2022年11月28日
わからなかったらすぐ調べる、辞書アプリ「DONGRI」で身につける確かな学び/茨城県立下館第一高等学校
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高校に1人1台端末の整備が進んできた今、辞書アプリのニーズが高まっている。学習で必要な辞書や用語集を豊富に揃えている辞書アプリ「DONGRI」(イースト提供)は、GIGAスクール推奨のWindows、iPad、Chromebookのいずれにも対応し、オフラインでも利用できるなど利便性が高い。茨城県立下館第一高等学校では、「DONGRI」を導入し、活用が定着している。その背景には「DONGRI」の使いやすさに加え、生徒の活用をサポートする先生の丁寧な指導があった。具体的な活用法など、同校の竹内綾華教諭(1年担任・英語)と有年恵一教諭(1年担任・英語)に話を聞いた。
県内でもいち早くICTに取り組む
開校から100年の歴史を持つ茨城県立下館第一高等学校。現在720名の生徒が在籍している。教育目標に「自主自律の精神を有し、地域のリーダーや国際社会で活躍する人財の育成」を掲げる中、今や「ICT活用は教育に欠かせなくなっている」と竹内教諭は話す。
同校は、茨城県によるICT環境整備の動きに先立って電子黒板を各教室に備え付けるなど、早くからICTに取り組んできた。有年教諭は、「授業の限られた時間の中で、生徒にはICTの利便性を最大限に還元したい」と思いを語る。試行錯誤はあったが、現在はミニ研修会を開くなど、教員同士でICTに関して教え合う良い雰囲気とコミュニケーションがあるという。
紙の辞書+電子辞書から「辞書アプリ」へ
茨城県では2021年度の入学生から1人1台端末の導入を推進。同校ではiPadを採用し、現在は1年生と2年生が所有している。教育支援サービスには、辞書アプリ「DONGRI」のほか、Google Workspace for Education、ロイロノート・スクール、スタディサプリを日常的に活用しているという。
コロナ禍で休校になった2020年4月からGoogle Classroomを使い始めた。当時はまだ端末の整備がされていなかったが、それをきっかけに学校におけるICT活用の機運がいっそう高まった。その後、生徒1人1台環境を迎えるタイミングで、ICT関連の中心だった国語科の教諭と、英語科との間で「辞書アプリ」導入の話し合いが持たれたという。候補はいくつかあったが、英語教育の雑誌などに掲載されていた辞書アプリ「DONGRI」に興味を持ち、“面白そうだ”と実際に自身で使ってみたこともあったという竹内教諭の勧めもあり「DONGRI」の採用が決定した。
同校では、充実したラインナップの「三省堂6辞書セット」と「コウビルド英英辞典(Learner’s)」を導入している。「DONGRI」は単品や追加購入もできるが、一括採用した理由について有年教諭は、「もともと紙の辞書を使っていました。学校でも家庭学習でも辞書は必要ですから生徒は日々持ち運びます。英語、国語、漢文などとなると大変。入学時に辞書を購入してもらいますが、学年が上がる中で電子辞書も買っていました。それであれば、生徒のことを考えると最初から一括で各種揃えることが良心的だろうとなりました」と経緯を説明する。物理的にも経済的にも生徒の負担軽減につながった。
いつでも「持ち合わせている」便利さ
「DONGRI」を早い段階で導入したが、当時はコロナ禍による端末の品薄でiPadが手元に届かない生徒もいたという。しかし、「DONGRI」は1ライセンスにつき3台の端末まで利用が可能。iPad以外に、スマホなどにもインストールして使えるため、当初から生徒全員が「DONGRI」で学べる環境を作ることができた。
3台まで利用できるメリットは大きい。自身が利用する端末のいずれかがあれば、学校でも家庭学習でもいつでも使うことができる。クラウドを介して同期されるため、異なる端末を使っていても学習の継続が容易だ。さらにオフラインで使えることも魅力。有年教諭は、紙の辞書には紙の辞書の良さがあるとした上で、「紙の辞書の場合、使いたいタイミングで持ち合わせていない生徒もこれまではいました」と明かす。今では「DONGRI」によって、辞書がいつでも手元にスタンバイされている状態。辞書を引く機会が失われることがない。「生徒には確実にプラスなこと」だと感じるという。
辞書引きの力がつき、単語への意識が高まった
授業では「DONGRI」を毎回使うという有年教諭。「質問をしてわからなかったら、『じゃあ、ドンググってみよう』と言っています(笑)」。今では言われる前にパッと調べ始める生徒もいるという。辞書に慣れるためにも、授業では意図的に、あえて生徒がわからないと思われる単語も投げかけるという。
ハロウィンの日には、少し特別な授業を仕掛けた。学習ゲームとして無料で使えるクイズアプリ「Kahoot!」で問題を作成して出題、「DONGRI」で検索して答えるクイズ大会のようなアクティビティだ。2人1組になり1台のiPadはクイズの解答用に、もう1台は「DONGRI」の検索用とした。早く調べたもの勝ち。「紙の辞書の時から調べる機会は作っていましたが、DONGRIになってから生徒たちの調べるペースが上がりました」(有年教諭)。
辞書を引く技術に加え、単語そのものに対する生徒の意識も上がってきているという。「DONGRI」で利用している「ウィズダム英和辞典」の見出し語下にある「内容インデックス」を使えば、名詞や動詞などの品詞を簡単に確認できる。竹内教諭は、「英語が苦手な生徒に1対1で指導することもありますが、“品詞のところを見なきゃいけないんだよな”と覚えていて、その機能を使えていました。みんな結構この機能を喜んで使っています」と生徒の様子を語る。単語に向き合う最初に「品詞を意識すること」の大切さを教えられる良さとその効果を実感している。
「DONGRI」なら調べ方も丁寧に教えられる
竹内教諭は、「DONGRI」で辞書の初期指導がしやすくなったことも感じている。「電子黒板に繋いで同じ画面を見ながら教えることができます。辞書の使い方は思いのほか難しいもの。辞書には項目がたくさんあって、生徒は“どこを見るとどんな情報があるか”が意外とわかっていません」。年度の最初に細かな指導ができたこと、春休みの課題で使い方を示しながら取り組ませたことなどで、生徒は辞書引きの基礎的な力を身につけることができたようだ。
授業内においても、生徒が何をどう調べようとしているのか、生徒のiPadの画面を見ればすぐにわかることも利点だという。間違いの指摘や正しい調べ方などフィードバックを送りやすい。有年教諭は、「画面で見せれば私の頭の中が説明できます。教師がどうやって辞書を使うか見せながら示してあげられるのもいいですね」と加える。クラス全体に情報を提示できるのはICTならでは。辞書の使い方をより丁寧に指導できるようになった。
正解を導き出せる「辞書」の意義を大切に
豊富な機能があり便利な「DONGRI」ではあるが、インターネットの翻訳サイトで英文を翻訳する生徒も少数ながらいる。その翻訳した音声を聞いたところ、アクセントが間違った位置に配置されていたことがあったという。有年教諭は、「インターネットも便利です。しかしDONGRIはあくまでも辞書。正しさと信頼のおけるデータベースが辞書であることを改めてクラス全体に伝えました」と話す。正解を導き出せるのが辞書。今後もその大切さを伝えていきたいという。
「翻訳機の限界」と「辞書の良さ」を竹内教諭も指摘する。「グループを組んで英文を読み解き、プレゼンテーションを作る授業を行ったのですが、その時に、本文を翻訳機にかける生徒がいました。それならまだいいですが、単語だけを翻訳機に入れる生徒もいました。辞書で調べるのが面倒なのでしょう。なぜなら辞書はいろいろな情報があるから。しかし、単語だけでは翻訳機は『品詞』がわからないため、正しい意味を出してくれません。翻訳機が有効な範囲、翻訳機と辞書の違いなど、生徒に少しずつ理解してもらえたらと思います」。
さらに、「辞書であれば、その単語をどのように使い、その使い方の時にどういった意味があるのかが載っています。それを学んで意味を知ることと、その場しのぎで翻訳して答えを求めるのでは身につく力が全く違うことを何回でも伝えていきたいです」と語る竹内教諭。辞書を使うからこそ磨けるものがある。
正しい言葉の習得に欠かせない辞書。そしてICT環境が浸透した中、いつでも使える教育ツールとして辞書アプリ「DONGRI」が担う役割は大きい。同校では今後も、ICT活用で一人ひとりの学びを深め、「DONGRI」を携えて確かな知識の獲得を積み重ねていく意向だ。
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