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2024年3月11日

AI型教材「Qubena(キュビナ)」導入効果発表と活用推進の取り組み紹介 / 東大阪市教育委員会

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大阪府東大阪市では、2022年度より学習eポータル+AI型教材「Qubena(キュビナ)」を市内の全小中学校で導入している。その導入効果についての検証結果と、導入・活用推進の実践について、1月に開催されたオンラインイベントの内容をレポートする。

イベントに登壇したのは東大阪市教育委員会 学校教育部 学校教育推進室より参事の漆原瑠美氏と指導主事の石原孝則氏、東大阪市立花園北小学校の白石浩之教頭の3名。進行は同イベントを主催したCOMPASSの木川取締役CLOが務めた。

キュビナ導入の背景

はじめに漆原参事から、東大阪市がキュビナ導入に至った背景が紹介された。

子どもが自分で学びを進めるためのツールとしてAIドリルの導入を検討

AIドリル導入の検討にあたり、背景にあった同市の学力向上に関する主な課題は、「基礎知識の効率的な定着と活用力の育成」「家庭学習習慣の定着」「子どもの主体的な学びへの転換」の3つ。1人1台端末の活用が日常化する中で、子どもが自分で学びを進めるためのツールとして、個別最適な問題が出題されるAI型の学習ドリルが、基礎・基本や学習習慣の定着に有効なのではないかと着目。


複数あるAIドリルの中からキュビナを選定するにあたり重視したのは、子どもや教員にとっての使いやすさ。AIによるナノステップでの個別最適な問題の出題や解説・ヒントの機能が子どもの自主的な学びをサポートする点や、子どもたちは学習に集中することができ、教員は学習状況を素早く確認することができるシンプルで使いやすいUIなどを評価してキュビナの導入を決定した。

効果検証結果

続いて、COMPASSより効果検証の結果が報告された。

【検証方法について】キュビナの利用が学力の向上に与える影響を分析

今回の効果検証は、慶應義塾大学の中室牧子研究室と共同で行われた。回帰分析という統計手法を用いて、キュビナの利用に伴う各指標の変化が学力の向上に与える影響を分析した。


小学4~6年生の「東大阪市標準学力調査」(算数・国語)の結果を用い、学力を評価する観点として「合計正答率」、学習に取り組む態度を評価する観点として「主体的に学習に取り組む態度正答率(※)」の事前・事後テスト間の伸びをそれぞれ学力指標とした。

※本分析対象の学力調査における「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの問題分類で、「主体的に学習に取り組む態度」を評価する問題として位置付けられている問題の正答率。

【検証結果①】学力向上とキュビナの利用頻度・習熟度スコアの相関

検証の結果、今回検証対象となった算数・国語に共通の傾向として、キュビナを利用した児童に学力が伸びる傾向、特に、キュビナの1週間あたりの「利用頻度」、および児童の理解度をAからDの4段階で判定する「習熟度」のスコアが学力の向上に影響を与える傾向が確認された。

小学校4年生の結果を例にすると、キュビナの利用頻度を週あたり1日増やすと、正答率が算数で6.8、国語で4.3ポイント、習熟度を1スコア向上させると、算数で10.2、国語で6.3ポイント、正答率が向上するという推定結果が算出された。

【検証結果②】学力層別の傾向と効果的な活用のポイント

児童を事前の学力テストの点数が高い群と低い群の2群に分けた学力層別の分析では、算数において、高学力層には「習熟度」の向上、低学力層には「利用頻度」の向上がより効果的であるという傾向が示された。


利用頻度と習熟度の効果はどちらの学力層にも認められたが、高学力層では、習熟度向上による正答率の伸びの数値がより大きく、より早く正確に問題を解くことに意識を向けることで、より効果的な結果が期待できるのではと考えられる。

一方、低学力層では、両指標による正答率の伸びに大きな差分は見られず、まずは利用頻度を高めることに取り組み、学習量を増やしたり、学習習慣をつけることなどが効果的ではないかと考えられる。

【検証結果③】「主体的に学習に取り組む態度」の向上との相関

「主体的に学習に取り組む態度」に関する検証結果では、学力についての検証結果と同じく、キュビナの1週間あたりの利用頻度、および習熟度を高めることで正答率が向上する傾向が、算数と国語に共通して確認された。


4年生の結果を例に説明すると、キュビナの利用頻度を週あたり1日増やすと、「主体的に学習に取り組む態度」のスコアが、算数で7.4、国語で10.0ポイント向上し、習熟度を1スコア向上させると、算数で16.0、国語で10.7ポイント向上するという推定結果が算出された。

以上①~③の通り、第三者機関である慶應義塾大学中室研究室との効果検証の結果として、キュビナを利用した児童に学力が伸びる傾向や主体的に学習に取り組む傾向を確認できたことが報告された。

トークセッション

検証結果の発表に続いて、登壇者によるトークセッションが行われた。

東大阪市教育委員会の漆原参事(左下)、石原指導主事(右上)、花園北小学校の白石教頭(右下)、COMPASSの木川取締役CLO(左上)

検証結果について / 「効果実感」をデータで裏付けできた

木川:
今回の検証結果について、活用推進の立場にある教育委員会としてどのように受け止めていらっしゃいますか?

漆原参事:
教育委員会では、学校訪問等を行って各学校のキュビナ活用について話を聞いていますが、各校で分析・推測していた効果が、今回データとしてはっきりと示されたことを心強く感じています。

利用頻度を高めることで、AIによる出題がより効果を発揮するというところで納得ができますし、間違えた問題を理解できるようになるまで繰り返し取り組んで習熟度を高めるというところも、デジタルドリルであるからこそ容易になることだと感じています。

学校現場での活用状況 / 日常的な活用で効率的な知識技能の定着へ

木川:
今回の検証データの背景にある実際の活用状況について、実際に東大阪市の学校現場ではどのようにキュビナが活用されているのでしょうか?

白石教頭:
花園北小学校では、キュビナ導入当初は、子どもたちが、タブレット端末の操作に慣れるという目的も兼ねて、授業の隙間時間の教材の一つとして活用していました。

その後、副教材の見直しを行って今までの紙のドリルからキュビナに移行し、問題集配信機能である「ワークブック」を使って家庭学習でもキュビナの活用を進め、子どもたちへの習慣化を図ってきました。活用2年目となる今年度は、授業の始めに「5分間復習」(キュビナの個別最適な復習問題の配信機能)を活用することで基礎学力の定着に取り組んでいます。


木川:

市内のほかの学校の状況はいかがでしょうか?

石原指導主事:
導入2年目となり、白石教頭先生からお話しいただいたような隙間時間や家庭学習での活用はかなり定着してきていますし、授業での活用も徐々に広がってきています。

授業時の狙いに沿ったワークブックを作成・配信して、リアルタイムの学習データを基に先生が個別の支援やクラス全体に向けた支援をしていくような流れであったり、子どもたち自身が学習履歴から問題を選んで取り組むような実践もされており、効率的な知識・技能の定着に活用されています。

また、学校全体の日常的な活用を促進する取り組みとして、朝学習やショートホームルームの時間を使った帯学習にキュビナを活用している学校もあります。継続的に取り組むことで一人ひとりの学習のデータが蓄積されていくキュビナの特長を踏まえて、「たくさん使ってキュビナを育てていこう」と子どもたちに働きかけている学校もあります。

導入・活用推進の取り組み / 紙ドリルからキュビナへ副教材の見直しも

木川:
そもそも「活用できている」状態をつくるまでが多くの自治体や学校現場で苦労されているところだと思うのですが、東大阪市では「活用できている」状態をどうやって構築・維持しているのでしょうか?

石原指導主事:
導入当初は、新しいものに対する先生方の戸惑いや、何から始めたらいいかというような困りごとが想定されましたので、先生方にキュビナについてしっかりと理解してもらうことと活用スキルの提示が重要だと考えました。

そのためにまずはオンデマンドで繰り返し見られるキュビナの説明会や質疑応答の会を開催しました。

また、先生方に身につけてほしい活用スキルを「ホップ」「ステップ」「ジャンプ」の3段階に分けて提示し、使い方に慣れてもらいました。


同時に、AI=先生は教えなくてよくなる、ではなくて、データの活用や思考・表現のような学習活動の充実などの授業改善に活かしてもらいたい、という導入における狙いについても説明しました。そうしてキュビナの特性を理解してもらったうえで各学校で今まで購入してきたドリルなどの紙の副教材から、キュビナへの置き換えが可能なものがあるのではないかと考え、市内の全校で見直しを実施してもらいました。

木川:
紙の教材からの置き換えは学校現場にとっては大きな変化だと思いますが、反応はどうでしたか?

石原指導主事:
1学期は紙ドリルとキュビナの両方で走らせてみて、2学期から見直してみようかとか、夏休みの宿題はキュビナのワークブックを活用して紙のワークの購入は控えてみよう、とか、各学校の判断で段階的に副教材の置き換えが進み、初年度の数値としては全体の46%の学校での実施となりました。

来年度にかけて進められているキュビナのコンテンツの教科書への準拠によって、さらなるキュビナへの置き換えが進んでいくのではないかと考えています。

積極的な情報共有と活用推進のサイクルを回す体制づくり

白石教頭:
本校では、年度初めには紙もキュビナも、という話がありましたが、両方取り組んでいくと、紙中心の従来の学びがメインになってしまい、なかなか変化しないと感じました。校長とも相談し、コロナ禍で学びが変わった今だからこそ思い切って変えてみようと、紙からキュビナへの置き換えに舵を切りました。

導入時は先生方の不安も大きかったですが、管理職と「学力向上支援コーディネーター」(東大阪市が児童生徒の学力状況の把握と向上のため各校に1名位置づけている教員)が活用推進の中心となり、職員会議の場などを使って積極的な情報共有や働きかけを行うことで、徐々に活用の段階を高めています。


また、これまで紙に慣れていた先生方はもちろんですが、保護者の皆さんにも理解していただく必要があると考え、本校のホームページを使って、困ったときの操作方法や、教育委員会の資料を掲載して関心を高めていきました。


木川:

教育委員会としては、こうした学校現場の活用推進をどのようにバックアップしているのでしょうか?

石原指導主事:
花園北小学校のように、管理職や担当者が学校全体で取り組んで進めていただくことが一番の活用促進になると思っています。そのため、校長先生や、担当者が集まる会で情報発信したり、本市の教職員1,000名以上が参加する「Teams」を使って、活用事例やキュビナのアップデート情報等の発信を行っています。


漆原参事:

学校現場に情報を届けるにあたって、誰にどのように届けるかというのがすごく重要だと思っています。学校の中でもさまざまな担当者がいますし、日々たくさんの情報が飛び交っているので、どこに渡せばどう響くのかというところを意識して発信するようにしています。

今後の展望 / さらなるキュビナの活用で「子ども主体の学び」を推進

木川:
まとめとなりますが、現時点での振り返りと今後についてお聞かせいただけますか?

白石教頭:
導入後の成果として、添削や提出物チェックの時間が削減でき、先生の時間を確保できるようになりました。子どもたちには、基礎学力の定着というのが一番大きいと思います。下学年で定着しきれなかった内容にも立ち戻って学習ができるので、個別最適な学習を推進でき、学力保障に繋がっていると感じます。キュビナで下の学年の問題を解くことで、現在の学年の授業に前向きに取り組むようになったというような子どもたちの変容も見られます。

今後の課題としては、先生方にはキュビナによる基礎学力の定着を踏まえて、今までの授業よりもさらに進んだ授業改善に取り組むことが望まれると考えています。

子どもたちには、家庭学習などで、教員から配信された課題への取り組みだけではなく、自主的にキュビナを活用していけるようにしたいと考えています。


漆原参事:

今回の検証結果で、活用頻度を高めること、習熟度を意識して粘り強く取り組むことで、より高い効果が期待できるという伸びしろを示していただいたと捉えています。

本市が毎年実施している意識調査でも、子どもたちの「学習端末を使って自主的に予習や復習をする」という回答が、キュビナ導入前と比べて15.5%増加しており、また教員向けの調査でも子ども主体の学習活動の割合が年々増加してきています。子ども主体の学びへの転換を実感しているところです。


キュビナを効果的に活用すること、またそれを授業改善に活かして「主体的・対話的で深い学び」を実現することを、今後も推進していきたいと考えています。学校現場が自信を持ってキュビナを教育活動に組み込み、子どもたちの主体的な学びに繋げていけるよう、教育委員会として今後も工夫を凝らして支援を続けていきたいと思っています。

木川:
皆さま、本日はありがとうございました。

本セッションをYouTubeで視聴

東大阪市におけるQubena導入・活用事例

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東大阪市教育委員会

Qubena(キュビナ)

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