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2021年4月20日

ICTで学びを保障する“合理的配慮”シリーズ第8回 生活や就労を豊かにするICT活用

『生活や就労を豊かにするICT活用~スマホとスマートウォッチを専属執事にしよう~』
関口あさか (埼玉県立特別支援学校さいたま桜高等学園 進路指導専任)

1.忘れ物女王からの転身

私は小学生の時から忘れ物やなくし物が多く、隣の子にいつも消しゴムを借りていました。忘れ物が原因で注意を受けることもしばしばありました。テストの日に消しゴムを持ってくることを忘れてしまった時は、いかなるミスも許されない緊張感のある時間となりました。提出期限を守ることもなかなか難しく、夏休みの宿題はラスト2日で仕上げていました(仕上がらないことも…)。さらに、友達と遊ぶ予定などを忘れたり、集合時刻に遅れたりするということも多々ありました。

中学生、高校生、大学生、社会人になっても改善されることはなく、仲の良い友人たちのおかげで何とかやってこられましたが、社会人になるとそうも言っていられなくなりました。
そのような『忘れ物女王』であった私は、5年前に“執事”のような『スマートウォッチ(Apple Watch)』との出会いによって、『忘れ物女王』から引退することができました。

2.生活・働くうえで必要な力

持ち物・予定・置く場所・提出期限・やることなどを忘れる、つまり『○○を忘れてしまう』ことに困っている人がいます。持ち物や予定などを把握して、管理する力は日常生活だけでなく、働くうえでも非常に重要で基本的なスキルと言えます。

『○○を忘れてしまうこと』によって、学校においては、持ち物を持ってこない、宿題や提出物を期限内に提出できない、集合時刻に遅れてしまったりします。連絡帳に予定や持ち物を書かせてもなかなか改善しない子もいます。

職場においては、顧客との約束を忘れたり遅刻したりする、書類や社員証など大事なものをなくす、会議までに資料を用意できないことによって周囲とトラブルになってしまうこともあります。

このように、『○○を忘れず、把握して管理する力』は小学生から社会人まで幅広く求められる必要な力です。しかし、注意欠陥多動性障害(以下ADHD)の方など、どんなに努力しても自分の力では改善できない人たちがいます。連絡帳に何度も書かせても、メモを書かせても、それらは見て確認して実行することを忘れてしまっては、何の意味も効果もなさないのです。そして、強く叱ったり、罰を与えたとしても、改善することは難しいのです。

3. “執事“スマートウォッチ(Apple Watch)との出会いによって

『お嬢様(ご主人様)、今日の13時から□□様と会うお約束がございます。今から出かけるご準備をいたしましょう。』(※実際はこのような声掛けはしてくれない)といったように、スマートウォッチはまるで優秀な執事のように教えてくれます。つまり、『○○を忘れず、把握して管理する力』を代替してくれるのです。

具体的には、以下のようなことを代替してくれます。(スマートウォッチとスマートフォンを連動させた場合)

①提出期限を確認する
②持ち物を確認する
③スケジュールを管理する
④集合時刻に目的地に遅れないで到着する
⑤時間を忘れて集中しすぎてしまった時に教えてくれる
⑥やることを管理する
⑦なくし物を見つける
⑧買い忘れ、重複買いを防止する
⑨メモをして、必要な時に通知する
⑩プリントなどの配布物を管理する
⑪財布を忘れても何とかなる(※スマート決済)
などなど

我が執事 “Apple Watch”と“iPhone”がそれらのスキルを代替してくれたことによって、『○○を忘れること』が大きく減少し、より快適に生活ができ、より効率的に仕事ができるようになりました。

これらの機能は、ADHDの方にもとても役に立ち、困難さを軽減してくれます。

4.スマートフォンだけではだめなのか?スマートウォッチの魅力とは?

スマートウォッチの最大の利点は、『毎日、常に身に着けている』ということです。そして、直接的に振動を手首に伝えて通知してくれます。一方で、連絡帳や手帳は自分で意識して見返す必要があり、確認することを忘れた場合意味を成しません。
スマートフォンでも通知機能はありますが、仕事では持ち歩けなかったり、マナーモードにしていたりする場合も多く、連絡帳や手帳と同じように自分で意図して必要なタイミングで確認・見返さなければなりません。
そのため『自分で意図的に必要なタイミングを逃さずに確認すること』が難しい方にはスマートウォッチの活用をおすすめしています。

5.小学生のうちから、ICTを活用して『○○を忘れず管理するスキル』を養う必要性

私は小学校・中学校・高校に在籍する障害や疾患などにより生活や学習上に困難さがある児童生徒の支援をしてきました。現在勤務する特別支援学校では、ほとんどの生徒が一般企業の障害者雇用枠で就職しており、そこで進路指導をしてきました。自分自身や教員としての経験から、『○○を忘れず管理すること』が難しい子は幼いうちから、iPadなどのタブレット端末やスマホ、スマートウォッチなどを活用して、『できる経験』を重ね、その活用スキルを身に着けることが大事だと感じています。

その理由としては、それらを活用して使いこなすにはある程度の期間や慣れが必要であること、また努力してもできるようにならない経験を何度も積み重ねることによる自信や自己肯定感の低下を防ぐためです。

様々な子どもたちの支援や指導をする中で、期限内に提出物を出せないことで、『だらしがない子』として怒られることを繰り返して自信を失ったり、諦めてしまったりしている子、友達との約束などを忘れてトラブルになってしまったりしている子たちと多く出会いました。もし早いうちからICTなどを活用できていたら、怒られたり自信を失ったりすることはなかったかもしれません。

親や保護者の手を離れて大学生や社会人になった途端に自分ですべてのスケジュールなどを管理しなければならなくなります。親の支援を受けられ、ある程度の失敗も許される小・中・高校生のうちから、ICTを活用したスケジュールや持ち物などの管理を経験することで、社会に出たときに『自信をもって自分で活用していくスキル』を身に着けられます。

視力が低い人が眼鏡をかけるのと同じように、学校の中でも、スケジュール管理が苦手な子はタブレット端末やスマートウォッチを使用することが許可されることが当たり前になると良いと思っています。

後半は、スマートウォッチを使う上での注意点や大事なポイント、そして実際に私が活用していたり、生徒たちに効果があったアプリをご紹介します。

イラスト提供:Atelier Funipo & TUBASA

《著者プロフィール》

関口あさか
(埼玉県立特別支援学校さいたま桜高等学園 教諭)
MIEE Talks@Admin.代表

2016年よりマイクロソフト認定教育イノベーター
マイクロソフトよりMIE Fellowに選出された日本の先生6名のうちの1人
重度の知的障害や身体障害、学習障害のある子どもたちに、テクノロジーを活用した学習やコミュニケーション、英語学習、ものづくりなどの表現活動支援を学校内外で取り組んでいる。
ICT夢コンテスト宮島龍興記念教育賞やなどを受賞し、書籍や新聞、TED、Webサイトに多数教育実践が掲載されている。
テクノロジーを教育に活用する教員グループ『MIEE Talks@』を立ち上げ、子どもも大人もワクワクする学びの場づくりに取り組む。

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