2021年12月27日
多様な学習経験の生徒に個別最適化、「すらら」で基礎学力向上をはかる/北星学園余市高等学校
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北星学園余市高等学校は、北海道余市郡余市町にある男女共学の私立校。近隣の生徒だけでなく、高校中退や不登校経験のある生徒も積極的に全国から受け入れており、約8割の生徒が学校指定の寮下宿で生活する。年齢、出身地、学習経験の異なる生徒が「すらら」で学び、基礎学力の向上をはかっている。国語科 安河内 敏教諭、実際に学習する遠山集人さんに率直な使用感や効果について話を聞いた。
多様な学習経験や個性、年齢もばらつきがある生徒、個別対応しきれないジレンマ
毎年、毎年3月に実施される教職員総括会議で、生徒の国語力不足が課題としてあがった。数学の文章題を解くための読解力や生徒指導といったコミュニケーションの場での言語力に問題があるという指摘だ。北星学園余市高等学校 国語科 安河内教諭は、国語力不足をどう解決するか試行錯誤を繰り返した。他校の取り組みを参考に週1コマ、国数英の基礎学習を20分ずつ学ぶ授業を取り入れたこともあった。数年間、なかなか結果が出ない時期が続いた。
背景に高校中退や不登校経験のある生徒が全体の6割を占めるという同校の特色も関係しただろう。安河内教諭は、不登校につながりやすいのは、小学校高学年の時、中学校2年の時の2つのタイミングが多いと語る。急に学習内容が難しくなる時期だからだ。じっくり時間をかければ理解できる生徒も、一斉授業では置いていかれてしまうのが現状だという。
学習経験に差があり、年齢差もある生徒らが学ぶ同校では必要な「基礎」も多様で、個別対応しきれなかった。学力定着度を測定、分析するすべもなく、教諭らの負担は増え続け限界を超えそうだった。
うちの生徒に向いている、『すらら』導入を即決
悩みを抱える中、「すらら」に出会った。早速、安河内教諭らは東京都内で「すらら」を活用する中学校を視察した。生徒の学ぶ様子を見て「これなら導入できる」「うちの生徒に向いている」と直感、「すらら」導入を即決したと振り返る。
50分間の一斉授業は、理解できないからといってもう一度最初から見直すことはできないが、「すらら」のレクチャーはわかるまで何回でも戻って見られる。ドリルの回答を間違えると自動的に弱点を教えてくれ、教諭らがついていなくても、苦手部分に遡ったレクチャーを見ることで学習を進めていくことができる仕組みだ。それぞれのペースで必要なだけ適切なレベルの学習ができるので、学力差、進むスピードの差がある生徒をカバーできると感じた。2019年、正式に活用が始まった。主に国語と英語で活用し3年目になる。
毎週1単位、個別最適化された学びで基礎を埋める:国語Bの活用
1、2年生は「国語B」の3単位のうち毎週1単位を「すらら」にあてて、授業の中で学んでいる。当初はラーニングデザイナー(カリキュラム作成機能)で、生徒の力に合うようレベルを細分化し多様なカリキュラム作りを模索した安河内教諭だが、膨大な時間がかかり管理が困難になった。すららネットからのアドバイスもあり誰にとっても大切な小学校高学年の課題から全員に配信する方法に転換した。読解力をつけるには主語述語といった文章構成から理解する必要があり、抜けている基礎部分を埋めずに高校の学びはできないと考えたからだ。
いざ活用を始めてみると自力で進める生徒はどんどん学び始めた。授業だけでなく放課後、帰宅後に学ぶ生徒も見られるようになった。じっくり時間をかけて理解する生徒も自分のペースで学ぶことができた。安河内教諭は、進度はバラバラで差があるが自分なりのペースで学べばよいのだという。生徒が個別最適化された「すらら」で基礎学力定着に自力で取り組めるようになったのだ。授業では、つまずくと生徒は声をあげ助けを求めるので、教諭らは必要な生徒を十分にサポートできるようにもなった。
一方で、それでもやらない生徒も見られた。早く終えたくてレクチャー動画をスキップしてしまいドリルが解けないという問題も散見された。そこで安河内教諭はレクチャーのまとめプリントを印刷して生徒らに配布した。するとこれも効果が現れる。レクチャーを2倍速で再生しながらまとめプリントの穴埋め問題を解き、それをもとにドリルに取り組むことで解ける問題が増えたのだ。解けると面白くなるので自学できる生徒が増える。学年全体の取り組みの進捗は定期的に全員にワークシートで共有してモチベーションにつなげている。学年末までに一定のステージまでをクリアしていない場合は、終えるまで長期休暇を潰して学習する。締め切りを設けたことで、生徒どうしで教え合う姿や、競う姿も見られるようになったという。
導入から3年、小論文に顕著な変容が見られた
安河内教諭は、学びの評価や分析が不十分であることが今の課題だと語る。「すらら」の導入から3年が経って、少し余裕が出てきたことから次は「テスト機能」の活用や、「管理画面」の情報を活用し生徒の学習結果を管理分析、効果測定を実施していくつもりだと展望を語る。
今の3年生は入学時から「すらら」で学び続けてきた。定量的な評価は無いが、小論文の授業で生徒が書く文章には顕著な変容が見られているという。1年生の時とは比べ物にならない構成力、表現力で800文字程度の読みやすい文章が書けるようになった。
安河内教諭は、国語科でアウトプット力を大事にしている。教諭らが学んだ時代は情報のインプットに偏り、アウトプットは試験ばかりであった。だが現代は、聞いたこと読んだことを理解し、それを消化し伝える力が重要だと考える。このアウトプットにも「すらら」の文章要約レッスンが非常に生きているのだという。
中学時代は宿題なんてと思っていたが「すらら」で一変、英会話が通じ自信にも
1年生の遠山さんは「中学時代、宿題はあまりやらなかった。英語なんて無くてもいいとさえ考えたこともある」と少し照れたように答えた。北星学園余市高等学校に入学し「すらら」に出会ったことで考えも姿勢も一変した。学校の授業中だけでなく自習でも、寮でも自発的に「すらら」の課題を解いている。進度は学年のトップを走る。
変容した理由として、手軽に学習できる点をあげた。紙とペンを必要とする従来の学びだとやる気になった時に億劫になりモチベーションが下がってしまう。だけど「すらら」はパソコンやタブレットで簡単に学べるので、どこにいても取り組めるのだ。
また、「すらら」ではステージごとにナレーションの声優が変わるといった演出があり進むのが楽しみというのも理由の1つだ。自分のできているところが可視化されるのでやりがいと自信につながることもある。間違えたところは画面をキャプチャして覚え直すといった自分なりの工夫も凝らし、効果を生み自信につながる学びの好循環を生んでいる。
英語ができるようになってきたと感じていた時、バイト先のラーメン店に訪れた英語圏の客に、「すらら」で覚えた英語でコミュニケーションが取れ、更に自信につながった。もっと学んで海外へ旅行に出かけたい。将来は英語を活用するような就職にも意欲を見せる。「すらら」というきっかけが、遠山さんの意欲と能力を引き出した。
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