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2017年2月16日

私立中高がiPadを新規導入する時に押さえておきたいポイント

私立の中学校や高等学校で、iPadの導入が進んでいるという。また、導入を検討している学校も多いことだろう。そこで今回は、これまで数千台のiPadを学校に導入してきた、教育産業の山口宗芳氏に、私立学校がiPadを導入するに当たり、注意しなければならないポイントを教えてもらった。

私立中高がiPadを新規導入する時に押さえておきたいポイント
山口宗芳  教育産業 ICT推進課 チーフアドバイザー

iPadが選ばれる理由

私立学校において、選定される事が多いiPad。なぜiPadが他の端末に比べて、選ばれているのでしょうか。

iPad-1おもな理由は「日本各地で先進校があり、活用事例、課題と解決方法も見つけ出されている」、「教育に活用できるアプリに中には無料のものが多くあり、スタート期、活用拡大期にも、それら無料のアプリをうまく活用しながらもスピード感を持って活用を進められる」、「タッチパネルの反応の良さ」「初めてタブレットに触れる教員が理解しやすい操作方法」などです。

最近私立校の中ではChromebookの導入校も増えてきていますが、校外での活用(主にはカメラでの写真や動画の撮影)の際の使い勝手の良さは、ノートPC型のChromebookと比べるとiPadに軍配が上がります。

iPadの良さは何かと聞かれることもありますが、私はいつもこう答えています。

「何をするにしても平均点が総じて高いのがiPadの特長ではないでしょうか?」

これは、2011年にiPadを使った講義の産学協同研究で大変お世話になった愛知学院大学教養部の佐々木真教授が当時から提唱されていることです。

学内にいても外出してもお家にいても、起動が早くバッテリーの持ちも良く、カメラも内向きと外向きがあり、教育上有用な無料アプリが多く存在していて、タッチパネルの精度も良い、どんな利用シーンでも使いやすいと考えています。

iPadの導入パターンと購入方法

いざ、iPadを購入することになった場合に、導入パターン毎に調達方法も変わります。

image by PIXTA

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1台のiPadを特定多数の生徒で利用する場合、これを共用パターンと呼びます。代表的な共用パターンは、「1人1台個人利用→人数分購入」「1クラス 1人1台 →1セット40台購入」「1クラス 2人1台→1セット20台購入」「1クラス グループ1台→1セット10台購入」の4通り。

購入方法としては、共用パターンでのiPad購入する際は、学校側が購入することがほとんどです。その他に、いわゆるBYOD(Bring Your Own Device)と呼ばれる個人購入パターンもあります。

BYODで1人1台といっても、学校としては、新年度入学生に購入してもらうことにはなりますが、それを特定コースだけに絞った形で導入するか、全コース満遍なく導入するケースに分かれます。

image by PIXTA

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個人購入した場合、利点として、生徒が作成したドキュメントや作品、学内外での学校行事の写真や動画をiPad内に保存をしておくことができます。

iPadの購入先ですが、教育機関向け正規販売店(Apple Education VAR)から購入いただくのが無難です。詳しい話は今回しませんが、現在展開が始まっているApple School Managerなどの教育機関向け新機能の中で、これらの正規販売店を通しての購入でないと有効にならないサービスをもありますので、学校から近いからといって家電量販店での購入は控えていただいた方がよいでしょう。

実例として、学校近くの店舗が閉鎖されてしまい、修理に出そうにも遠く離れた店舗まで持参しなくてはならなくなった学校もありました。

iPadは万能ではない

多くの私立校でiPadが選択されていますが、課題もあります。例えば校務利用については、Windowsでしか動かないソフトがあり、iPad上では利用ができないという可能性があります。

その他にも教員用デジタル教科書が、iPadでの利用にまだ対応していないものが少なくない、という課題もあります。

また、普通教室や学外でのフィールドワークでは活用しやすいiPadですが、将来社会人になった時のPC活用スキルを上げるための情報教育やプログラミング教育についてはあまり向いていません。学校内に整備されているPC教室を利用する形で進めるなど、すべてiPadで済ませようという考えではなく、目的に応じた望ましい環境で教育を進めるという柔軟な考え方も必要になります。

ICT教育でiPad以外に必要なもの

タブレット本体以外に、学校内の環境作りで大事な要素がたくさんあります。

はじめに通信手段としては、WiFi(無線LAN)とLTE(セルラー方式)があります。

インターネット接続なしにも、iPadは活用できますが、WiFiがきちっと整備されている環境で利用ができることで、授業内活用の幅がグッと拡がります。Web上でなにか調べ物をする時に必要となりますし、後述する授業支援アプリの利用時にも必須になります。

最近ではLTEモデルのiPadを導入するところもでてきています。この場合、無線LANのトラブルに悩まされることはなくなりますが、本体の買い切りとなるWiFiモデルのiPadと異なり、インターネット接続機能を内蔵しているLTEモデルの契約は、利用期間中ずっと利用料の支払いが発生するなど、導入前に十分内容を検討することが必要となります。

その他、iPadを導入する際にあわせて整備を行いたい機器としては、電子黒板や大型テレビ、プロジェクターなどの「大型提示装置」や「授業支援アプリ」、「充電カート」や「MDM」など管理ツールが必要になります。

授業支援アプリ以外は授業内で活用するものではありませんが、授業前後での運用面において必要となるものです。例えば、充電カードについては、学内で活用する際にiPadのバッテリーが十分に充電されていなければ、学習活動で利用できなくなってしまいます。それを回避するために必要なハードウェアになります。

また、MDMやApple Configurator2は、学内WiFiへの接続や事前に取り決めたiPadの運用ルールに基づいて、iPadでやっていいこと、やっていけないことを設定することにより、本来の導入目的外の利用を制御することのできるツールです。

この他に、デジタル教材や学習アプリももちろん必要です。iPadに最初からインストールされているアプリ等においては、複数ある教科間で汎用的に使用できるものがありますが、iPadの教科内で活用が進むにつれて学習内容により則した形での活用が求めれれるようになります。

iPadに向いている活用としては、反復学習(ドリル)が考えられ、それぞれ科目毎に無料もしくは安価で優れているものもありますから、それらを上手に利用したいですね。

導入前にプロに相談を

iPadを購入するれば即使えるかというと、そういうわけではありません。iPad本体だけ購入すれば何とかなる、という考えでは、少なくとも教育ICT導入で成功したとは言えません。授業内で活用する時をイメージして準備するだけでも十分とは言えません。

image by PIXTA

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管理運用まで含め、iPadの学内活用が活発にまたスムーズに行うことが出来るようになって初めて成功と呼べるのではないでしょうか。そして、iPadを含めた教育ICT導入・運用の知識や経験なく、学校教員だけで進められる程、簡単なものでもありません。

そして、業者に相談をする時にも注意頂きたい点があります。学校によく出入りしているが、iPad導入や運用の実績がない業者に依頼するのではなく、数多くの学校のサポートをしていて、それぞれの学校で顕在化したトラブルの対応実績があるiPad専門にサポートしている企業に相談をすることがiPad導入成功への近道となるのではないか
と考えています。

どの段階でプロに相談するのが良いのでしょうか。
当社では、導入前の計画から学内導入が始まった後の運用まで、数多くの学校のお客様に対してサポートを続けており、新年度におけるiPadの機器選定についても情報提供によるサポートを行っています。

どちらの学校においても、教育ICT導入を進めるにあたっては、考えなくてはいけないこと、また実行するにあたってもいろいろと決断をすることになります。iPadを導入することが決定したのなら、「導入はしたが授業では使っていない」ということにならないよう、しっかりとサポートのできる業者を選定していただきたいものです。

yamaguchi-2山口 宗芳
教育産業株式会社 ICT推進課 チーフアドバイザー

教育機関向けiPad導入運用サポートを担当。これまでに代行設定したiPadは8000台超。iPad本体だけではなく、Apple社の提供するApple ConfiguratorやVolume Purchase Programの知識を有し、アクセサリーやMDMなど幅広い製品を含め、運用に課題を抱えている教育機関へ最適なソリューションを提供中。

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