2022年3月8日
自ら解決する力を育む、Monaca活用による課題解決型のプログラミング授業/三重県立松阪高等学校
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三重県立松阪高等学校は、創立110年を超える歴史ある進学校。2021年、3期目となる文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業の指定を受け、科学技術系人材を育成するためのカリキュラム開発・実践を行うとともに、大学・研究機関との連携、地域の特色を生かした課題研究に取り組んでいる。情報科 羽根亨教諭にMonaca Educationを活用したプログラミング授業について話をきいた。
課題解決型のプログラミング授業のためにMonaca Educationを導入
SSH指定校である松阪高等学校では、情報科目も探究活動に組み込み独自カリキュラムを実施する。課題解決に向かうようなプログラミング授業にしたいと情報科 羽根教諭は考えた。適切な教材や学習環境を探していた時、日本情報科教育学会の研修会で出会ったMonaca Educationを思い出し、採用を決める。利点として、生徒、教員にとって環境構築の負担が無いことをあげた。インターネットとブラウザさえあればすぐにアプリ開発を始められる手軽さだ。もう1つ大きな点は、生徒が作ったアプリを生徒の所有するスマートフォンで実際に動かせることだ。初めてプログラミングを学ぶ生徒にとっては、自分のデバイスで実行できた驚きや感激はとても大きなものなのだという。
APS(アプリプログラミングシート)を活用した学びからスタート
2021年度の2年生は、1年生の時に松阪高等学校のWebページをリニューアルしながらHTMLやCSSを実践の中で学んだ経験がある。そこで2年生では、Monaca EducationのAPS(アプリプログラミングシート)を活用し図鑑アプリ、おみくじアプリ、地図アプリの開発から1学期をスタートした。
APSとは、提供されているサンプルコードをベースに段階的にアプリ改造を体験できる学習教材。コードの解説もあり、初学者でもお手本の通りに作り進むことができるように工夫されている。
羽根教諭は、はじめにAPSの使い方を教えたら、仲間と相談してもよいから自力で開発するように促す。単に正解を教えることはせず、生徒が自主的に調べ解決する力を身につけることに重きをおく。どうしても解決が困難な時には、比較的プログラミングや教えることが得意な生徒にヒントを与える。そして仲間どうしで教え合わせることで、成長や知識の定着につなげるのだという。
アプリコンテスト「松高生にとってあったらいいなと思うアプリ」でプロジェクト型の学び
2学期からは、5,6名ずつのグループに分かれアプリコンテストに向けた開発プロジェクトが進行中だ。テーマは「松高生にとってあったらいいなと思うアプリ」。グループごとにアイデアを出し、役割分担を決めてプロジェクトは始動した。
羽根教諭は、参考になりそうなリンク集やサンプルをGoogleサイトで共有し、アラームやタイマーアプリを自らコーディングしている画面をキャプチャし動画配信を行った。環境や情報をそろえて生徒に提供した上で、「わからなかったら自分達で調べること」を徹底して教え込む。
5カ月に及んだプロジェクトは間も無く完成だ。クラスでプレゼンを行い優秀な作品を校内で掲示する予定だ。SSHの成果発表会やポスター発表会での紹介も検討するという。
「宿題管理アプリ」、「先生図鑑」といった学生らしいもの、「購買部の在庫管理」、「購買部のポイント管理システム」と実践的なアイデアまで様々。中でも評判なのは「検温入力システム」だ。これは毎朝の体温入力が遅れたり忘れたりしがちだという課題を解決するためのアプリで、入力をするとアプリ内のお湯の温度が上がって卵からヒヨコが生まれるができあがるという楽しいものだ。
羽根教諭は、大人では思いつかないような高校生らしい自由な発想が見られたと振り返る。次のステップとして使用者の視点を意識したアプリ開発をさせたいと意欲的に語る。
SSH、探究的な学習での取り組み
松阪高校では、2年生が自ら決定したテーマを1年かけて研究する探究的な学習に取り組んでいる。2021年度は2チームが情報分野のテーマを決定し、Monacaを活用している。
◆学習アプリのユーザーインターフェイス研究
既存の学習用アプリの使いにくさを課題ととらえた先輩の先行研究をベースに、2名の生徒が改善案を設計しMonacaでモックアップ開発に取り組む。身近な課題に向かう実践的な研究だ。
生徒らは開発で行き詰まると羽根教諭に相談するが、ヒントを出せばすぐに解決できているという。
◆教員の在籍管理アプリ開発
質問がある時、提出物を出したい時、生徒らは教員がどこにいるのかがわからず困ることが多い。この課題を解決するためのアプリをMonacaで開発するのは5名のチームだ。
アプリは羽根教諭も参加して検証中。移動や帰宅時に自身のスマートフォンでQRコードを読み取って場所を指定するのだが、更新を忘れて帰宅のままになるなど改善点も見えている。PDCAサイクルで継続的に課題を解決してゆく。こういったアプリを活用した研究は今年度だけでなく来年度以降の後輩らにも引き継いでいくという。
「プログラミングクエスト」で相反する要望に応え意欲喚起
1年生は、3学期から公式テキスト「Monacaで学ぶ初めてのプログラミング」でHTML、CSSの基本から始めた。正解を教えるのではなく、自分で調べて解決する姿勢を重視する点は変わらない。
「簡単すぎる、もっと先をやりたい」という声がある一方で、苦手意識から「もっと教えてほしい」という受け身の声もある。
そこで、羽根教諭は「プログラミングクエスト」と称する課題を出し始める。公式テキストにある容易な課題を小さなステップに分けて「キークエスト」として全員に課す。羽根教諭独自の応用課題は「サブクエスト」で自由に意欲的に取り組む位置付けだ。
クエストの達成度はランキング形式にしてリアルタイムにGoogle スプレッドシートで全員に共有し意欲喚起につなげている。すると「家でもできるの?」「これなら1日中できる」と自主的に楽しむ姿も見えるようになる。Monacaのロゴや「hello world」といった文字を表示するという小さな一歩のクエストが、アプリ開発の実感となり生徒の興味関心へつながり始めたのだ。
アプリを作れる感覚とアルゴリズムの両方を学ぶ必要がある
「Monaca Educationでスマートフォンのアプリが作れることは素晴らしい学びだ。HTML、CSS、JavaScriptでアプリが作れる環境を教育で使えるのは画期的だし探求との相性も抜群だ。しかし、2022年度の情報Ⅰ、情報Ⅱ、その先の共通テストの情報科目を考えると、アルゴリズムに特化した、情報の教科書のような正解のある学びと両方が必要になる」と羽根教諭。2022年度の春には、Python、JavaScriptでアルゴリズムを学ぶ教材がMonaca Educationで公開予定だ。これらを活用しアプリを作れる実体験に加えてアルゴリズムも学べるようになるだろう。
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