2024年4月9日
『校内すららカップ』への取り組みを続けた先に、全国2位の栄冠/関東学院六浦中学校
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関東学院六浦中学校・高等学校は、横浜市金沢区にある中高一貫教育を提供する歴史ある私立校。キリスト教に基づき社会に貢献できる人材を育成する。また、変化する社会への対応力も重視し未来に繋がる教育を推進。いち早くICT環境を整え、「すらら」利用は既に7年となった。
2023年『すららカップ』学校対抗戦において大規模校全国2位に輝く。「すらら」活用を牽引する肥田真由美教諭(教学推進部・保健体育科)、土屋翼教諭(中学2年生担任・保健体育科)に話を聞いた。
「すらら」活用7年、成果に満足せず慣れから脱却して更なる進化を模索
2014年度、校内のWi-Fiを始めとしたICT環境が整備され、2017年度から生徒1人1台のChromebookの導入が始まった。これを機に「すらら」の利用をスタート。活用当初から英数で「すららサイクル」を実施。教員は授業の進度に合わせて1週間ごとに課題を出し、生徒は期限までにそれを決められた曜日までにやり切る。終わっていない生徒には声掛けや居残り指導をすることで、徐々に期限までの課題提出率が上がっていった。この取り組みから、高校入学直後のベネッセスタディサポートGTZ値で下位層の減少が見られた。また、コロナ禍の2カ月間のオンライン授業においても「すらら」の活用はスムーズで効果的だった。
◆課題を「やっている事実」のみを意義とせず、慣れから脱却して更なる進化を模索
大きな成功と見える「すらら」活用の7年を振り返り、「導入当初は、学ぶ生徒も教員にも勢いがありました。自主的な学びにも繋がりました。ただうまく行き始めて中だるみではないのですが、慣れが出てきたと感じていました。毎週、課題を出すこと、それをこなすことがメインになっていて、やっているという事実自体を意義に感じていたというか」土屋教諭は現状に満足していなかった。
ライバルが見える、『校内すららカップ』を開催 トロフィーや賞品でモチベーション向上をねらう
更なる自主学習の効果を模索する肥田教諭、土屋教諭は「すららカップ」の活用を考えた。
「すららカップ(学校対抗)」とは、「すらら」で学ぶ全国の生徒児童を対象に学習時間や達成率などをポイント化し競うすららネット主催のアワードだ。
当初の5年間は、「あるからやってみよう」くらいの思いで参加していたが、なかなかエンジンがかからなかったという。競いながら学びを楽しめるのは良いが、いきなり全国ではライバルが見えないのが一因ではないかと考えた。そこで「校内すららカップ」を計画し22年度には初開催にこぎつけた。賞品があった方が盛り上がるのではと2023年度は予算を確保、「KGMすららカップ」のロゴを入れた学校オリジナルの三色蛍光ペン、クリアファイルを用意した。もちろんトロフィーもある。
◆家庭学習習慣の定着が目的、自主的なプラスアルファの学びを評価
「校内すららカップ」では宿題として配信された課題ではなく、任意課題や自主的な選択による学びを評価の対象とした。目的は主体的な家庭学習習慣の定着であり、宿題をやるのはあたりまえで「自主学習」としてのプラスアルファの頑張りを見たかったのだという。1年に3回3週間ずつ実施、各学期の終業式に表彰を行った。すぐ近くにライバルが見えるクラス対抗や個人対抗は、盛り上がりを見せた。
◆大事なのは先生の声かけ、先生の関わり具合が学習の習慣化を左右する
生徒の学習状況を教員がすぐに把握できる点が「すらら」の大きなメリットだという。
「昨日の夜がんばっていたね」
「すごくやっていたね」
「今日はどれくらい取り組めそうかな」
と生徒の頑張りに即座に声をかけることができるからだ。先生に見てもらえているという喜びから生徒はにっこりと笑顔を見せ、さらに自主的に取り組もうとする。この声掛けが学習の習慣化、自走化につながるので大事だと土屋教諭。生徒の性格によっては
「下の順位から追い上げられているぞ」と奮起を促すことも。
◆担任だけでない全教員が進捗を見て声をかける
「すらら」は担任や教科担当だけでなく全教員が学習状況を把握できる。長期休暇の宿題も一定量は「すらら」から出すようにしており、課題の進捗を見守る。部活動の顧問は、部員のみをフィルタリングして閲覧、声をかけることも可能だ。
◆ものすごい頑張り、成長を見せた生徒
中学1年生までは宿題がなかなか期限内に出せなかった生徒が、「校内すららカップ」で家庭学習の習慣化が進み、2年生に上がるとしっかりやり切れるようになるなど顕著な成長を見せた例もあった。別の生徒は苦手な英語に自分なりに取り組み、ユニット数でダントツの1位を獲得したことがあった。家族での外食中にも「早く帰って『すらら』をやりたい」というほど熱中していた生徒もいたというから驚きだ。
2023年度「すららカップ」学校対抗戦、大規模校の部で堂々の全国2位を獲得
「日々の家庭学習時間の確保を目的に6月、9月、11月と3回実施した『校内すららカップ』の延長線上で、全国2位が取れてしまったという感じです。」肥田教諭は笑顔を見せる。
一方で「学校の『すらら』利用を引っ張る身として、これくらいならいけるかなという読みや戦略もあった」と語る。肥田教諭は学年や教科を飛び越え連携し「すらら」の利用を管理する立場だ。
◆「すらら」活用 成功の秘訣は管理と連携
中には、ICTやAI教材に苦手意識を持つ教員もいるだろう。そこで年度初めに「すらら」利用を推進する教員を各学年2名ずつ選出し、定期的に「すらら担当者会議」を開いて利用状況を確認している。会議の責任者は肥田教諭、2年生の担当が土屋教諭で学年を牽引する。24年度からはGoogle Chatの「すらら」専用スペースで情報交換を定期的に行い、具体的な配信なども指示、効果的な利用を促進している。
管理者である肥田教諭の担当科目は保健体育だ。国数英や情報の教員が担うことが多いが「逆に躊躇なく抵抗感なく推進できるという意味ではよかったのかもしれません。保健体育科の教員は道筋をつけてやり切らせるのは得意なものです。」と頼もしい。
「まとめテスト」で課題の理科社会を克服し、更なる高みを目指す
中学入試科目は国語と数学が中心であることもあり理科と社会の定着を学校の課題と捉えている。中高一貫校で高校受験の機会も無く、学習の総まとめもあまりないと肥田教諭は懸念する。
そこで来年度は「すらら」の「まとめテスト」活用した「校内すららカップ」の実施を構想している。「まとめテスト」の範囲を各クラスの学習班に選ばせることで、既習範囲の自主的な振り返りが進むのではないかと期待をよせる。「まとめテスト」は学年を縦断し学びを振り返るもので外部模試に代わる理解度の指標としても有効だ。
土屋教諭は、「生徒にとって必要なこと。よりブラッシュアップして競いながら学習できるようにします。学校全体で教員が連携して生徒に声をかけ、一層の効果を上げていきたいです。」と力強く応えた。
その取り組みの先には、外部模試の成績の更なる向上や、全国「すららカップ」の優勝を目指すことにとどまらず、高校卒業後の一人ひとりの進路実現につなげるねらいがある。
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