業から、生徒が自ら”作る・学びあう”授業にする。「それが今日ワークショップでやったような授業です」と土井氏。「iPadはただ答えを書いて提出する道具ではなく、可能性を引き出す自己表現のツール。クリエイティブとは何か? 私は『0→1』だと考えています。それは人にしかできない。今日皆さんは何もないところから創造してシェアをしました。創りだす面白さ、そういう体験を、1人1人のワクワクの持続を、学校でどうできるかが勝負ではないでしょうか」と結んだ。

SB C&S エデュケーションICT推進室 熊田 氏

主催したSB C&S株式会社エデュケーションICT推進室の熊田氏は、本イベントを開催した意図について以下のように述べている。「従来の一般的なイベントですと、講演や多くの出展ブースが並び、参加者が多くの情報に触れられる機会となる一方で、参加者が自ら何かを体感したり気づきを得たり、活用イメージを持つ場としては難しい側面があると感じていました。今回私達は、全ての参加者が主体的且つ同志的にワークショップに参加頂き、1つずつのテーマを集まった仲間で徹底的に体感し享受し合うことで、iPadの活用イメージをより身近に感じて頂き、イベントを通して自身の体験から得られた『やれる、やってみよう』という気持ちをお持ち帰りいただく様な内容にしたいという想いから開催しました。また、私たちは今回のような体感型ワークショップは現場の教員向け研修としても必要であると考えており、本イベントが少しでもそのきっかけとなることを期待しています。」

ICT活用は学びを「強化」するものから「変革」するものへ。生徒が思考し、新しいものを生み出す力を養えるよう、先生や学校の「授業を再設計する力」が問われそうだ。

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