2025年12月9日
「このままでいいのだろうか…」保護者の6割が学校の教育に違和感=SEiRYO学園調べ=
SEiRYO学園は8日、小・中学生の子どもを持つ保護者1011人を対象に実施した、「子どもの教育環境に関する保護者の意識と選択肢に関する調査」の結果をまとめ発表した。

それによると、「子どもの教育や学びについて、日頃どのようなことに関心があるか」を尋ねたところ、最も多かったのは「子どもの興味・関心を伸ばすこと」71.0%で、以下、「学力や成績のこと」58.4%、「人間関係の構築」52.1%などが続いた。約7割の保護者が「子ども自身の興味・関心を伸ばすこと」に関心があることから、内面的な成長や自発的な学びを重視する意識が広がっていると考えられる。

では、実際に子どもたちは今どのようなことに関心を持ち、日常の中でどのような分野に意欲を示しているのだろうか?「子どもが現在、興味・関心を持っていること」を聞いたところ、「スポーツや身体を動かす活動」39.2%が最も多く、以下、「ゲームやプログラミングなどのテクノロジー」32.6%、「工作や創作などのものづくり」25.1%などが続いた。
身体を使う体験型の活動と、デジタル技術や創造性を生かす活動の両方に関心が広がっているのが分かる。また、「ものづくり」といった創造的な活動に興味・関心がある子どもも一定数おり、結果よりも「自分の手で形にする」喜びが学びのモチベーションになっている様子が伺える。
そうした「興味の芽」を前に、保護者はどのような関わり方をしているのだろうか。「子どもが何かに興味・関心を持ったとき、あなたはどのように関わっているか」を尋ねたところ、「本人のペースを尊重しながら見守っている」52.6%が最も多く、以下、「一緒に調べたり、体験に連れて行ったりする」45.6%、「必要な環境や道具を整えている」40.4%などが続いた。
多くの保護者が「干渉しすぎず見守る」姿勢で関わっていることから、主体性を尊重する子育てが定着しつつあるようだ。共に調べたり体験を共有したりする行動も多く見られ、家庭内での「共に学ぶ」意識が高まっていると考えられる。

また、「これまでに、子どもの学校の教育方針や対応に“違和感”を覚えたことはあるか」を聞いたところ、6割が「よくある」20.8%、「ややある」39.2%と回答。一定数の保護者が、学校の教育方針や対応に違和感を覚えたことがあるという現状が浮かび上がった。個別最適化や多様性への対応が進む社会において、従来型の一斉指導に限界を感じる保護者が増えているのではないだろうか。
「そのような“違和感”を覚えたタイミング・きっかけ」について尋ねたところ、「子どもの個性が理解されていないと感じたとき」34.8%が最も多く、以下、「学校のルールや対応に疑問を感じたとき」31.4%、「集団生活の様子や雰囲気が気になったとき」23.3%などが続いた。
学校が子どもを「個人」としてどこまで丁寧に見ているのか?という視点に関わる要素が上位にランクインしており、多くの保護者が、子どもが型にはめられることへの不安や、学校全体の雰囲気が子どもに与える影響を気にかけているようだ。

そうした違和感を覚えた保護者は、その後どのような行動をとったのだろうか?「子どもの学校の教育方針や対応に問題を感じ、したことがある行動」について尋ねたところ、最も多かったのは「家族・友人に相談した」37.3%で、以下、「特に行動は起こしていない」35.3%、「外部の教育サービスや学びの場を探した」19.6%などが続いた。
問題意識を持っても、具体的な行動に移す保護者は限られているのが分かる。相談や情報収集にとどまる背景には、教育制度や地域環境の制約、そして子どもの負担を考慮する慎重さがあると考えられる。

一方、「“大人が決めた学び”ではなく、“子ども自身が見つけた学び”は大切だと思うか」と尋ねたところ、9割が「とてもそう思う」49.6%、「ややそう思う」40.4%と回答。大多数の保護者が、「子ども自身が見つけた学びは大切」と考えていることから、学びの主体を子どもに置く教育観が広く浸透しているのが伺える。保護者自身が「教えられる学び」よりも、「自ら気づき、考え、行動する学び」を重視しているようだ。
また、「子どもにとって、どのような学びの環境が望ましいと感じるか」を聞いたところ、「好きなものを調べたり深掘りしたりできる環境」59.5%が最も多く、以下、「体験や社会とつながる学びができる環境」49.1%、「興味や関心を起点に学べるカリキュラムがある環境」38.4%などが続いた。

保護者は子どもの「主体的な探究」と「実体験を通じた学び」の両立を重視しているのが伺える。学力中心ではなく、子どもの「好奇心」がそのまま学びにつながる環境を求める傾向が強まっているといえるが、「体験を通じた学び」は、どのような場で育まれると考えているのだろうか?
「“体験から学ぶ力”は、どのような場で育まれると思うか」を尋ねたところ、「子どもの“やってみたい”という気持ちを尊重してくれる場」60.0%が最も多く、以下、「子どもの意見や気づきを引き出してくれる大人がいる場」44.4%、「試行錯誤や失敗が許される場」39.6%などが続いた。
子どもの気持ちや意見を尊重し、失敗や試行錯誤も受け入れる「寛容な環境」が、子どもの挑戦心を育むと考える保護者が多いのが分かる。結果よりも過程を重視する姿勢が広がっており、教育現場にも「体験を通して学ぶ」構造が求められているといえる。

最後に、「子どもを安心して預けられる学びの場に、どのような要素があるとよいか」を尋ねたところ、「子どもの個性やペースを尊重する姿勢がある」58.2%が最も多く、以下、「多様な背景の子どもたちが共に学べる環境」38.3%、「教員免許など教育の専門性を持つスタッフがいる」36.6%などが続いた。
安心して子どもを預けられる学びの場にあるとよい要素として、「子どもの個性やペースを尊重する姿勢があること」が最も多く挙げられ、「多様な背景の子どもが共に学べる環境」や「教育の専門性を持つスタッフの存在」が続き、安心感の基準が“人”と“姿勢”にあるのが分かる。
また、「保護者とのコミュニケーション」や「信頼できる運営母体」も一定の支持を集めており、教育内容だけでなく、運営母体の信頼性や家庭との協働も重視されている。
この調査は、小・中学生の子どもを持つ保護者を対象に、11月4・5日にインターネットで実施した。有効回答数は1011人。
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