2020年5月17日
Keep learning for the future! 〜休校中の子供たちの学びを進める軌跡と取り組み〜
敬愛中学校・敬愛高等学校
広報部長 高尾博之
【寄稿】
福岡県北九州市にある敬愛中学校・敬愛高等学校では、昨年度より中学1年生にiPad(LTEモデル)を配布し、『一人一台タブレット』の導入を始めている。また、同時に既存の学内Wi-Fi環境を強化しており、場所に応じてWi-Fi、LTEを使い分けることができるようになっている。今年度からは、新中学1年生に加え、新高校1年生にも同様にiPad(LTE)を配布することになっていた。
しかし、新型コロナウイルスの影響で、中学1年生のiPadは配布できたものの、高校1年生のiPadは未だ届かない状況にある。恐らくこれから整備をしようとしている学校は、端末の到着がさらに遅れるのではないかと予想される。
そのような状況で、3月から休校措置がとられる事になり、生徒たちのためにできることはないかと考え、朝のHR、オンラインによる授業(50分×4時間)や課題のやりとりをすることを決めた。そのためには、生徒とオンラインで繋がるための機器や環境整備が最大の課題であった。生徒・保護者へ手紙の郵送や電話連絡などを行い、Google Classroomへの参加を呼びかけ、参加できない生徒には、学校の予備機を貸し出すなど環境を整え、現在では全生徒との接続が可能となっている。課題配布や連絡はGoogle Classroomを、オンライン授業はZOOMの「マナトメプログラム」を活用している。
職員研修も同時に行い、機器の取り扱い、アプリの使用方法などを全職員で学んでいった。短期間で操作を習得する必要があるため、教員同士も教えあいながらスキルアップにつなげた。使用するアプリで大活躍したものは、iPadに文字を直接書き込めるMetamoji Classroomである。iPadの画面に直接書き込むことができるため、ZOOMのミラーリング機能でMetamoji Classroomの画面を生徒たちと共有し、板書するように教員が書き込みながら解説するという形をとることができた。
この取り組みを行って、生徒たちにアンケートをとったところ、生活習慣の改善や学習ができるようになったなど、多くのポジティブな評価をしてもらえた。しかし、この取り組みで課題も出てきた。接続の問題や授業の進め方の問題など様々であった。特に画面が小さいスマホなどを使用している場合に、目に負担を与えてしまっているとのことだった。そのため、50分間画面を見る授業という形から、授業で必要とされることが終了すれば接続を切ったり、YouTubeに動画をアップして見たいときに見ることができるようにしたりする等の工夫をしている。また、このような状況だからこそ、職員が「授業とは何か?」といった本質的なところに目を向けることができた。
学校教育は、学習面だけではない。心の面の成長も必要である。生徒たちに生き方・考え方を見つめる時間をもってほしいと思い、希望者対象でオンライン講演会を実施した。卒業生を中心に講演の協力をお願いしている。参加した生徒たちからは、大学に行くことのみを目標にせず、社会に出てから何をしていくのかを考える大切さに気づいたり、自分の努力次第で未来を変えることができるというポジティブな思いになれたなど、良い評価を得ることができた。また、部活動紹介では、顧問の先生や部員たちに呼びかけて、紹介文や動画などを作成してもらい、新入生に配信している。
初めてのことが多く、進めていくにつれて課題が発生し、課題のクリアに悪戦苦闘する日々である。しかし、生徒たちのためにできることは何かを考え、本質的に必要なことをスピード感を持って対応していきたいと考えている。
アンケート結果
【オンライン授業を受けて良かったことは何ですか?】
・ 勉強の楽しさを再確認できた。
・ 勉強時間が増えた。
・ みんなの声が聞けた。
・ 自主的に勉強に取り組むことができました。
・ 授業を受けれるようになって嬉しいです。
・ 1日の流れができてよかった。 学校が始まればもっと早くに起きないといけないが、朝もHRが始まる1時間前には起きて朝ご飯や、授業の準備ができている。
・ 毎日、何しようとダラダラ過ごしていたのですが、今週は自分で早起きし、机に向かって集中する時間が増えました。また、時間も有効に活用するようになってきたように感じます。先生方のおかけです。ありがとうございます。子どもも敬愛で良かった!と言ってます。子どもたちの為にいろいろ考え、行動してくださり、感謝しております。ありがとうございます。 (保護者の方より)
【オンライン授業を受けて困ったことは何ですか?】
・ ZOOMの接続が上手くいかないことが多かった
・ たまに声が途切れることがあり、説明が聞こえないときがありました。
・ ワークを受け取っていないため、プリントをコピーするのが大変だった。
・ 課題のために携帯を見過ぎて目が疲れています。
・ 画面見すぎて頭痛いです。
・ 授業を家で受けており当てられにくいことや自分の様子が先生方に伝わらないことから緊張感が薄くなり怠けてしまうことがある。
・ 色々な所から宿題が出されて分かりにくい。
・ 通知がくるのがたまにおそいことがある。
【オンライン講演会についての生徒の感想】
・ 今、このような状況でなかなか誰かの話を聞くという機会がないなか、このような講演会を聞けて本当に良かったです。ありがとうございました。
・ 中々先輩のお話を聞く機会がないので、お話が聞けて良かったです。またこのような機会を作って欲しいと思いました。
・ 自分の努力次第で人生の選択肢を増やすことができたり、未来を変えることができたりすることを改めて感じました。聞いていてとてもおもしろかったし、勉強に対する意欲が湧いてきました。本当にありがとうございました。
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