2021年7月12日
板書時間を6割以上削減!「頭を使う授業」の実現へ/奈良県立国際高校 スクールタクト 導入事例
奈良県立国際高等学校(奈良県)スクールタクト 導入事例
板書時間を6割以上削減!「頭を使う授業」の実現へ
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「世界とつながる高校」をキャッチフレーズに、2020年4月に開校した奈良県立国際高等学校。生徒1人1台のiPadを配布するなど、先進環境も整っています。さらに、授業資料の作成サポート、ファイル共有や相互コミュニケーションまでワンストップで行える授業支援クラウド「スクールタクト」を導入。スクールタクトの活用した実際の授業の流れや、 Google Classroom との使い分け、生徒さんの声など、水本祐之先生(理科)・今中和宏先生(現代社会)にお話を伺いました。
授業中の板書時間を6割以上削減、「頭を使う授業」へ
―まず、スクールタクト導入時に抱いた期待をお聞かせください。
水本:「今までやりたかったことが実現できる!」と思いました。具体的には「双方向性のある授業」「資料の配信・回収のデジタル化」です。生徒それぞれの学びの成果を、生徒と教員、あるいは生徒同士で、しかもリアルタイムにシェアできる授業をやりたいとずっと思っていたんです。
今中:私が担当する現代社会は、板書+解説が基本とされてきた教科です。板書量がどうしても多くなってしまい、授業中の生徒たちは黒板をノートに書き写す作業で精いっぱいでした。もっと頭を使う時間を増やす良い方法はないかと模索する中でスクールタクトと出会い「使い方次第でいろんな可能性がありそうだ」と感じて授業で活用しはじめました。
―スクールタクトを導入され、どれくらい板書の時間が減ったのでしょうか?
今中:授業で使用するスライドをスクールタクトで生徒に配布し、そこに直接書き込んでもらう方式に変えたところ、板書時間を6割以上削減することができました。これにより、生徒同士の意見の共有やグループワーク、プレゼンテーションなどを実施する時間を捻出できました。
教室内を自由に移動しながら学び、その成果を学年全体でシェア
―水本先生の理科の授業の流れについて教えてください。
水本:私が担当する理科の授業では、最初の10~15分を講義形式で進めたのち、スクールタクトで課題を配布し、生徒たちに解答を作成してもらいます。授業の最後に解答を一覧で共有し、私から簡単な解説をするという構成にしました。解答を作成するにあたり、生徒には以下の3点を伝えています。
①教室内を自由に移動して良い
②グループで取り組んでも一人で取り組んでも良い
③誰が見ても理解できる解答を作る
座り込んでやろうが、歩き回ろうが、友達と一緒にやろうが、一人で集中してやろうが、すべて自由なのが特徴です。解答はスクールタクト上でのシェアを前提に、わかりやすさを重視します。手書きのノートで取り組みたい生徒は、ノートの写真をスクールタクトにアップして提出します。
この方法を取ると、生徒同士で対話しながら、協働的かつ主体的に、さらに楽しみながら課題に取り組んでくれます。みんなでワイワイやるのが得意でない生徒も、他の生徒がスクールタクトで共有した資料を参考にしながら進めることができます。作業自体は一人で黙々とやっているように見えても、実は協働的な学びが実現できているんです。
また、このシェアはクラスだけでなく、学年全体で行っています。そもそも解答をシェアする目的は、自分にとって分かりやすい解説を見つけることです。リソースは、多ければ多いほどいいですからね。
Google Classroom とスクールタクト双方の強みを活かす
― Google Classroom とスクールタクトはどう使い分けをされていますか?
水本:私の場合は、授業中にスクールタクトを使い、授業前後の活動や授業準備では
Google Classroom などを使っています。スクールタクトは課題に取り組む生徒全員の様子をリアルタイムで一覧把握でき、生徒同士でシェアできる点が優れています。生徒が学校に来られない場合でも、手元に端末があれば授業と同じ情報を提供でき、自宅から課題に取り組むことが可能です。スライドに授業音声を合わせたものを Google Classroom で共有し、スクールタクトで課題に取り組む方法です。課題は教室の生徒と同様にシェアされていますから、学校を休んだ生徒も、協働に参加できますね。
水本:以前は生徒が活動する時間は授業全体の25%程度、残りは私が話す時間という構成で授業を設計していました。Google Classroom やスクールタクトを用いる授業に切り替えたことで、生徒が活動する時間を70%程度まで増やすことができました。45分の授業の中で私が話す時間は最大で15分程度です。また、現在の2年生の授業では、Google Classroom での動画配信を用いた反転授業を実施しています。生徒はあらかじめ家庭で授業内容の動画を視聴してくるか、授業中の生徒同士の学び合いの過程で学習動画を視聴しています。そのため、授業時間は100%、生徒の主体的な学びにあてることができます。
作業時間が短縮され、授業研究に時間が使えるように
―スクールタクトの活用で、先生方の業務にどのような変化が生まれましたか?
今中:ペーパーレス化が進んで作業時間が短縮され、授業研究にしっかり時間を投じられるようになりました。以前は授業で示すスライドとは別に、プリント用にレイアウトしなおしたものを印刷することがよくありました。スライドをそのまま印刷する場合、スライド数が多いと印刷量が増えてしまいますし、かといって縮小すると小さすぎて文字や画像がよく見えなくなってしまうからです。現在は授業用スライドをそのままスクールタクトで配布しています。今後は反転授業なども取り入れ、より生徒が能動的に動ける時間を増やしたいと思います。
他者との「つながり方」を学ぶ場としての教室
―生徒さんの変容はいかがでしょう?
水本:やはりシェアによる「つながり」が生まれたことに尽きるでしょう。まず、孤立して学習を進められない生徒が格段に減少しました。以前はクラスに1~2名だったのが、学年で1~2名ほどまで減った印象です。
それと、授業に取り組む姿勢も良くなりました。教員だけでなく友達にも「見られている」ことが、ほど良い緊張感と承認欲求を満たすのだと思います。学習内容の理解が早い生徒が、率先して友達に教える姿も見られますね。まさに協働的に「学び合う」環境です。ルーブリックの分析からも、こうした「先生の話は短く、アクティブな時間は多い」授業のほうが、理解度が高いことも分かりました。
生徒の声を紹介します。
生徒A「自分は、みんなで協力して解決することが苦手だった。だけど回数を重ねるごとに苦手な人とでも話せて、課題の解決に貢献できるようになってきた。」
生徒B「自分で考えて行動したり課題を解決していくことも大切だけど、人と話し合って課題を解決していくことも大切なんだという事が分かる授業です。」
ほとんどの生徒はこのようなポジティブな感想を書いてくれました。勉強をするうえでの仲間の大切さ、自分から行動することの大切さ、他の人と話し合い課題を解決することの大切さを学び取ってくれたようです。
―では最後に先生方、そして生徒さんにとって「スクールタクト」とは何でしょう?
今中:「新しい選択肢の一つ」だと思っています。板書・プリント・ノート以外の選択肢出てきたことに非常にわくわくしています。この新たな選択肢の使い方次第で、いろんな可能性が広がってくると思います。
水本:私にとっては「つながりを増やすツール」でしょうか。それは教員から生徒というベクトルだけでなく、生徒から教員へ、あるいは生徒同士も含みます。そもそも学校という“器”の価値って、教員・生徒が「そこに集っていること」だと思うんです。知識や情報の伝達だけならオンラインで十分可能なこの時代に、それでも学校に通い、集う意義。それが「つながり」であり「つながり方」を学ぶことではないでしょうか。スクールタクトは、それを広げてくれるんです。
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