1. トップ
  2. ICT活用レポート
  3. 『なりたい自分に出会える塾』ICT活用が実現する「主体的な進路選択」

2020年4月5日

『なりたい自分に出会える塾』ICT活用が実現する「主体的な進路選択」

学習塾C.school 副塾長 関屋雄真

『なりたい自分に出会える塾』、私たちの学習塾C.schoolが掲げるコンセプトです。

学習塾 「C.school」の教室内

多くの中学生たちにとって「初めての大きな意思決定の機会」となる高校受験。ただ周りの誰かに薦められた高校を目指すのでなく、自分自身が本当に行きたいと思う高校と出会い、その目標に向かって本気で取り組むこと。受験を通して、中学生たちが主体的な進路選択を実現すること。「受験」を手段に、「なりたい自分を実現する力」を身に着けてほしいと考えている。

当塾は、ありがたいことに2019年の5月に開業してから初年度のうちに計43名の子どもたちが入塾を決めてくれた。日々の学習は「すらら」や「Monoxer」といったコンテンツの力を借りて進めている。決してまだ十分に長いとはいえないが、開業からこれまでの期間を通して見えてきた、私たち目線での「ICT活用をベースとした塾のあり方」について書かせていただく。

C.schoolの成り立ち

関屋副塾長(左)と風間塾長(右)

C.schoolは現在、塾長の風間 亮と私(関屋)の2名を中心として運営している。風間は、新卒としてNTTコミュニケーションズに入社した後、認定NPO法人Teach For Japanの支援を受けて公立中学校の学校教員を2年間経験した。

一方で、私も同じくNTTコミュニケーションズに入社した後、全国の公立学校に向けて同社が提供する教育ICT「まなびポケット」の営業職や企画職に従事してきた。元中学校教員として現場で教育ICTを活用してきた風間と、民間企業として教育ICTに関わってきた私が、塾での学習として教育ICTを採用する現在の形に至ったのは、比較的に自然な流れであった。

コンセプト実現のための教育ICT

私たちが子どもたちに提供している価値は、「主体的な進路選択」だ。それを実現するために必要となる要素はさまざまにある。

福岡で中学校の英語教員を務めていた
風間塾長

本人の志望校となりえる高校について、(ときに私たち自身も高校へ訪問などもしながら)一緒になって何度も検討をすること。私たちが信頼するゲスト講師の方々を塾へ招き、「自ら決めること」や「目標を持つこと」などの大切さに触れる機会を作ること。また目標の設定と併せて、そこに向かうプロセスを自律的に進めることができるよう、学習の計画をともに作成していくこと。そして何より、塾として、志望校へ合格できるための学力の向上をサポートしていくこと。

単純な教科の学習に限らず、私たちは学習に対する「意味付け」までを大切にしている分、一人ひとりに対して向き合うための十分な時間の確保がとても重要となってくる。その時間を創り出すためのツールとして、教育ICTが大きな役割を果たしている。

ICT利活用の具体

塾での学習は「すらら」をベースとしている。当塾の子どもたちは、目指す高校の偏差値や定期テストの点数も、得意や苦手とする教科もしくはその教科における分野も、まちまちだ。定期テストの答案や模試の結果などをきめ細かく見ていくと、一人ひとりがつまずいている箇所は思った以上にバラバラなことが多い。

一人ひとりの学習状況を細かく確認することができる。

それら一人ひとりによって異なる状況に対して、すべて1対1の形式で教科指導を行っていくことは、主に講師側のリソースの観点から限界がある。これを大きく手助けしているのが、当塾の場合は「すらら」である。「すらら」は、わかりやすい授業レクチャーを通して各単元の内容を一から理解することが可能であり、また理解度に応じた難易度に自動調整されるドリルを通じて、学習の定着段階までスムーズに行うことができる。これら学習に必要な一連のサイクルを、一つのコンテンツでカバーできることに、私たちは大きく助けられている。また、「すらら」は3月から理社が加わり5教科に対応がなされたため、今後はより高い網羅性をもって活用ができるはずだ。

モノグサで記憶の進捗も確認可能。

これに加えて、当塾では「Monoxer」を利用している。「Monoxer」は学習の”記憶“のプロセスを円滑にしてくれている。「Monoxer」の利用によって、子どもたちは効率的に暗記を進めることができ、講師の立場としては、今この瞬間に一人ひとりが何をどれだけ記憶できているのか、一目で確認することが可能となっている。また、一部の子どもたちは、塾が終わった後の家庭学習でも「Monoxer」を利用しているが、家庭学習で何をどれだけ覚えられたのか、そのためにどれだけ繰り返し暗記に取り組んだのか、私たちはリアルタイムにすべて画面上から確認することができる。暗記という行為において重要な、かつエネルギーを要する”継続”に対して、励ましとなる声掛けによってサポートしていくことができている。

これは「Monoxer」に限らず「すらら」でも同様であるが、家庭での学習内容をデータとしてすべて塾でも確認することができる点で、塾での学習と家庭学習の連続性が高められている。

ICT利活用と人の関わり

「すらら」や「Monoxer」といったコンテンツは、高い品質をもって塾での学習を大きく手助けしてくれている。

面談風景

ただ一方で、そういったコンテンツさえあれば子どもたちが十分に学力を伸ばしていけるかと言うと、現状、そのように私たちは考えていない。

私たちは、毎月の面談や日々のコミュニケーションを大切にして、一人ひとりの日常や人生と向き合っている。自分の人生や学ぶことに意味を持つことができ、モチベーション高く学習を継続していけるようにするためだ。その上で、一人ひとりの学力や性格に合った学習の計画をともに作成する。それでも、日々様々な感情や思いが湧き出るのが人生であるから、人の成長をサポートするには、まだまだ向き合いきれていないくらいでもある。
当塾が大切にしている「なりたい自分」を目指して、「学ぶ意味」を見出していくプロセスは、一人ひとりと信頼関係を築いた身近な大人の存在があってこそ、初めて十分に実現していけるものだと感じている。

塾で活用している学習ノート

それを踏まえると、ICTを活用することの最も大きなメリットは、講師が「人にしかできなこと」に取り組む時間を最大限に生み出せることだと感じている。ICTを活用した学習の効果をいかに最大化できるかは、子どもたちと私たちの関わりの”日々”の延長にこそ懸かっているのだ。デジタルの力で実現できる学習活動は最大限に効率化し、それによって生み出した時間を教育活動において最も重要だと考えている信頼関係の構築に注ぎ込む。

ICTの活用によって実現が可能となった、子どもたちとの関わりの密度の濃さが、その先の「主体的な進路選択」を導いていく。

筆者プロフィール
関屋雄真
学習塾C.school 副塾長
1991年生まれ、埼玉県さいたま市出身
早稲田大学政治経済学部卒業
NTTコミュニケーションズ株式会社(教育サービス企画)

自律的な学習者への第一歩に 自己効力感の向上 活用事例多数紹介 すらら 活用事例のご紹介
株式会社TENTO

アーカイブ

  • ICT要員派遣はおまかせ! ICTまるごとサポート 詳細はこちら
  • 事例紹介作って掲載します。 ICT教育ニュースの楽々 事例作成サービス