2019年11月25日
辞書アプリ『DONGRI』を活用して能動的な学習姿勢を定着/就実高等学校
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2019年の新入学生全員を対象にChromebookを導入し、「21世紀型スキル」の育成に力を注ぐ就実高等学校(岡山市北区)。Google for Educationをメインに、ICTの活用を進めている。また同校ではChromebook導入と同時に、イーストが開発する辞書アプリ『DONGRI』を採用。授業や自主学習における辞書の活用を通じて、各教科でのスキルや知識の定着を目指している。
ICTを活用できない現場の問題
岡山県内にある私立高校の中では、1人1台情報端末の先行事例となったいる就実高等学校。ホームルームをはじめ、校内の全室にWi-fiのアクセスポイントが2台ずつ設置され、学校現場が抱える”ICT導入のための設備の遅れ”とは無縁に感じられる。
ところが同校も、2019年春までは他校と同様の問題を抱えていた。姜英徹教諭(情報教育センター、英語科教諭)は、「これまでは、授業で使用する以外はいつもカギがかかっているパソコン教室へ生徒をつれて行って、パワーポイントに動画を貼り付けたりして英語の授業を行っていました。映像や音声まで扱おうとすると、古いパソコンでは全く対応しきれませんでした」と話す。
2019年にようやく、新入生を対象にChromebookの導入が決定。しかしながら辞書アプリの採用においても、紙の辞書へのこだわりや、慣れない道具を授業で使用することを不安視する意見が上がったという。つねに生徒が参照できるChromebookに辞書アプリを用意する必要性を、姜教諭はくり返し訴えてきた。
ツールを使いこなすことの重要性
辞書アプリの導入にこだわった理由として、姜教諭は自身がこれまで辞書を活用することで英語の力を伸ばしてきたことを挙げる。「必要な時に、最短距離で手が届く場所に正しい情報があり、それを活用できる技術を身につけることが重要」と説く。
一方でGoogle翻訳が英語を使いこなすためのメジャーツールとなり、生徒たちが安易に手を伸ばしてしまう現状には警鐘を鳴らす。「Google翻訳よりまずDONGRI」を指導する背景には、「生徒たちがこれからの時代に求められる英語の能力を身につけるためには、単語の意味を正しく理解する“方法”を知らなければならない」との思いがある。
生徒はコミュニケーション英語の授業中、DONGRIとGoogle翻訳を自由に使用することができる。一方で姜教諭は、「DONGRIで単語の意味を調べ、例文を通して文章の中での活用方法を学び、ライティングに発展させる段階で確認ツールとしてGoogle翻訳を活用してほしい」と話す。
学習のすべての段階で辞書を活用
姜教諭が担当するコミュニケーション英語の授業では現在、国連の提唱する『Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)=SDGs』からテーマを選んでいる。生徒たちはGoogleのClassroom機能を使ってデータを共有しながら、グループで課題に取り組む。SDGsで提唱するテーマについて問題提起となるオリジナル動画を作成し、解決案までをクラスで発表すること求められている。
テーマに沿って作成する動画では、すべてのセリフとキャプションが英語であること、問題提起の根拠となるYouTube上の英語動画は、文字起こし機能を使って内容を読み解くこと、解決策の提案はすべて英語で行うことがルールとされている。生徒は動画の作成を通じ、読む・聞く・話す・書くという英語4技能をフルに活用して課題に取り組まなければならない。
Google翻訳の精度は高くとても便利なツールだが、使い方を間違えると、意図した英文にならなかったりする。まずはDONGRIで「ひとつの単語が文章に中でどう使われるのか」を理解した上で、Google翻訳で仕上げることが重要だという。
「Google翻訳は楽に答えにたどり着けるが、DONGRIで調べた単語の方が記憶に残っている」と1年10組の女子生徒。「自分の考えを英語で話せるようになるには、DONGRIで根気強く単語の意味を調べる必要がある」と話す。
Google翻訳に慣れすぎていたという男子生徒は当初、「DONGRIは出てくる意味の候補が多すぎて、どの候補がふさわしいのかを判断できなかった」とふり返る。類似する意味を持つ単語の特徴を一つひとつ確認し、最適な答えを判断するスキルも身につき始めている。
ツールを使うことを前提に、使いこなすスキルを身につける
「生徒たちが将来、仕事やプライベートで英語を使うとき、翻訳や辞書ツールを使わずにコミュニケーションを取ることは少ないはずだ」と姜教諭。現時点における具体的な目標としては、「e-mailで言いたいことが正確に伝えられる能力を身につけさせたい」と話す。
こまかなニュアンスが伝わっているかが確信できないAI翻訳に頼り切るのではなく、大筋では自動翻訳をうまく活用しながら、最終判断ができるだけの能力が必要と考えている。「自動翻訳が主流となるこれからの時代にこそ、辞書から得た知識が人と人とのコミュニケーションを支えていく」との思いがある。
ChromebookやDONGRIの活用は教科や教員によっても差があるが、コミュニケーション英語の授業をはじめとして「うまく導入されている授業をきっかけに、生徒たちが他の教科についても能動的な学習の姿勢を身につけてくれれば」と同教諭は締めくくった。
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