2022年7月29日
2020年度入学の大学生、4割が「成長実感ない」と回答し友人数も減少傾向 =ベネッセ調べ=
ベネッセコーポレーションは28日、同社のベネッセ教育総合研究所が、全国の大学1~4年生 4124人(男子2228人、女子1896人)を対象に実施した「大学生の学習・生活実態調査」の結果をまとめ発表した。
同調査は、2008年から4~5年おきに行っており、今回は4回目で前回から5年ぶりに実施。調査内容は、高校時代の学習や大学入学後の生活と学習の様子、人間関係、留学、就職、学びに対する意識や将来観・社会観など多岐にわたるが、今回は大学生の「成長実感」と「友人関係」に関する主なデータを公開した。
それによると、学生生活を通じた「成長実感」は、2年生(2015年度入学生と2020年度入学生の比較)で「実感しない」が8.0ポイント増加。他の学年ではほとんど変化がなく、1年生(2021年度入学生)も前回と同水準に戻っている
だが、2020年度入学生については、4割近く(39.6%)が「成長実感がない」と回答しており、「成長実感がもてていない」学生が多いことが分かった。
友人のタイプを分けて「学内の友人の数」を尋ねたところ、2016年から21年にかけて「いない」や「1人」という回答が増えていた。
「いない」比率は、「悩み事を相談できる友だち」で5.4ポイント、「学習やスポーツで競い合う友だち」で9.2ポイント増加。とくに、2年生(2020年度入学生)にその傾向が顕著で、コロナ禍による通学や交流の制限で、友人関係を築くのが難しかったことが伺える。
また、「友人の数」と「学びの充実」や「成長実感」に関連が見られた。友人の数が「多い群」は、「少ない群」に比べて、学びが「充実している」という回答が多く、成長についても「実感する」割合が高い傾向。
3者の関連についてパス解析を行ったところ、「友人の数」は「学びの充実」をもたらし、それが「成長実感」につながっていることが分かった。
大学の授業の形態は、「ディスカッションの機会を取り入れた授業」「グループワークなどの協同作業をする授業」「プレゼンテーションの機会を取り入れた授業」が2008年に比べて10ポイント以上増加するなど、アクティブラーニング型の授業が増えていた。
ただし、2016年との比較では肯定率がわずかに減少しており、コロナ禍で対話的な活動が難しかった様子が表れている。その一方で、オンラインでのやりとりがしやすくなったためか、「教員と双方向のやりとりがある授業」は、2016年から21年にかけて増えている。
調査時点の授業形式については、「対面授業」が多い学生が48.5%、「オンライン授業」31.0%、「半分ずつくらい」が17.3%だった。
理想の授業形式について尋ねたところ、オンラインと対面が「半分ずつくらい」が25.3%で最も多かった。「半分ずつくらい」と「オンライン授業」が多い方がいいと回答した学生を合わせると52.5%で、オンライン授業を受け入れている学生が多いことが分かる。
オンライン授業のメリットでは、「自由時間が増える」「好きな場所で受講できる」などの利便性が上位だった。一方、デメリットでは、「一方的な授業が多い」「対話や議論がしにくい」などの学習のしにくさに関する項目が上位にランクイン。
また、コロナ禍の経験を評価してもらったところ、自分にとって「プラス」という回答が4割で、多くの学生が前向きにとらえていることが分かった。大きな影響がなかった、プラスとマイナスの両方があったと「プラスでもマイナスでもない」という回答も3割いた。
しかし、「マイナス」も3割いて、進路選択への影響や精神的なダメージを引きずっている学生も一定数おり、2020度入学生がその割合が若干高かった。
この調査は、全国の大学1~4年生4124人(男子2228人、女子1896人)を対象に、2021年12月にインターネットで実施した。
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