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2021年2月22日

GIGAスクール構想とは(3) ICTを活用した「学びの中身」はどうするのか

年度末に向かって「GIGAスクール構想」はいよいよ大詰めを迎えている。今年度中に児童生徒1人1台端末と校内の高速ネットワーク整備、加えてオンラインによる家庭学習も可能にしようというのが国の目標だからだ。本来3カ年計画だった「GIGAスクール構想」を半分の1年半で実現しようとなったのは、新型コロナウイルス感染症による一斉休校で、予想以上に日本のICT活用教育が遅れていることを官民共に実感したからにほかならない。日本の医療にも経済にも、国民の生活にも大きな悪影響を与えているコロナ禍で唯一といっても云い好影響がGIGAスクール構想の前倒し推進だったかもしれない。4月から始まる「1人1台情報端末」+「高速ネットワーク」を活用した「新しい学び」に向かって、教育現場ではてんやわんや状態のところもあるかもしれない。

ところで、「1人1台情報端末」と「高速ネットワーク」を使って、どのような「新しい学び」を始めるのかは決まっているのだろうか。環境が整備されたからといって、目指す「新しい学び」が自動的にはじまっていくわけではない。今回は、GIGAスクール構想で整備された環境で行われる「新しい学びの中身」について考えてみる。2020年補正、2021年補正合わせて4610億円の税金が投入される、国として本気の政策なのだから自治体・教育現場のみならず保護者、国民一人ひとりにも関心を持って注目してほしい。

「GIGAスクール構想」予算の全体像

Society5.0時代を生きる子供たちに相応しい「新しい学び」とは

GIGAスクール構想とは、「Society5.0時代を生きる子供たちに相応しい、誰一人取り残すことのない公正に個別最適化され、創造性を育む学びを実現するため、『1人1台端末』と学校における高速通信ネットワークを整備する。」国の政策のこと。

もちろん目標は「1人1台」と「高速ネットワーク」の整備ではない。「誰一人取り残すことのない公正に個別最適化され、創造性を育む学び」の実現だ。

Society5.0時代を生きる子供たちに相応しい「新しい学び」とは何か。20世紀の学びが目指していたのとは大きく異なっている。社会が変わるのだから学びに求められることだって大きく変わっていくのだ。20世紀(戦後の昭和)の学びは、高度成長経済社会を支える労働者を育てるための教育だった。高品質で均一な工業製品を製造するための労働者や会社のために働く真面目なサラリーマンを育成するための教育。大切なのは勤勉さや協調性、マニュアルを理解して実行する能力だった。学校では、飛び抜けた能力のある子や遅れ気味の子ではなく、普通の子どもに合わせた画一的教育が行われ、個性や創造性を育むことは重要視されなかった。

photo by PIXTA

2019年に文部科学省の報告書「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」では「Society5.0時代を生きる子供たちに相応しい学び」ついて、「AI等の技術革新が進んでいく新たな時代においては、人間ならではの強み、すなわち、高い志をもちつつ、技術革新と価値創造の源となる飛躍的な知の発見・創造など新たな社会を牽引する能力が求められる」としている。そしてそのためには、「①膨大な情報から何が重要かを主体的に判断し、自ら問いを立ててその解決を目指し、他者と協働しながら新たな価値を創造できる資質・能力の育成。② ①を前提として、これからの時代を生きていく上で基盤となる言語能力や情報活用能力、AI 活用の前提となる数学的思考力をはじめとした資質・能力の育成につながる教育が必要不可欠である」と示している。

まとめれば、Society5.0時代を生きる子供たちに求めるのは「高い志を持って、自分で課題を見つけ出して、それを解決するために情報を集め分析し、仲間と協働して解決したり、新しい価値を生み出せる人」ということになる。そのために情報活用能力、ICT活用能力が必要だとしている。

「公正に個別最適化され、創造性を育む学び」学びとは

「公正に個別最適化され」た学びとは、どういう学びだろう。

20世紀の教育でも、学びの機会均等という「公平さ」は重視されていた。公平とは偏らないこと、えこひいきしないことであり、公正とはその上に「正しいこと」である必要がある。学びにおける正しさとは、エビデンス(科学的根拠)に依拠した評価を下すということで、それに沿って一人ひとり個別に最適化された学びを提供しなければならない。最近の用語を使えば「アダプティブ・ラーニング」的な学びを提供することである。児童生徒に学習能力や表現力などに、特性・格差があるとしたら、それぞれの力に合わせた学び方を提供し、子どもたちそれぞれが成長できる学び環境を提供するということだ。

たとえば、同じクラスの子どもたちが同じテーマの学習に取り組んでいたとしても、一人ひとりの深度や進度、学び方が異なる可能性を理解し、それに対応した学び方を提供しなければならないということだ。

「創造性を育む学び」とは、どういう学びだろう。

photo by PIXTA

前述したように20世紀の学びは、没個性で画一化されたものだったが、「創造性を育む学び」とは、新しい学習指導要領で示されている「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)が生み出す学びのことだ。学習指導要領の解説で「主体的・対話的で深い学び」とは、「解き方があらかじめ定まった問題を効率的に解いたり、定められた手続を効率的にこなしたりすることにとどまらず、直面する様々な変化を柔軟に受け止め、感性を豊かに働かせながら、どのような未来を創っていくのか、どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかを考え、主体的に学び続けて自ら能力を引き出し、自分なりに試行錯誤したり、多様な他者と協働したりして、新たな価値を生み出していくために必要な力を身に付け、子供たち一人一人が、予測できない変化に受け身で対処するのではなく、主体的に向き合って関わり合い、その過程を通して、自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創り手となっていけるようにすることが重要である」としている。

photo by PIXTA

いうならば、「1+1は2」を発展させるの学びではなく、「0から1を生み出せる」「1+1は2とは限らない」学びが「創造性を育む学び」だといえるのだ。

「アダプティブ・ラーニング」+「アクティブ・ラーニング」の学び、そんなことが20世紀の教育環境や教育手法で可能なのだろうか。できるわけが無い。だからツールとしてのICT環境が必要であり、マインドとして現場の教員たちの「新しい学び」に向けた「学び改革」が求められるのである。

1人1台+高速ネットワークを使って何をするのか

本来ICTを活用した「新しい学び」を実現するプロセスは
「新しい学びのコンセプト設定」→「計画の立案」→「環境整備」→「新しい学びの実施」
という流れだ。

この流れに従って、ICTを活用した「新しい学び」に取り組んでいる自治体や私立学校も多いが、大多数の公立学校ではこれまで、こうしたプロセスを踏まえた「ICT活用計画」を立案実施するのは困難だった。金もない、人もいない、時間もない、状態だったからだ。

しかし今からでも遅くはない。ひとまず揃った1人1台端末やWi-Fi設備を使えるところから使ってみるのは悪くはない。しかし、それだけではGIGAスクール構想の目指すとことからはかけ離れてしまう。ただ闇雲に利用するだけの学びでは「新しい学び」をスタートすることは出来ない。もちろん、最初から高い理想を掲げて手も足も出ない状態になってしまったら元も子もない。

「GIGAスクール構想」では整備した環境を使って「目指すべき次世代の学校・ 教育現場」を下記の5項目で示している。

・学びにおける時間・距離などの制約を取り払う ~遠隔・オンライン教育の実施~
・個別に最適で効果的な学びや支援 ~個々の子供の状況を客観的・継続的に把握・共有~
・プロジェクト型学習を通じて創造性を育む ~文理分断の脱却とPBLによるSTEAM教育の実現~
・校務の効率化 ~学校における事務を迅速かつ便利、効率的に~
・学びの知見の共有や生成 ~教師の経験知と科学的視点のベストミックス(EBPMの促進)~

キーワードを抜き出してみると、「オンライン教育」「個別に最適で効果的な学び」「プロジェクト型学習(PBL)」「STEAM教育」「EBPM(客観的な根拠を重視した教育政策)の促進」などとなる。しかし、これらは「新しい学び」の大目標であり何から始めて良いかは分からない。

GIGAスクール構想実現に向け今日から出来ること、千里の道も一歩から、とにかく始めてみようという人向けに文科省では専用のWebサイトを用意している。

~GIGAスクール構想を浸透させ学びを豊かに変革していくカタチ~「StuDX Style(スタディーエックス スタイル)」である。

文科相「StuDX Style」サイトトップ

「StuDX Style」は、文科相がGIGAスクール構想で整備された新たなICT環境を、文房具や教具と同様、日常的に活用していくイメージを各設置者や学校現場の教員にもってもらえるよう、先進的に実践を進めてきた自治体・学校の実践事例等について情報発信するサイトで、今後のコンテンツを増やしていく予定だという。

「StuDX Style」では現在、「GIGAに慣れる」「教師と子供がつながる」「子供同士がつながる」「学校と家庭がつながる」「職員同士でつながる」の5つのコーナーを設置して、出来ることを1から始められる事例を紹介している。

また、「StuDX Style」を含む「ICT活用教育アドバイザー」のサイトでは、事例を動画で紹介する「GIGAスクール動画」、自治体がGIGAスクール構想を推進するサポート事業者を探せる「学校ICT化サポート事業者一覧」、ICT活用アドバイザーのプロディールを確認できる「ICT活用教育アドバイザー プロフィール一覧」のコンテンツも提供している。

ICT教育ニュースでも、GIGAスクール構想関連の記事をまとめたページを提供しているので、関連の製品やサービスを見つけるのに利用して欲しい。

さあ今こそ、Society5.0時代を生きる子供たちに相応しい「新しい学び」実現のため、教師も自治体も学校も、そして保護者も一体となって「GIGAスクール構想」の歩みを進めていきましょう。(編集長:山口時雄)

関連URL

「StuDX Style」

ICT活用教育アドバイザー

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