2024年1月17日
教科書と同じ順・同じ内容を個別最適に学べる「Qubena 教科書×AI コンテンツ」/「教科書」「ドリル」「テスト」のシームレスな学びが加速
個別最適な学びを実現するAI型教材として高い精度を誇る「Qubena(キュビナ)」が小中学校の主要教科書に準拠したコンテンツ・機能の提供を開始した。
2022年9月、文部科学省によるMEXCBT(メクビット)と連携する「学習eポータル」としてサービスを展開し、子どもたちの「テスト」と「ドリル(Qubena)」はシームレスにつながった。そこに学びの中心である「教科書」が加わるのだから強力だ。
これまで以上に効率よく一人ひとりに合った学びの効果を実現する「Qubena 教科書×AI コンテンツ」。開発・提供元である株式会社COMPASSの木川俊哉 取締役に話を聞いた。
AI型教材「Qubena(キュビナ)」はなぜ効率よく質の高い学びを実現できるのか
「Qubena 教科書×AI コンテンツ」はその名称の通り、教科書に準拠したコンテンツを、多くの学校現場で評価されているQubenaのAIで個別最適に学ぶことができる点が、大きな特徴となっている。
―まずはAI型教材「Qubena」の特長や優位性についてあらためて教えてください
木川取締役:小中学校9学年分、英語を含む5教科に対応したデジタル教材です。全問題がAIによる個別最適化の対象で、学習状況をリアルタイムに解析し数万題から最適な問題を出題します。AIドリルの黎明期からたくさんの子どもたちの学習データと向き合うことで積み上げてきたAIの分析精度の高さが最大の優位性と自負しています。また学習の質向上のカギとなる「理解」と「定着」の2つのAIが搭載されている点もQubenaならではの強みです。
―「理解」と「定着」のAIとは具体的にどのような仕組みでしょうか
木川取締役:子どもの考え方や間違い方、間違いの原因には一人ひとり違いがあるので、そこをリアルタイムに解析し次に出す問題を適切に変えています。一問ごとに、正誤の結果だけでなく解くまでのプロセスや所要時間、解答後に表示される解説をしっかり読んでいるかどうかまで含めて一人ひとりの「理解」をAIで詳細に分析しているのです。先生が丁寧に子どもに寄り添っているのと同じです。
一方、忘れ方も一人ひとり違います。理解度によっても忘却の傾向は変わりますし、もちろん時間経過でも忘却は進みます。Qubena独自のロジックで忘却曲線を計算して適切なタイミングで自動的に効果的な出題を繰り返し、効率の良い学びを実現します。これが「定着」のAIです。
―効率的で良質な学びですね。利用者の声を聞かせてください
木川取締役:今お話しした「定着」のAIを使った機能として、一人ひとりに最適な復習問題を出題する「5分間復習」があるのですが、短時間で気軽に取り組みやすいと評判です。朝学習や授業の振り返りはもちろん、家庭学習などのシーンでも、子どもたちが主体的に取り組んでいます。
子どもたちの学習データをリアルタイムに収集・分析して可視化し、先生をサポートする「Qubenaマネージャー」というツールも高評価をいただいています。授業の理解度をその場で把握することも、家庭や学校での学習状況を詳細に把握することもできるので、きめ細かな指導や成績評価に活用が進んでいます。
また「学習履歴」の画面では取り組み問題数や時間に加え、4段階の「習熟度」で単元ごとの理解状況を子どもたち自身が確認することができます。自分の得意・苦手分野が一目でわかるので、何をやらなければいけないのか自分で考えられるようになった、学びに主体性が見られるようになったという声も届いています。
―現在の利用者数はどれくらいですか
木川取締役:約170自治体の2300校、100万人以上の小中学生に利用していただいています。AIによる精度など基本機能への評価に加えて、昨年度より「学習eポータル」としてMEXCBTをはじめとする外部サービスとの連携を積極的に行っていることも多くの自治体・学校現場で評価をいただいています。
教科書対応のきっかけ 〜子どもの戸惑いと先生の負担をなくし使いやすくする
2023年11月から、Qubenaは、「Qubena 教科書×AI コンテンツ」の提供を開始し、文部科学省検定済みの主要教科書への準拠対応を進めている。
―Qubenaの今回の教科書準拠対応の背景について教えてください
木川取締役:昨年は、全国学力・学習状況調査においてQubenaを利用したMEXCBTでの受験が実施され、「テスト」と「ドリル(Qubena)」のシームレスな連携を実現することができました。そこからさらに子どもたちを中心としたシームレスな学びの環境を実現するためには、学校における学びの中心にある「教科書」との連携が必要不可欠と考えました。
子どもたちが日々の学校の学びで使っている「教科書」「ドリル」「テスト」の3つが、それぞれ独立するのではなくシームレスにつながって個別最適化することで、より便利になると考えたのがきっかけです。
―教科書準拠対応をする以前の具体的な課題とはどんなことでしたか
木川取締役:Qubenaだけではなく、デジタルドリル全般に共通する課題として、まず一つ目は、教科書とドリルの目次が一致していないことによる対応関係のわかりにくさがあります。先生の指示がないと学習した単元に該当するドリルの問題がわからないため、子どもたちにとって不便で、主体的に学びにくいですし、先生の教材研究の労力もかかります。これは本望でないことでした。
二つ目の課題として、各教科書では扱う題材が異なります。例えば国語や英語なら物語や例文が違うとか、理科なら扱う対象の動植物が違うとか、社会なら例示される地域が違うなど様々です。植物の構造を学ぶ際、学校で使っている教科書では「ヘチマ」が題材となっているのに、ドリルでは「アブラナ」の問題が出てくる、それだと子どもたちは戸惑ってしまうんですよね。一つひとつの知識の入り口に立つ子どもたちにとっては、そうした違いがハードルになりかねません。教科書を軸とした授業の学びとドリルの学びの連動性を高め、そうした最初のハードルを無くすことが必要であると感じていました。
このような従来のデジタルドリルが抱えていた課題に取り組み、子どもたち、そして先生方にとっても、より使いやすいものとするために今回スタートしたのが「Qubena 教科書×AI コンテンツ」です。
Qubena 教科書×AI コンテンツとは 〜何が変わったのか
2023年11月から2024年4月にかけて3つの新コンテンツと1つの機能からなる「Qubena 教科書×AI コンテンツ」が順次リリースされている。
―「Qubena 教科書×AI コンテンツ」について具体的に教えてください。
木川取締役:大きく分けて、主要教科書に準拠した新しい「コンテンツ」の搭載と、従来のQubenaのコンテンツを教科書に合わせて学べる新しい「機能」の搭載があります。
木川取締役:全国の小中学校で採用されている主要教科書と同じ並び順・同じ内容の問題をQubenaのAIで個別最適に学習することができるコンテンツです。並び順の一致に加え、各教科書の掲載作品や用語、表現などを使用した問題を中学校向けには既に提供を開始しており、小学校向けには2024年4月の提供開始を予定しています。
どれくらい内容が一致しているかというと、国語や英語では教科書に掲載されている作品や本文を使用した問題、理科や社会では教科書ごとに使用している用語や表現、事例などが一致した問題を搭載しています。教科書と同じですから、子どもたちは戸惑うことなく自信を持って学ぶことができ、先生方はより安心して授業や家庭学習など、日々の学習シーンで活用していただけるようになると考えています。
中学校向けには既に5教科の「教科書単元確認問題」と英語の「教科書基本例文問題」を2023年11月よりリリースしているのですが、リリース翌日から、すごい勢いで利用が伸び続けていまして、その期待と有用性の高さを確信しています。
これまでも紙のワークやプリントで教科書に準拠した問題に取り組むことはできたと思いますが、問題を作り、印刷物を刷って、生徒が解いたものを採点し、さらに授業で解説を行う、といった先生方の負担の問題もありました。Qubenaであれば、そうした業務を端末上で完結させることができるとともに、AIによる子どもたち一人ひとりに応じた個別最適な学びが可能になります。既に新コンテンツを利用いただいている学校現場の皆さまには、そうした「教科書に準拠したAI型教材」であることのメリットを感じていただけているのだと思います。
―新機能「教科書目次対応」について教えてください
木川取締役:今ご紹介した教科書に準拠した新コンテンツに加えて、利用教科書を問わない「標準版」である従来のQubenaのコンテンツも引き続き搭載します。それらのコンテンツも、4月からはそれぞれの小中学校で利用中の教科書の目次と「同じ章名」・「並び順」で学習できるようになり、より便利に使っていただけるようになります。
先生の指示がなくても単元範囲がわかるようになるので、子どもたちは主体的に学びやすくなり、先生の教材研究などの負担も軽減されると期待しています。教科書で学ぶ知識の応用力を高めるコンテンツとして、シーンやニーズに合わせて、新コンテンツとともに活用いただければと思います。
今後の展望 〜デジタル教科書との連携へ
―「Qubena 教科書×AI コンテンツ」で進化するQubenaですが今後の展望について教えてください
木川取締役:今回の取り組みの背景として「教科書」「ドリル」「テスト」の3つが連携することの必要性についてお話ししました。「Qubena 教科書×AI コンテンツ」で「教科書」と「ドリル(Qubena)」がつながることで、「子どもたちを中心としたシームレスで個別最適な学びの環境づくり」を一歩先に進めることができたと思っています。そして、今回の連携は教科書の目次や内容といったコンテンツ軸の連携ですが、次のステップとして、データ軸の連携についても既に検討を進めているところです。
具体的には、今後本格的な導入が進められていくデジタル教科書との連携について、来年度の実証を目指して計画中です。デジタル教科書からQubenaへリンクして該当する学習内容の演習をしたり、逆にQubenaの問題から該当する教科書のページに飛んで確認したり、子どもたちの日々の学習をよりシームレスなものにできるよう、開発の準備を進めているところです。
―理想的な形ですが、障壁や課題、実現に向けてどのように考えますか
木川取締役:もちろん課題もありますし、一朝一夕では実現できません。一気に変えてしまうことは混乱も生じます。ただ現在業界内でもデジタル学習基盤の整備についての議論が進められているように、子どもたちがサービスの垣根を感じずに行き来できる環境の実現へ、確実に一歩ずつ良い方向に向かっていると信じています。当社はそれがより良い形になるよう着実に貢献していきたいと考えています。
1月20日(土) オンラインイベント開催
COMPASSは、教科書と教材の連携をはじめとするデジタル学習基盤の今後をテーマとしたオンラインイベントを1/20(土)に開催する。今回紹介した「Qubena 教科書×AI コンテンツ」のより詳しい説明の他、文部科学省やデジタル教科書の提供事業者をゲストに迎えてのパネルディスカッション、大阪府東大阪市による効果発表などが予定されている。
詳細・申し込みはこちらから確認を。
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