2025年6月5日
ユーバーの「Scratchで小・中学校のプログラミング」Vol.09 <ランダムな九九クイズ>
ユーバープログラミングスクールの中村里香代表による、小学校のプログラミング授業で使ってほしいプログラミング言語Scratch(スクラッチ)の学習動画第9回。
今回は<中級者>向け、Scratchで「ランダム」九九クイズのプログラムです。
変数と繰り返しによる九九のプログラムをクイズにする
前回の動画では、Scratchの「質問(○)と聞いて待つ」と「答え」を使って特定の段の九九クイズを作りました。
今回はその応用として、出題する九九の組み合わせをランダムにし、正解すると得点がカウントされるようにすることで、よりゲームらしく楽しめるプログラムを紹介します。
クイズ感覚で繰り返し取り組める仕組みにすることで、九九の定着を自然に促すことを目指します。
◆特定の段のクイズ(振り返り)
九九の「段」を入れる変数「だん」と、「かける数」を入れる変数「かけるかず」を準備します。Scratchの「質問(○)と聞いて待つ」のブロックで「式(段×かける数)」は?」と出題を表示します。入力した値は「答え」というあらかじめ用意されている変数に代入されるので、この「答え」の値と九九を計算した解が等しいかどうかを調べる条件でリアクションを分岐させ判定の演出をしています。
変数「かけるかず」を1ずつ増やしながら、9回繰り返します。例えば「だん」に「1」が入っているとき、計算式は「1×1」「1×2」…「1×9」と進んでいくことで特定の段のクイズを完成しました。
*変数とは、数値や計算式、文字列などのデータに名前をつけて保存し再利用するための仕組みです。
◆ランダムに5問出題する
前回のプログラムをもとに、出題する「段」と「かける数」の両方を毎回ランダムに設定します。はじめにキャラクターのセリフを「九九クイズ」に変更します。
変数「だん」と「かけるかず」にそれぞれ1から9の乱数を入れるようにします。
また、前回は「かけるかず」を1ずつ増やして9問出題していましたが、その処理は削除し、今回はランダムな出題を5問繰り返すように設定します。
変数「とくてん」を用意して、正解数をカウントする機能を追加します。まず、冒頭で「とくてん」の初期値を0に設定します(初期化)。
そして、正解した時に「とくてん」に1を足すようにします。Scratchでは変数に数値を足すときに「(とくてん)を(1)ずつかえる」のブロックを使います。
5問すべての出題が終わった後、変数「とくてん」の値が5だったときに、背景を変更したり音を鳴らしたりする演出を加えます。
背景を変更する場合は、最初に表示しておく背景を忘れずに指定しておきましょう。
このような小さな演出でも、達成感や楽しさを感じやすくなり、繰り返し挑戦したくなる効果が期待できます。
さらに、正解数が4問なら「すごいね!おしい!」、3問なら「その調子!」など、成績に応じたコメントを表示するのも効果的です。

これで「ランダムに出題され、得点がカウントされる九九クイズ」が完成しました。次回は、このプログラムをベースに、メッセージングやクローン機能を活用しながら、子どもたちが「やってみたい!」と思えるような演出を加えていきます。
算数授業での活用
Scratchはゲームづくりだけでなく、子どもたちのアイデアの表現、発表、調べ学習など、さまざまな教育活動で活用できるツールです。
今回紹介した「ランダム九九クイズ」は、九九を楽しく覚えることはもちろん、乱数や変数、条件分岐といった考え方を、自然に体験しながら身につけられる教材にもなります。
授業のスタイルや子どもたちの様子に合わせて、少しずつアレンジしながら使っていただけたら嬉しいです。
◆変数とは
<筆者プロフィール>
ユーバー株式会社 代表 中村里香
2017年4月、すべての子どもが楽しく学べるプログラミング教育を目指し、ユーバー株式会社を設立。プログラミング教室運営、クラウド型学習サービス「うさプロオンライン」の提供、教材開発、講師育成支援、体験イベントの開催などを行う。環境に左右されない学びの機会を届けるため、教育現場や企業と連携し活動中。
ご質問・お問い合わせ info@yuber.jp 中村宛(ご質問は該当記事のURLを添えてください)
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