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2022年10月24日

10代LGBTQは過去1年に48%が自殺念慮、14.0%が自殺未遂 =ReBit調べ=

ReBitは20日、LGBTQなどのセクシュアル・マイノリティの子ども・若者の、学校・暮らし・就活等の現状について声を集めるアンケート調査「LGBTQ子ども・若者調査2022」を実施し、速報として、緊急性の高い主要なデータと、具体性のある自由回答に寄せられたLGBTQユースの声を発表した。


それによると、10代LGBTQは過去1年に、48.1%が自殺念慮、14.0%が自殺未遂、38.1%が自傷行為を経験したと回答。日本財団の『日本財団第 4 回自殺意識調査(2021)』と比較し、10代LGBTQの自殺念慮は3.8倍高く、自殺未遂経験は4.1倍高い状況にある。

「普段からセクシュアリティについて安心して話せる相手や場所がない」と回答した10代LGBTQは47.2%、20代は36.9%、30代は32.9%。普段からセクシュアリティについて安心して相談できる場所が「ある」群と「ない」群を比較すると、相談できる場所が「ある」群は、自殺念慮が12.2ポイント、自殺未遂が2.2ポイント、自傷行為が8.0ポイント下がっている。セクシュアリティについて安心して相談できる場所があることが、LGBTQユースの自殺対策につながることが伺える。

10代LGBTQの52.3%が、過去1年で心身不調や精神疾患を経験したと回答。また、10代LGBTQは、メンタルヘルスを測るK6尺度で、気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛を感じていると想定される「10点以上」が、56.1%。厚生労働省の『国民生活基礎調査(2019)』と比較し、7.2倍高い状況。LGBTQユースは、精神障害におけるハイリスク層であり、安心して相談できる場を地域・福祉・医療等と連携し構築する必要がある。

また、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した10代LGBTQは29.4%、20代LGBTQは27.2%、30代LGBTQは25.8%。内閣府の『孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(2022)』と比較すると、孤独感が「しばしばある・常にある」の回答が、10代LGBTQは8.6倍高い状況。LGBTQユースは孤独・孤立におけるハイリスク層であり、孤独・孤立施策のなかに位置付けて支援をしていく必要があると言える。


さらに、LGBTQユースの91.6%が、保護者にセクシュアリティに関して安心して話せない状況にある。なお、LGBTQユースの89.1%が保護者との関係で困難を経験したと回答した。具体的な困難状況は、「保護者からLGBTQでないことを前提とした言動があった」(66.0%)、「保護者に自分のセクシュアリティを隠さないといけなかった」(49.7%)、「保護者がLGBTQに否定的な言動をした」(47.2%)、「保護者へセクシュアリティがバレてしまうことを不安に感じた」(46.5%)という結果。保護者に相談できないだけでなく、保護者との関係性自体が、困難や悩みにつながっていることがわかる。


過去1年の学校での経験として、LGBTQ学生の40.2%が授業でLGBTQについて学び、30.9%が教科書や副読本にLGBTQが載っていたと回答。学校で、性の多様性について学ぶ機会が増えていることが窺える。


一方で、LGBTQ学生の70.7%が、過去1年に学校で困難やハラスメントを経験したと回答。具体的な困難状況の上位3回答は、「男女別整列や名前の「さん・くん」分けなど、不要に男女分けをされた」(39.0%)、「生徒が、LGBTQに関してネタや笑いものにしていた」(35.4%)、「生徒が、性別を理由に理想的な行動を指示していた」(28.7%)。このような困難がある状況にもかかわらず、LGBTQ学生の93.6%は、教職員にセクシュアリティに関して安心して相談できない状況にある。相談できないだけではなく、LGBTQ学生の33.6%は、教職員が要因となっている困難を経験している。具体的な困難状況は、「先生が、性別を理由に理想的な行動を指示していた」(27.7%)、「先生が、LGBTQに関してネタや笑いものにしていた」(12.8%)等が挙げられ、教職員の理解促進の必要性が伺える。


LGBTQは不登校におけるハイリスクもある。この1年で10代LGBTQの52.4%が「学校に行きたくない」と感じ、不登校を経験したLGBTQ中学生は22.1%、高校生は14.9%。文部科学省の『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(2020)』と比較すると、不登校率はLGBTQ中学生で5.4倍高く、LGBTQ高校生では10.6倍高い状況。今後、LGBTQに関するハラスメントがない学校環境づくりや支援体制を構築し、LGBTQ学生も安全に学べる機会を保障していく必要がある。

この1年で就職・転職を経験したLGB等の35.7%、Tの75.6%が採用選考時に困難やハラスメントを経験。LGB等の具体的な困難状況は「選考時にカミングアウトをすべきか、どの範囲ですべきか分からず困った」(16.1%)、「人事や面接官から、LGBTQでないことを前提とした質問や発言を受けた」(13.3%)、「選考時に、セクシュアリティを伝えられなかった・隠さなくてはならず困った」(10.3%)が上位3回答だった。なお、トランスジェンダーの具体的な困難状況は「エントリーシートや履歴書に性別記載が必須で困った」(41.2%)、「選考時に、セクシュアリティを伝えられなかった・隠さなくてはならず困った」(35.3%)、「選考時にカミングアウトをすべきか、どの範囲ですべきか分からず困った」(33.0%)、「性自認と異なるスーツ・服装、髪型、化粧をしなくてはならず困った」(27.3%)、「性自認とは異なる性別として、就職活動をしなければならず困った」(26.8%)が上位5回答だった。

25歳~34歳のLGBTQのうち、この1年で10.5%が長期欠勤や休職を経験し、13.0%が仕事を辞めている。自由記述にも就労時の困難やハラスメントの経験が多く寄せられ、就活時だけでなく働き始めてからも継続的支援が必要な状況が明らかになった。また、就労支援機関での困難やハラスメントを経験した声も寄せられ、就労支援機関でのLGBTQのキャリア支援の体制整備が急がれている。

セクシュアリティを認知したとき、LGBTQユースの69.9%が不安や恐れを感じたと回答。具体的な状況は、「自分は変なのではないかと思った」(37.7%)、「人に言ってはいけないと思った」(35.0%)、「家族に知られたら悲しませるのでは、怒られるのではと思った」(34.5%)、「大人になれるのか、幸せに生きていけるのか、不安だった」(25.2%)が挙げられる。また、セクシュアリティを認知した時点を振り返って、LGBTQユースの54.9%が相談したかった/情報がほしかったと回答。具体的な内容としては、「セクシュアリティやLGBTQについて、もっと知りたいと思った」(43.0%)、「LGBTQの同世代の人たちと知りあいたいと思った」(30.5%)、「誰かに相談したいと思った」(20.3%)など。

同調査は、13年にわたりLGBTQユースの課題に取り組んできたReBitが、みてね基金の助成のもと実施した。同調査で寄せられた声からは、LGBTQの認知度の向上など肯定的な社会変化があった一方で、LGBTQユースは未だ困難を抱え、生きづらい状況にあることが浮き彫りになった。この結果をふまえ、(1)自殺、メンタルヘルス、孤独・孤立対策における包摂的な支援(2)LGBTQにとっても安全な学校環境づくりと情報提供(3)ユースと保護者双方への支援体制づくり(4)就職・転職時や職場でのハラスメントをなくすための、企業や就労支援機関での取り組み推進が必要だとしている。

同調査は、9月4日~9月30日にインターネットで実施したもの。2670名の回答のうち有効回答2623名を分析した。

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