2020年5月28日
Monacaを活用した「Web探究」 社会に活きる実践的な学びを実現/関西高等学校
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関西高等学校は1887年創立の歴史ある私立校で、岡山県唯一の男子校。2019年、ITをビジネスで活かす「ITビジネス科」がスタートした。
ITビジネス科の誕生と「Web探究」の新設
関西高等学校 商業科は、2019年4月ITビジネス科へと変わった。立ち上げを担ったITビジネス科主任の平松道彦教諭は、「大きく変化する社会に合わせて、ITをビジネスへ活用する力が求められている。生徒ら一人ひとりには起業家のマインドを持って社会で活躍してほしい。そのためにはこれまで学んできた会計の知識は欠かせないが、ITの活用方法や仕組みを学ぶことも大切だ。ITを学ぶことが目的ではなくITをツールとして活用し、人やものの動きを考え、社会に活きるビジネスを学んでほしい。」と背景にある想いを語る。
商業科からITビジネス科となりカリキュラムも変わった。1年生は週2時間の学校設定教科「Web探究」が新設された。「Web探究」は、ITビジネス科誕生の狙いを具体化した教科だ。高等学校入学前に情報処理をあまり学んでいない生徒が多く、「ITとは何か」「IT利活用でできること」から授業を始めた。生徒の多くは日常生活でSNSを活用しており、そのルールやリスクを徹底して解説する必要もあった。実践的であることにこだわり、投資の知識や直近の株価の変動要素の解説も行なった。また生徒らはメールの送受信の経験が少ないため、メーラーの設定から始めてビジネスマナーをふまえた「電子メール」の送受信実習も行う。先進的な技術にふれるドローン演習では倉敷商工会議所の協力で地元の企業と連携し、人が搭乗できる大型ドローンを身近で学ぶ機会も計画中だ。
導入の容易なMonacaを活用しWebの基本を学ぶ
「Web探究」の大きな柱としてショッピングサイト運営への取り組みがある。2018年以前は、ホームページ制作ツールを用いて簡単なホームページを作ってきたが、「Web探究」では実践を重視している。Web制作に必須のHTMLやCSSの基本知識を得て、JavaScriptのコーディングを通し条件分岐や繰り返しといったアルゴリズムの基本も学べるカリキュラムとした。全ての生徒がプログラマーになるわけではないが、誰もが基本知識として仕組みの理解が必要だと考えたからだ。その上で主眼とするWebマーケティングを意識したコンテンツ制作に取り組むことを目指している。
Web制作の学習環境としてMonacaを採用しているが、「導入と運用のしやすさが最大の選定理由である。迷いもなくすぐに決定に至った。」と平松教諭はいう。Monacaは、アシアルが提供するクラウド型のプログラミング学習環境である。Webサーバーや開発環境を構築する手間もかからず、生徒はWebブラウザとインターネットさえあればすぐにプログラミングを始められる。関西高等学校では全生徒がPCを所有し日頃の学びに活用している。生徒は教室でも家でも「Web探究」の学習に取り組むことができるのだ。また、もともと学習プラットフォームとして導入していたClassiとMonacaが連携しているため、MonacaのIDを意識することなくスムーズに使えたこともメリットであった。
Monacaの学習コンテンツを活用
Monaca には、学習のためのサンプルコード、公式テキスト、動画といったサポートコンテンツが非常に充実している点も授業を進める上で教諭らの助けとなっている。「Web探究」でも公式テキスト「Monacaで学ぶはじめてのプログラミング」を活用しWebの基本を学んだ。中でも生徒に人気があったのは四則演算子や論理演算子を学ぶための「体格指数BMI算出アプリ」や、配列を用いた「心理テストアプリ」など実際に動かして楽しめるアプリの開発だ。Monacaでは開発した成果物が自分のスマートフォンですぐに動かせるため、動作を試したり発表したりする際に非常に盛り上がるという。得意な生徒は、サンプルコードの通りに完成するとオリジナルの改良を加えるなど自発的に学び進んでいる。中にはエラーの原因がわからずに考え込む生徒もいるが、グループワークで助け合うなど活発な学びにつながっているという。
社会で活きる実践的な学びのために
基本を身につけたら、いよいよショッピングサイト制作に取り組む。まずは、世の中の既存ポータルサイトを真似てバナー制作演習を行う。続いて、高級ブランド品を扱うためのデザインにバナーを変更してみる。さらにスーパーのセールのようなデザインにする。売りたいものに適したサイトの「見せ方」を考えるという実践的な演習だ。
次にグループ分けをしてそれぞれの業種や具体的な商品を設定し、ショッピングサイト構築を企画から始める。購入フォームなどは学んだ知識を活かして開発をするが、技術だけでなく、言葉選びやデザインなどにも気を配り、社会ですぐに通用する実践的な力を身につけることを追求する。完成後には、グループごとに制作したサイトを他のグループの生徒にレビューして改善を重ねる。具体的には実際にサイトを操作してもらい購買意欲がわいたかどうか、改善点はどんなところにあるのか意見を交換するのだ。購入を促すためのHTMLのメールマガジンの発行や、クレーム対応の演習まで行うという。
将来、実際に就職した企業ですぐに活かせる力、利益をうむ力を生徒らに身につけてほしい。教科書通りにはいかない社会ではあるが、そこでも力を発揮し活躍してほしいと平松教諭は常に考えている。
実践的な「Web探究」の授業は2時間では足りないため、今年度の2年生は週に4時間に拡張して学ぶ。ドローンをプログラミングで制御したり、空撮した動画を編集したりといったマルチメディア系の学びが予定されおり、Monacaを活用したWebアプリ制作では、生徒らのゲーム開発への期待も大きい。e-sportsなど新たなテーマも視野に入れ計画は進められている。
新しい学びを企画し始めることは、誰もが難しいと感じるもので避けたいだろう。ただ実際に始めてみると様々なサポートがあり案外易しいものなので、まずは挑戦することを勧めたい、と力強く平松教諭は語った。
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