2023年7月3日
「Qubena」活用で基礎学力定着と個別最適な学びの充実を/足立区教育委員会
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足立区は、東京23区の北部に位置し、小学校数67校、中学校数35校、児童生徒数は4万4000人(令和4年5月1日時点)を超える大規模自治体だ。基礎学力の定着に向け、学力調査等のデータを分析活用し、教員の授業力向上と”個別最適な学び”の充実を柱としてさまざまな施策を展開している。その一環として2022年4月より、すべての小中学校で導入、活用されているのが学習eポータル+AI型教材「Qubena(キュビナ)」だ。導入から1年、教育委員会と学校現場の活用推進の歩みについて、4月24日に開催された「Qubena」の事例共有セミナーで発表された内容を元に紹介する。
※本記事はQubena活用支援サイト「キュビナビ」に掲載中のセミナーアーカイブを文字化・編集したものである。
2つのAIドリルを3カ月間試行し「Qubena」を選定
「Qubena」導入の経緯について、足立区教育委員会 教育指導部学力定着推進課の岡 聖哉氏は、「GIGAスクール構想の急速な進展に伴い、当区においても1人1台端末の学力向上施策への活用について検討を開始しました。様々な選択肢がある中で、これまで当区が取り組みの柱に位置づけて推進してきた“個に応じた学習”をさらに充実させる教材としてAI型ドリル教材の導入が候補に挙がりました。そこで、2021年9月から中学校4校を指定して、2つの教材について3カ月間の試行利用を行い、選定会議の結果『Qubena』の導入が決定しました。誰にでも取り組みやすいシンプルな操作性、丁寧なヒント解説、AI機能が優れていることなどが選定理由です。特にAIの働き方が優れているので、こちらを学力の定着向上に活かしていこうとの結論でした」と語る。
導入決定後はすぐに全校へデモアカウントを配布し、活用ガイドの作成に着手。先行導入校の実践事例を共有する研修会の実施や、「Qubena」活用リーダーの選出など校内全体で活用するための体制作りを図り、2022年4月から全校で利用を開始した。
導入初年度の取り組みとして、計画的に「Qubena」を活用し、区のモデルとなる事例を発信・共有することを目的に、2つの取り組みで小中2校ずつを推進校に指定した。
1つ目は、校種固有の取り組みを行う校内体制モデル校。導入初年度ということもあり、まず全ての教員が「Qubena」を使えるようになることが重要と考え、こちらのモデル校では校内全体で「Qubena」を活用していく。その体制作りに取り組んだ。
2つ目は、小中学校共通の取り組みを行う小中連携モデル校とした。足立区では小中学校の垣根を越え、9年間の見通しを持って教育に当たるための仕組みである小中連携教育に力を入れている。こちらのモデル校では9年間を見据えた系統的な学習にどのように「Qubena」を位置づけていくのかを研究した。
校内全体でQubenaを活用し、子どもたちの主体的な学習でつまずき解消・栗原小学校
栗原小学校は児童数349名、学級数12の中規模校。2022年度、推進校の指定を受け、全職員が週2回以上「Qubena」を活用することを達成目標として定めた。まず行ったのは、「Qubena」導入の狙い、特色や仕組み、基本的な操作方法に関する校内研修だった。操作方法については、ワークブックの作成、配信、学習履歴・正答率の確認という内容で、実際に「Qubena」を操作してもらいながら説明を行った。
児童に配布するワークブックの分量や出題パートは、学年によって違いがある。3年以上では日時や時間を指定したが、2年生の実践では、時間制限なしで頻度は1日おきの活用とし、児童が負担を感じないように配慮した。
2年生の実践の手順①は、ワークブックの作成。「出題パート」「確認パート」「復習パート」のうち、「出題パート」について内容の習熟度や問題の難易度によって、確認と指定だったり、指定と復習だったり、変更しながら行った。
手順②はつまずきの確認。ワークブックの配信詳細の場面で「生徒の学習履歴」を選択すると、個人の正答率と間違った問題が×印で表示され、どの問題で間違えたのかを確認することができる。
手順③はつまずきへの対応。放課後学習などで、児童は学習履歴の画面から間違えた問題を選択し、解き直す。その際、ヒントボタンを活用して自分で考えたり、教師に質問することでつまずきの原因を解消していく。この操作を指導することで、子どもたち自ら学習履歴を確認して解き直しをする習慣がつくので、とても重要な操作だという。
昨年の7月には、当初の取り組みの成果と課題について研修会で共有、その後、夏休みの課題や11月の校内研修を通じて、「Qubena」利活用の習熟度を児童・教師共に高めていったという。
今年1月の1年生から6年生全校児童アンケート調査の結果では、97.3%の児童が「Qubena」の使い方が分かると回答。児童にとって操作が容易なことが分かった。
また、「『Qubena』を使った勉強は楽しい」との問いに対しては、76.9%の児童が肯定的な回答。
「ヒントや解説があるので勉強しやすくなった」の問いに対しては、81.8%の児童が肯定的な回答をした。多くの児童がヒント解説の機能の良さを実感し、それを生かして学習していることがうかがえるという。
自由記述の回答では、「他学年の問題も解ける」「いろいろな教科の問題ができる」「パソコンに慣れることができる」「正答率が出るので、100%を目指してやる気が出る」「すぐに復習できる」などの意見が複数あった。特に多かったのは、「説明やヒント解説があってわかりやすいので、自分で勉強を進められる」というもので、「Qubena」の活用が、主体的に学習することに繋がっているのではとしている。
1年間の活動を振り返って成果と課題、今後の取り組みについて栗原小学校の谷井泰介主幹教諭は「児童における成果として、使い方を身につけ、進んで学習することができ、『Qubena』の有用性を実感できた児童が8割を超えた、という点が挙げられます。また、教員における成果として、全教員が週2回以上行うことができ、3年生以上は毎日、1、2年生は週3から5回活用することができました。今後の取り組みとしては、さかのぼり学習への活用と、より効果的な活用方法の検証を行っていくという点があります。児童が自分の進度に合わせながら、漏れなく自主的に進めていける方法を検討していくとともに、個別最適な学びと、自主性を向上させていけるように活用方法の検証を続けていきます。区内各校やCOMPASSさんと連携しながら、よりよい方策を共有していければと思います」と今後の課題と抱負を語った。
小学校では学習データの蓄積、中学校ではつまずきの解消を「Qubena」で・竹の塚中学校
竹の塚中学校は1年生2クラス、2年生1クラス、3年生2クラス合計5クラスの小規模校。「Qubena」の活用により、基礎学力の定着と学習意欲、学習習慣の確立の課題に取り組んでいる。あわせて近隣の西保木間小学校との9年間を見据えた学び作りのために小中連携校として「Qubena」の活用推進を行っている。
小中連携校での共通した取り組みとして1つ目は、Qubenaの学習データを蓄積すること。2つ目は、生徒のつまずき部分を解消すること、この2つを目標に取り組んできた。
具体的には朝学習や授業、家庭学習においてワークブックや単元問題を活用し、「Qubena」の学習データを蓄積する。そして、蓄積した学習データをもとに正答率の低い問題を授業中に解説するなど、つまずきの解消を目指した授業改善を行ってきた。また、補充教室ではつまずきが見受けられる生徒を対象として個別指導を行った。
このサイクルを意識しながら、小学校では「Qubena」の学習データの蓄積、中学校では、つまずきの解消を研究テーマとして取り組んできた。
小中が連携して指導案を検討し、研究授業を行った実践として、11月に中学校1年生を対象に、数学の研究授業を行った。単元名は比例と反比例の応用。指導案検討では、「Qubena」は復習定着を目的として取り組み、生徒の実態を把握しながら、足りない部分を補うこと、「Qubena」の問題を発展した課題に取り組むことで、生徒の家庭学習と授業の円滑な接続を図ることを意識した。
1月に小学校で行われた研究授業での実践では、6年生、算数科の並べ方と組み合わせの単元で研究授業を行った。ここでは、まとめふりかえりの際に適用問題として「Qubena」を活用することを意識して指導案件と研究授業を行った。
主な流れは、まず課題把握の場面では、前時の学習を振り返り本時の課題を全体で把握。次に、自力解決学習の場面で課題に対する自分の考えをもとにまとめる。そして、自力解決場面で考えたことを出し合い課題解決に向けて比較検討。最後にまとめを行い「Qubena」のワークブックに取り組むというもの。
竹の塚中学校の藤本博之主任教諭は、今回の取り組みついて「中学校ではつまずきの解消への取り組みが研究テーマだったため、多くの生徒がつまずきを解消する経験をしました。ほとんどの生徒が家庭で『Qubena』に取り組んでおり、家庭学習で『Qubena』を使いたいと思っている生徒の割合が約65%でした。小中連携モデル校として研究テーマを小学校、中学校で変えることにより持続可能な取り組みとなりました。その結果、小学校では『Qubena』の活用が定着され、中学校ではつまずきの解消について検討実践することができました」と成果を語った。
竹の塚中学校で生徒に行ったアンケートでは、約78%の生徒が数学の問題で苦手な問題が解けるようになったと回答しているという。
足立区では、昨年度、多くの成果が実感できた1年間としながらも、学習ログの活用と活用状況の底上げを今年度の課題と考えており、引き続き、「Qubena」の活用を推進していく計画だという。
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