2024年2月27日
他校の取り組みが分かる!大阪産業大学附属高等学校のICTを活用した授業実践事例『数学』を紹介
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入試問題を解く微分法の授業
授業支援機能を活用し、生徒同士が解説し合い理解を深める
大阪産業大学附属高等学校〈大阪府〉 綿谷 知貴 先生 教科:数学 指導学年:3年生
建学の精神
創立者、瀬島源三郎先生が「平凡な日常生活を大切に送っていくこと、地道にたゆまず努力していくことは偉大なことである」と教え、それは現在の徳育・知育・体育の三位一体教育の実践に繋がっています。徳育を先頭に位置付けたのは知育も体育も徳育の上に育まれると考えられているためです。
学校の教育目的
本校は昭和3年に、大阪鉄道学校として創立されました。現在は大阪産業大学の附属高校として、5つのコースを設けており、それぞれの目標を持つ受験生が、コースを選んで入ってきます。多くの生徒が大学進学を目指し、卒業後はそれぞれ希望の大学に進学します。そういった生徒あるいは保護者のニーズにしっかりと応えていける学校を目指しています。
ICT教育の課題・テーマ
年齢問わず、すべての先生がICTを推進できる環境づくりに力を入れています。
ICT教育推進については、本校は残念ながら、全国あるいは大阪の他の学校に比べると後発ではありました。そこで新たにICT教育を推進する部署を立ち上げ、ベテランの先生から若い先生まで、すべての先生がICTを進めていくための環境づくりを大きな課題として取り組んでいます。後発の学校ではありますが、ここ数年でかなり進んできているのではないかと思います。
端末整備状況
令和4年4月入学の高校一年生から、全員にChromebookを持たせており、令和6年度にはすべての生徒が端末を持つ状況になります。
ClassPad.net導入に至った経緯と理由
オンライン辞書機能のコンテンツの充実と、ICTを推進しづらい「数学」にも効果的な数学ツール『ClassPad Math』が決め手
生徒全員にChromebookを持たせるにあたり「Chromebookの金額に追加して、今までのように電子辞書の端末も保護者にご購入いただくのか」ということが課題でした。 二つの端末を合わせると負担がとても大きいですが、一方で辞書は必ず持たせたいと考えておりましたので、様々な辞書のサービスを検討・体験しました。その中でClassPad.netは辞書だけでなく、今まで生徒たちが使っていた参考書や用語集なども入っていたことが一番大きかったと思います。
また、5教科の中でICTを推進しづらいのが「数学」でした。他のサービスでは「電子ペンだとグラフが書きにくい」という話があがりましたが、ClassPad.netにはグラフや図形が視覚的に掴める数学ツール『ClassPad Math』があり、5教科全てで活用できるサービスということも導入のポイントでした。
解いた入試問題を生徒自身が解説する 数学Ⅲの微分法の授業 授業支援機能を活用し、生徒同士が解法を解説し合い理解を深めます。
授業の流れとClassPad.netの活用方法
STEP1
大学の入試問題をClassPad.netで事前に生徒たちに配布する。
STEP2
クラスをグループに分け、グループごとに各大学の入試問題の担当者を割り振り、生徒がそれぞれ自分の担当の入試問題を解く。
(一つのグループの中で、同じ問題を解いている生徒がいない状況を作る。)
STEP3
解答をプロジェクターに投影し、割り振られた生徒たちが教師役として他の生徒たちに解説する。
デジタル社会におけるネット検索の弊害や上手な付き合い方とは
デジタル時代だけあって、今の生徒たちは端末に慣れるのも早いです。あの手この手で様々なアプリやツールも使いこなして、調べるのは上手になってきています。ただ、その中には誤った情報もあると思いますので、必ずしもすべてが正解ではないということを指導していくことが必要です。誤った内容を認識してしまうと、今後の学習に影響が出てくると思いますので、制限をかけることも必要です。
他教科でのClassPad.netの活用状況
情報、英語、国語の授業で活用しています。英語や国語は言語科目ですので、単語や漢字を調べる際のオンライン辞書機能を中心に、ふせん機能や授業支援機能も使用しているようです。
導入前と導入後の【授業での変化】
生徒たちが率先して教え合う、効果的なグループ学習を行えるようになりました。
デジタル世代である生徒たちは端末に慣れていて順応性も高いため、授業の進行スピードが速くなっています。
また、我々教員たちは、常に生徒たちの理解度合いを注視していますが、我々の感じている理解度と生徒たちの実際の理解度の乖離が少しずつなくなってきたように感じます。私は授業でグループ分けを行いますが、グループが細分化されることによって、我々が気付かない間違いを、生徒同士で気付いてくれるようになりました。従来の授業では、教師一人が複数の生徒たちに教えていましたが、各グループに教師役の生徒が出てくることで、教師の手の届かないところで生徒たちが率先して教え合っていけるようになったことが大きな変化です。生徒たちの理解度にも大きくつながっていると思います。
導入前と導入後の【生徒の変化】
生徒同士で教え合うことで、理解のスピード/課題完了のスピードが速くなりました。
授業の中で、分からないと言えない生徒たちは、かなりの数いると思います。しかし、グループ内の友達だったら遠慮なくすぐに聞けて、自分一人だと理解するのに10分かかるものが、友達に聞けば5分で分かってしまいます。
生徒たちを見ていると、分かったな、終わったな、提出できるなというタイミングがすごく早くなりました。何より生徒たち自身が楽しそうにやっているので、それが一番良いことだと思っています。
生徒の保護者さんの声や評価
今の世代の生徒たちは、中学校のときから端末を使った学習をしており、当然のように高校でもICT教育に求められる部分は大きいと思っていますので、高校生のレベルに見合った端末の使い方や学習アプリの活用を心がけています。保護者の方々も最初のうちは「ゲームをしているのでは」「YouTubeを観ているのでは」といった疑念もあったようですが、端末を使って勉強していることへの理解も進み、ICT教育への取り組みとして高評価いただいています。
お気に入りの機能・使い方
授業支援機能を活用した、友達同士でしか気付けない「教え合い」の価値を発見できました。
数学ツール「ClassPad Math」でグラフが描けること、ふせん機能を使って重要な部分を生徒たちに注目させやすいこと、そして添削がレスポンスよくできることが良いと思う点です。
また、生徒たち自身が他の生徒たちの解答を開いて添削するという使い方ができますので、まわりの友達の答案を引き 出してきて、生徒同士で添削し合ったりしています。教師の管理はある程度必要ですが、友達同士でしか気付けない、あるいは同じ学力レベルだからこそ気付ける何かがあり、教え合いの価値を発見できたというのが長く使ってきて分かったメリットです。
ClassPad.netを使用した今後取り組みたい授業
同じような学力層や、得意分野・不得意分野が同じ生徒たちを集めるのではなく、グループ内にそれぞれバラバラに点在させてあげることで、一つのグループの中で教師役/生徒役を交代で展開することができると思います。最初は準備が必要だと思いますが、このような学び合いを重要視した授業を目標にしています。
生徒に聞いた、ClassPad.netの「良いところ」
今までは教科書が主体でしたので、帰宅して鞄から教科書を出すのが面倒だったり、教科書自体を学校に忘れてきたら何もできないという状況でした。ClassPad.netはスマホでもログインできるので、帰宅後すぐに見ることができて便利になったと思います。
特に数学のグラフや図は、数学ツール「ClassPad Math」の活用によって、より分かりやすくなりました。自分で解いている時、「これは本当に合っているのか」と不安になることがありますが、それが簡単に確認しやすくなったので、数学がより勉強しやすくなったと思います。
ClassPad.netには、『CNN ENGLISH EXPRESS』という実際の英語のニュースを聞いて学ぶコンテンツがあります。普段、英語のニュースをそのまま聞くという機会はないので、ネイティブで話している英語を直接聞けるのが非常に楽しいですし、和訳もしっかりあるのでためになります。
数学においてグラフを描くことはとても大切な行為です。グラフを描かせる問題がありますのでその対応が必要ですし、グラフを描くことによって、問題の答えがより分かりやすくなったりします。数Ⅲとなると、手ではとても描けないというグラフが出てきますが、それらをさっと確実に描ける数学ツール「ClassPad Math」は素晴らしいと思います。
また、ClassPad.netには様々な辞書が入っていて、複数の辞書を見比べながら、意味をより具体的に調べられるのが良いところだと思います。
《教師、自治体、学校関係者の皆さまへ》
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