2024年10月1日
中高2,700人の大規模校で、共に学び影響し合うICTツールとして全教科で「メタモジ」が浸透/清風中学校・高等学校
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清風中学校・高等学校(大阪府大阪市/以下、清風学園)は、創立1945年、80年の歴史を有する私立男子校です。
2022年に中学1・高1生を対象にiPad+MetaMoJi ClassRoom(以下、メタモジ)の利活用が始まって3年。全校生徒2,700人が1人1台の端末を持ち、ICTを利用した授業が一巡した清風学園の現状についてお話を伺います。
同校におけるICTのインフラ整備、運用、利活用推進業務に従事しているICT室責任者の根岸太郎氏は、「端末を配っただけでは当然利活用は進みません。汎用性が高く、学生に欠かせない「書く」という行為への親和性、リアルタイム性など、これまで多種多様なアプリを見てきた経験から、紙とiPadがシームレスに行き来できるメタモジをアプリの基軸とすれば、ICT端末の利活用が進むと確信しました」と言います。
教頭・事務局長などからなり戦略を練る「ICT推進委員会」と、学年や科目が散らばる先生方からなり戦術を練る「ICT利活用担当者会議」を設置しました。「ICTツールは手段です。どんな手段をどう使うかは先生方に任せており、適切な場面で使用し自然に広がっていくソフトランディングでいいと考えています。その一方で、生徒の保護者に負担をお願いしていますので、購入したツールはしっかり使う必要があります。そのため、活用があまり進まない先生にも利活用の情報を共有する場「ICT利活用担当者会議」が機能します。教職員も200人規模になると横串のつながりを取るのも難しいですし、他校の事例はピンとこない。自校の、知っている先生の事例が最も響くのです」
清風学園では、全教科を通してICTの利活用が進んでいます。
◉クラスの動きに合わせて作られている
上田昌克教諭(中学理科)は「メタモジは、単にノートを共有するツールではなく、実際に教員が使うことを想定し、クラスでの動きに合わせて作られていると感じます。実験シートや小テストなどの印刷回収の手間がなくなり、プロジェクターで映像や資料を見せるなど、理解を助けるアクションが多く取れるようになりました。生徒が問題を解く間、机間巡視しながらメタモジでモニタリングして、必要な生徒に声がかけられるようになりました。以前は目についた生徒やそのタイミングでノートを覗くことができた生徒にしか声がかけられませんでしたが、確実に困ったり間違えたりしている生徒にその場でヒントを与えられるので、生徒にもスッと入ります」
「メタモジはただのメモアプリではないということは、使わないとわかりにくいので、1ヶ月間、自分のクラスボックスを自由に見てもらえるようにしました。同じ学校の先生が使っている実物は刺激になります」という上田教諭は、多数の実験器具等のイラストをメタモジで作成しています。「描画データがベクトルデータとして保持されているので、どんなに拡大しても美しい」イラストは、受験問題にも利用したと言います。
自作の実験器具等のイラストの数々。直線に手書きでそり返りを加えるなど、細かくリアルに描かれている。
「メタモジは、今の子たちに合っていると感じます。”調べればわかる”デジタルネイティブ世代にとって、プリント類を順番にきちんと並べることそのものは重要ではない。一方で、長期休んでいる生徒には、時系列に整理されるメリットがある。メタモジはそこを包含している。また、紙は生徒に返却すると終わりでしたが、面談時にメタモジを見てもらうと勉強への取り組み具合が伝わるのも便利です」
◉「ここ」が正しく伝わる
「国語というノートに書く教科に、ICTツールは使いにくいのではないかと思っていたので、漢字テストなどで補助的に使おうと思っていた」という小牧佳樹教諭(高校国語)。プリント教材を写した黒板に向かって板書していると、生徒に ”どこのことを言っているのかわからなくなっている状況” が生まれていることに気づき、こういう場面をICTで解決できるのではないかと感じたと言います。プロジェクターに教科書の文章を、生徒のメタモジに学習プリントを配信して授業を進めると、自分が指し示す「ここ」が、手元の自分のプリントの「ここ」だと正しく伝わることを実感、それがブレイクスルーとなり利活用が一気に進みました。
「特に記述問題をメタモジに書かせています。誰かを当てて黒板に書かせると、1問につきひとりしか当たらない。メタモジなら、全員が必ず記述問題に取り組めます」
生徒の書き込みはモニタリングして、その中で授業が盛り上がるユニークな答えを取り上げて授業を演出することもできます。
「付箋の機能も、生徒たちがよく考えるようになる仕掛けのひとつです。“話が聞けないと無理だった教科” が “見てわかる教科” になってきました。生徒の国語嫌いをなくしている感覚がありますね」
◉紙に鉛筆で書くような手書き
「メタモジになって最も大きく変わったのはやはりリアルタイム性です。問題を配布するのもすぐだし、生徒の答えも手に取るようにわかるので、”いい間違い方”をモデルにして、生徒に気づきや共有を与えることができます。これは以前はできなかったこと。中学生というのはとにかく他の子が気になる年頃なので、授業への集中力が上がり活性化していると感じます」大和雅英教諭(中学数学)
「証明問題など、数学は実は国語以上に書くことが意外に多い教科で、手書きがスムーズにできることが大切です。相手にわかるように伝える訓練を丁寧にやりたいと常々考えていましたが、適したツールがありませんでした」と、紙に書くような感覚で書ける点に注目しています。
回答を穴埋め形式にする際に、クラスの習熟度によって回答を導く過程に変化をつけるのに、複製やアレンジが簡単にできる点も大きなメリットだと言います。
◉音声も貼り付けられるノート
宮川貴至教諭(中学英語)は、英語学習ならではの使い方として「リスニング後にスクリプトをメタモジで配布したり、学習後に音声を貼り付けて復習できるようにしています。これは紙では決してできないことで、英語学習にとっては大切な学び」だと言います。今後は生徒の音声を貼り付けて提出させたり、作文をリアルタイムに黒板に写して共に学ぶといったことにも使用したいと言います。
「メタモジはクラスみんなで決めるようなものに向いています。係を決める時に一覧をポンと入れておけば、メタモジは黒板や大きな紙のように便利に使えます。」
◉実技をICTで補う
「音楽の授業は、コロナ禍によって歌が歌えなかったので、音楽室には行かずにICTを教室でフル活用し、歌わないでよい授業をしてきました。音楽室に戻り、歌うことの重要性を再認識しています。音楽室が使える今、ICTと歌うことを組み合わせた授業ができるようになり、授業の効率化、円滑化を進めることができるようになりました。」 辻村健一教諭(中学音楽)は、「伴奏はメタモジに取り込んで流せるため、私は歌唱指導に集中できることが良いです。複数の教科担当でひとつの学年を担当していても、授業で使うプリント類などは共有ボックスに入れ合うようにしています。そのため教科担当が違っても同じことを教えることができます」と言います。
◉記録を通して自分を客観的に見る
清風学園では部活動も盛んです。中学生が担任の先生とのやりとりや学習の記録を毎日つける「清風ポータル」のように、高校第二バレー部の平尾真也教諭は、練習の日記「バレーノート」にメタモジを利用しています。試合の振り返りやトレーニングの記録には、自分を客観視し、自分に何が足りないかを考えさせる力があります。また作戦会議でも、選手を表す文字を掴んで動かしたり、レーザーポインターで動線を描いて説明しています。
今後は「試合の記録映像や正しいフォームの映像を貼り付けておき、フォーム改善の前後で比較をしたり、統計データや映像などを使って外側から客観的に自分を捉えるためのツールとして、部活動に限らず体育の授業でも使っていきたい」と言います。
◉共有・積み上げ・連鎖する力
どの先生も触れたのが、終礼用ノート(授業記録)の作成です。それぞれが気がついたことを共有し積み上げ、連鎖して書き込めるので、ひとりだけで考えるよりもさらに進んだ内容に到達することに加えて、公共のものなのでマナーやルール・リテラシー教育にも繋がる点を評価しています。
また、授業記録以外にも、テスト前に対策フォルダを作って一緒に学びあったり、夜遅くに頑張っている友達の存在に励まされるなど、これまで悪いベクトルの心配が強かったICTツールの、ポジティブな利用が増えていると言います。
清風学園では、登校後すぐ朝の15分学習(日替わりで数学、国語、英語)の問題配信から始まり、全教科の先生方が常に発想をアップデートしながら授業を展開しています。新卒の先生の中には、ICTツールを当たり前に使う世代の先生も出てきつつあり、今後加速度的に利活用が拡大し、生徒たちの学びの向上が期待されます。
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