1. トップ
  2. ズームイン
  3. 高校教員必見のオンラインセミナー レポート【後編】 「探究的な学び」の最初の一歩を踏み出しはじめた私学高等学校の取り組み事例

2025年3月3日

高校教員必見のオンラインセミナー レポート【後編】 「探究的な学び」の最初の一歩を踏み出しはじめた私学高等学校の取り組み事例

【PR】
一歩踏み出して今探究を始めた、会津北嶺高等学校
相田美保教諭

会津北嶺高等学校は創立100周年を迎えた福島県の会津地方にある全校生約260名の市立学校です。普通科特進コース・進学コース、および男子のみの機械科自動車コースからなる3クラス制です。全国的に高校の自動車コースは珍しく、学校の特徴となっています。また、英検の全校受験に取り組むなど、生徒の学力向上に積極的な学校の探究の授業には「すららサテライザー」が使われています。2024年10月25日のすららネットオンラインセミナーの後半は、この会津北嶺高等学校で探究の授業を担当する相田美穂先生(以下、相田先生)の取り組みを紹介しました。

探究という新しい授業に悩む先生は多い

「探究的な学び、正直とても困りました…」と、会津北嶺高等学校の当時1年生の副担任だった相田先生は、総合探究の時間を担当することになった時の気持ちをこう切り出しました。 相田先生の専門科目は音楽、家庭科で、この他にeラーニング3時間、礼拝、そして探究の1時間を入れて週8時間の授業を受け持っており、家庭基礎の教材研究もありました。時間に追われる大変な日々を振り返り、「新しくできた探究の授業にどう対応をしていくのか、悩んでいる先生は多いのではないでしょうか」といいます。

探究授業に関して、特進コースの1年生と2年生には、海外との国際交流をテーマに民間企業が行う高校生支援授業を実施し、3学期にそのプログラムでの学びを英語で発表することで評価するというところは決まっていたそうです。

しかし、それ以外のコースに通う生徒の探究授業も、もちろん必要。「『総合的な学習』の時は、学校の指示でこれを行うというわけではなく、担任がいろいろと調整をして授業をしていたのですが、『総合的な探究の時間』になると、探究学習で成果を出すということが求められるようになったのです。いきなりそう言われても、『探究って一体どうしたらいいの? 何をテーマにしてどうやって進めるの? 成果をどうやって出すの?』と、これまで行ったことのない授業に悩みました」と相田先生は、探究授業の開始時には本当に戸惑ったことを訴えました。

試行錯誤で教材を試した結果「すららサテライザー」に

相田先生はテーマについてさんざん悩んだ末、最初は企業が提供する無料プログラムを見つけ、利用を始めたそうです。しかし、それは授業時間内50分でできる指導案やワークシートの台本付きで便利ではありましたが、1回の授業だけで終わってしまうものでした。「単発の授業では、継続的な学びを実現するのが難しいと感じました。また、横のつながりもないため、結局、次は何を? 着地点は? と、学校内でも指導の方向性が定まらず、成果への導き方に不安を感じていました。そんな時に『すららサテライザー』の導入トライアルのお話をいただいたのです」。

補助金の利用も可能で、トライアルからということで、探究の授業に迷走する相田先生は、2023年の年度途中ではあったものの機械科自動車コースの生徒に「すららサテライザー」の利用を決めました。時期的に1人1台端末が実現したこともあり、導入はスムーズに進んだとのことです。こうして、2024年度からは普通コースも加えた2学年で「すららサテライザー」を展開しています。

実際の授業風景。2年B組の普通科コースでワークシートを活用する生徒。ウェビング法などアイデアを出しやすい方法が好評です。

「すららサテライザー」導入後、生徒に変化が

「すららサテライザー」を利用した探究授業を開始してから、生徒の変化を相田先生は感じているといいます。それは、「発表する能力が上がっているようです。今まで発表できなかった生徒も何かしら発表するなど、受け身だったところに変化が現れています」と、手ごたえがあったようです。

他にも、「すららサテライザー」を利用して、「調べる」という部分にもこれまでとは違う反応が見られたそう。「自分自身で、パソコンを使い調べる。あとは、グループで相談してみる。興味があることについて、どんどん深掘りしていく。そんな風にやってみて、今までにはなかった喜びや興味・関心に対して、生徒に知識を深めていきたいという気持ちが芽生えているようです」と、自発的に学ぶ生徒の姿に、期待が持てるといいます。
そして、これまで時間に追われていた相田先生にも変化が。「用意されたワークシートで指導ができるので、準備時間が短縮されます。その時間を、もっと違うところに使うことで余裕も生れました。『何をしようか・・・』、『プリントをどうしようか…』、毎週の探究に負担を感じている先生方にとっては、強い味方になると、実際に体験をして感じています」。

「すららサテライザー」を十分に使いこなしているわけではないという相田先生ですが、余裕を持つことで、生徒に十分目を向ける時間ができ、生徒が興味を持っていると感じるトピックは1時間で収めず、2時間にするといったアレンジも加えているそうです。
現在の「すららサテライザー」で探究授業を行っているのは相田先生だけという状況に、「今後は学校で教材をどのような位置付けにするか」が課題だといいます。「例えば、1年から始めるのか? 成果はどのように示すか? など、体制作りを含め、今は私だけでやっていることを他の先生と共有しながら、学校全体で目標を定めなければいけません」と、相田先生はICT教材を利用した探究授業が、もっと有効に作用する展開を模索しています。

実際に使われているワークシート。思考の仕方が身につく工夫が施されているそうで、積極的に取り組む姿が伺えるといいます。

探究学習は生徒と先生で学び合う

探究授業に「すららサテライザー」を導入した感想を、最後に相田先生はこのようにまとめました。

「探究するテーマが決まっている。または自主的にやりたいことがある生徒にとって探究の授業はとても有意義な時間です。しかし時間割りの中で、さあ探究やってください!やりましょう!という場合、毎週何をするかになってしまいがちで、先生側も生徒側も無駄な時間になっていないかが心配でした。しかし『すららサテライザー』を使えば、何をするのという悩みがなくなりました。様々な工夫を取り入れて、授業を円滑に進めることができますし、生徒の興味がありそうなトピックについて深堀りして使っていくのも良いと思っています。グループ活動が中心になるので、これまで積極性を見せなかった生徒も少しずつ前向きになっているような気がします。生徒のワークシートの内容などを見ると、まだまだかもしれませんが、活発な意見交換などを行う姿に、ようやく一歩踏み出したと感じます。これから私自身も勉強をし、質の高い探究の時間にしていきたいと思っています」

先生がすべて抱え込むのではなく、役立つものに頼り、ポジティブな効率化を図ることが、探究学習を向上させるポイント。そう現場の実体験から語る探究授業への率直な気持ちは、同じ悩みを抱える先生たちへのメッセージのようでもありました。そんな、探究的な学びに真摯に向き合う相田先生のお人柄も見えた、すららネットの高校教員向けオンラインセミナーでした。

「すららサテライザー」を使った授業風景。ゲームのように展開するストーリーに興味津々の生徒たち。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<お役立ち情報>
セミナー<レポート1>の学術的な根拠から探究授業を解説した社会構想大学院の荒木貴之教授からも、生徒と先生の双方で学び合うメリットとそれに適した教材として紹介された「すららサテライザー」。それは、一体どんな教材なのか? セミナーの途中で解説された内容をご紹介いたします。

探究授業に役立つ「すららサテライザー」はこんな教材

「すららサテライザー」は、宇宙の「人工衛生」という未知なテーマで探究学習に取り組むICT教材です。生徒が探究的な学びを深めることはもちろんですが、担当をする先生も一緒に学ぶというコンセプトが特徴です。

コンテンツは、3つのセクションにまとめられています。最初のセクションは、探究と人工衛生をテーマに学びをスタートします。次のセクションでは、SDGsに関連する5つのテーマから1つを選択し、3、4人のグループで探究的な学びを深めます。最後のセクションは、前のセクションで選んだテーマから課題を掘り下げ、プログラムにある人工衛星からの情報をもとに課題解決に導くといった展開になります。これが、1ユニット50分で学べます。

1ユニットの構成はレクチャー、グループワーク、自己相互評価の3つの要素で、他のすららのICT教材と同様に、途中で質問などを挟みながらアニメーションと音声が、生徒の気分をワクワク盛り上げていきます。

見逃せない「すららサテライザー」の特徴

これまでのすららの教材と異なるのは、生徒が回答するワークシートの一部にマトリックスなどを盛り込み、思考やコミュニケーションをまとめるフレームワークを用意している点です。マトリックスのようなフレームワークは社会に出ても使えるスキル。このように実践から体得する将来役立つ知識を、すららネットでは「探究の基礎体力」と呼び、すららネットが提供するICT学習教材には積極的に組み込まれています。

先生の「利用のしやすさ」への配慮も「すららサテライザー」の特徴です。指導マニュアルをすべてのユニットに用意し、授業の進行時間とリンクしながら内容が把握できるようになっています。予測される生徒の反応と、それに対する対応も授業進行時間に合わせて記載されています。

自己相互評価については、ルーブリックによる評価がコメント付きで記録できます。時系列に沿ってデータ記録の確認が可能で、生徒も先生も過去の自分自身と比較して伸びを確認することができます。また他者と自己の評価を比べることもできるため、メタ的な自己能力の伸びも確認することができます。

このように「すららサテライザー」の機能を効率的に使えば、授業準備の手間を省くだけでなく、担当する先生のスキル差や探究学習の進行と評価への不安があっても、一定以上のクオリティを保ちながら、探究の授業を進められます。


そして、「すららサテライザー」の一番の特徴は、JAXAの宇宙探査機はやぶさを手掛けているNECスペーステクノロジー株式会社との協働制作で、専門家が監修するストーリーの面白さなのです。

会津北嶺高等学校の相田先生はセミナーで、「すららサテライザー」で「小さな一歩を踏み出した」と述べていました。これを、人類で初めて月に降りた宇宙飛行士アームストロング船長の「人間にとっては小さな一歩だが人類にとっては偉大な一歩だ」の名言に宇宙つながりで置き換えると「探究学習にとっては偉大な一歩だ」といえます。壮大な宇宙を探究の旅で日本中の高校生と先生が楽しめる、魅力あふれたICT教材が「すららサテライザー」ということなのでした。

関連URL

「すららサテライザー」

すららネット

自律的な学習者への第一歩に 自己効力感の向上 活用事例多数紹介 すらら 活用事例のご紹介
株式会社TENTO

アーカイブ

  • ICT要員派遣はおまかせ! ICTまるごとサポート 詳細はこちら
  • 事例紹介作って掲載します。 ICT教育ニュースの楽々 事例作成サービス