2022年3月29日
授業でゲーミングPCを活用!? オンライン授業におけるハイスペック端末の活用術 / ASUS「ROG Zephyrus G14」
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ゲーム用に開発されたパソコンを、学校の授業で活用
「ゲーミングPC」と聞くと、おそらく多くの人が「ゲームをするためのパソコン」を思い浮かべるだろう。もちろん通常のPCとしても使用できるが、「パソコンというより高性能なゲーム機本体」だと言う人さえいる。近年のゲーム性能の進化は著しい。オンライン化や高画質化、3D化などはもはや当たり前だ。一方で、そのぶん端末には高い負荷がかかる。動作を処理しきれず、操作のタイムラグが出たり、止まったり、回線落ちしたりするトラブルもよくあった。そこで、必要箇所を高性能化することで動作に支障がない形に設計されたのがゲーミングPCだ。
CPUやメモリなどの基本スペックが高いことも特長だが、一般的なPCとの最大の違いは、グラフィックカードを搭載していることだろう。グラフィックカードはディスプレイに画像を映し出すためのパーツだが、これを独立して搭載することで、圧倒的に美しくなめらかな映像でゲームを楽しめるようになった。
しかし、なんとこのゲーミングPCを授業に使っている先生がいる。愛知県江南市立西部中学校の岩田智文教諭(理科)だ。MIE(マイクロソフト認定教員)の中でも最上位に位置付けられ、日本にわずか9名(2022年3月時点)しかいない「MIE Fellow」の肩書きを持つエキスパートでもある。
そんな岩田教諭はかねてより映像やオンラインを活用した授業を駆使してきたが、近年は生徒の嗜好に変化を感じていた。例えば試験の解説動画を作る場合だ。以前なら、解説をそのまま撮影してそのまま見せれば十分だったが、現在はそれで興味を引くのは難しくなってきたと言う。
「映像がキレイであることは絶対で、時間が長すぎてもダメ。15分以内、できれば10分以内が理想です。かつ一つの“動画コンテンツ”として面白いかどうかも重要でしょう。PinP(Picture In Picture)などを使って、テンポよく楽しく視聴できることが大事です。私自身、そんな授業コンテンツを作ってみたいという思いもありました」。
オンラインでの対応にも同じことが言えた。「より臨場感のある楽しい授業にするには、映像も工夫して配信したいところです。例えばOBS(Open Broadcaster Software)を使って背景を透過するとか、背景に別の映像を投影するとか」。
外付けグラフィックス機能を搭載したASUS「ROG Zephyrus G14」をセレクト
そこで活用取り組みを開始したのが、持ち運びにも優れたノート型のゲーミングPCだ。機種はASUSの「ROG Zephyrus G14 GA401Ⅳ」。外付けグラフィックス機能が搭載されていることはもちろんのこと、近年のPCの映像端子はUSB Type-Cが多い傾向の中で、ROG Zephyrus G14はフルHDMI端子を搭載していることも魅力だった。これにより外部のディスプレイやTVに直接接続が可能で、容量の多い通信にも適している。また、ROG Zephyrus G14の軽量さにも心を動かされた。高性能がゆえに重量がかさみがちで、3kg以下なら御の字だと言われるゲーミングノートPCにおいて、1.7kgを実現していた。
「あとはちょっとした遊び心ですが、モニタ背面のLEDディスプレイ(写真参照)は、生徒たちにもウケがいいです。黒系の色が多く“メカ感”が強いゲーミングノートPCの中で、白くてスタイリッシュな点も気に入っています」。もちろん、授業の中身そのものを楽しくすることが最優先だが、生徒たちの興味付けに一役買っているのは事実だと言う。
同時複数の画面表示や通信、特殊エフェクト、マルチタスクもストレスフリー授業
授業づくりにおける課題も次々と解決した。教諭自身も大好きだと言うMinecraft(マインクラフト)を使った授業でも、動作は極めてスムーズだ。一般的なPCの性能では表示できない画像エフェクト(光の反射など)も再現した Minecraft with RTXも難なく動作する。岩田教諭は、学校でMinecraft:Education Edition(以降、Minecraft EE)を活用している。Minecraft EEは、教育に特化したブロックがあったり、プログラミングが学べることが特徴である。
岩田教諭は理科授業で化学ブロックを活用している。ワールド内では、通常のブロックとは違う元素ブロックなどの化学ブロックを活用して化学物質を作り、実験を行っている。中でも、「水中TNT」は生徒たちの好奇心をひいてやまないという。本来、水中ではブロックを破壊できないTNTに「Na」(ナトリウム)を加えることで水中でもブロックを破壊できるTNTが作られる。
また、「Mg」(マグネシウム)を松明と合わせて水中でも松明を燃やしたりして見せた。「生徒たちにとって、水中でこれらができるって“革命”レベルの驚きなんですが、これこそ『化学反応である』と教えるわけです。そして、ワールド内では危険な実験も簡単に体験できることが、Minecraftのいいところです。」
科学館と連携した天体分野の授業では、生徒に「寄り」で撮った画面、教諭を映した画面、教室全体を俯瞰した画面、さらにオンライン参加の科学館スタッフの画面など、3~4台のカメラの映像を同時に1画面上で表示。さながら自身がYouTubeやTVに出演しているかのような演出に、生徒たちも大喜びだ。まさしく外付けグラフィックス機能を搭載したROG Zephyrus G14だからこそ実現したシーンだろう。
他にも「圧倒的に感動した」と言うのが、生徒のワークシートなどをブラウザ上で表示したときのことだ。40人(1クラス)分のタブを同時に開いても、動作はまったく重くならない。共有したい解答のキャスティング(他の画面に表示)もさくさく動いた。
ハイスペック機ならではの「裏切られない感」に感動
とにかく「生徒の探究心をくすぐるようなワクワクした授業を行いたい」と言う岩田教諭。「教科の本質に迫る授業づくり」が岩田教諭の信念だ。そのために有効であればICTを活用する。一方で「岩田教諭のようなレベルでICT活用する自信がない」という教諭もいるかもしれない。しかし、重要なのは機器を使いこなす事ではなく、機器を有効に活用することだそうだ。各教科・各授業にある『本質』をICT機器を活用して導き出すことが重要だという。
岩田教諭がICT機器を活用した授業を展開するのは、理科の本質を突き詰めるのに最適だと考える授業だけとのこと。理科の授業において、「科学的なものの見方・考え方を養うのにICT機器が適していると判断したタイミングで活用します。ICTが苦手な人も、それぞれのやり方で『本質』を突き詰めれば十分です」。少しずつ背伸びを繰り返していけば、もっと理想的な授業のイメージや、もっとハイレベルなことをやってみたいという欲求、あるいは失敗も自然に出てくるはずだと言う。
ただ、笑いながらこうも付け足した。「そのときの、ハイスペック機を使って分かる『裏切られない感』は感動的です。ゲーミングPC=ゲーム用という考え方は、もう捨てたほうがいいと思います」。
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