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2024年3月22日

「デジタル教科書とデジタル教材の連携の先に描く未来」/「Qubena(キュビナ)」とデジタル教科書・教材との連携実証

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1月に開催されたオンラインイベント「学習者を中心としたデジタル学習基盤のこれから」(主催:COMPASS)において、「デジタル教科書とデジタル教材の連携の先に描く未来」をテーマに、文部科学省、教科書会社、教科書ビューア制作会社、教材事業会社の4者の視点からのパネルディスカッションが行われた。本記事ではその様子をレポートする。

登壇者は、文部科学省から初等中等教育局 教科書課 課長補佐 教科書制度改革専門官の中川覚敬氏、デジタル教科書を提供する学校図書からデジタル教材部 瀬田井伸記部長、教育出版からDX事業局 ICT事業部担当 岡本章宏局次長、デジタル教科書の教科書ビューアを開発する富士ソフトからプロダクト事業本部 みらい教育事業部の三村明史事業部長。デジタル教材の事業者としてCOMPASS 取締役CLOの木川俊哉氏が進行役を務めた。

デジタル教科書を中心としたデジタル学習基盤に関する各社の取り組みについて

はじめに、デジタル教科書を中心としたデジタル学習基盤構築に向けて、どのような取り組みを行っているのかについて各社より紹介された。

教育出版・富士ソフトからは、デジタル庁の実証事業として今年度実施された「学習eポータルとデジタル教科書の連携に関する実証」の説明がされた。実証の内容は二つあり、一つ目は、学習eポータルからデジタル教科書を単元単位で呼び出すというもので、二つ目は、学習eポータルとの連携により、学習者用デジタル教科書で個人を特定するアカウント管理を行わない運用について検証するというもの。

学習eポータルとデジタル教科書の連携に関する実証(富士ソフト説明資料より抜粋)

続いて学校図書からは、シャープと連携して渋谷区で実施した実証についての説明があった。この実証は、学習者用デジタル教科書から対応するデジタル教材の問題へのリンクを設置するというもの。

デジタル教材とデジタル教科書の連携に関する実証(学校図書説明資料より抜粋)

最後にCOMPASSから「子どもたちを中心としたシームレスなデジタル学習基盤の実現に向けた教科書とキュビナの2つの取り組み」として、①教科書の並び順・内容とキュビナのコンテンツが連動する「Qubena 教科書×AI コンテンツ」(詳しくはこちらの記事 を参照)と、②デジタル教科書とキュビナのアプリケーション間連携について説明された。

このアプリケーション間連携について、デジタル教科書からキュビナへのリンク、キュビナからデジタル教科書へのリンク、リンク時に連携する項目は単元情報ごと・問題ごとなど複数のパターンが想定され、COMPASSではこの日登壇した学校図書、教育出版、富士ソフトとともに、来年度中に実証を行っていくという。

キュビナとデジタル教科書の連携の全体像(COMPASS説明資料より抜粋)

トークセッション

デジタル教科書と教材が連携することで学びがどう変化するのか

木川(COMPASS):
まず最初に「デジタル教科書と教材が連携することで子どもたちや先生にとっての学びがどう変化するのか」というテーマでお話をしていきたいと思います。

岡本(教育出版):
紙の教科書、紙の教材をデジタル化することで生まれるよさは、それぞれを簡単に連携させることができるということと、キュビナが得意とするようなリコメンドができるということ。教科書を基に、そこに個別最適な教材が連携して学習の振り返りや一人ひとりに合った問題の学習ができるということで、基礎の部分と個に応じた部分の使い分けが教科書と教材との連携でうまく実現できるのではと思います。

子どもたちにとっては自分たちの個性に応じた学びができますし、先生方としては状況を把握しやすいというメリットがありますので、学ぶ側、指導する側双方にとっての利便性向上に向けて、それぞれの会社が連携してより良いサービスを提供していくということになると考えています。

瀬田井(学校図書):
デジタルの教材は、問題に取り組んだ際の採点が非常に楽です。自分の弱いところがどこなのかすぐにわかる。デジタル教科書とリンクしていれば、その該当の単元に行って自分の弱いところを教科書の中で確認していくというような振り返りができる。そういうシームレスな連携がやはり一番の鍵なのかなと思っています。

木川(COMPASS):
ありがとうございます。COMPASSとしては、「デジタル教科書とデジタル教材の連携」の取り組みの手前にやはり子どもたちの主体的な学びを促進していきたいという思いがあります。

既にリリースしたコンテンツの連動はもちろんですが、アプリケーションが連動することによって、子どもたちはより便利に、それぞれの学びのニーズに合わせて柔軟に学習に取り組むことができて、自分の学びをデザインできるようになっていく、主体的に学ぶことができると考えています。

というところで、企業側の話を少ししましたけれども、これについて中川さんのお考えをお伺いできますでしょうか。

中川(文科省):
先ほど皆さんがおっしゃったように、まさに子どもの主体性が高まって、個に応じた学びというのがどんどん進んでいくというのが、デジタル教科書と教材の連携で見えてくると思っています。紙の教科書と教材でも教科書準拠教材というのはありました。でもそれがデジタル化することで何ができるかというと、非常にシームレスに繋がって、子どもにとっての学びのハードルが下がっていく。

そこでどんな変化が起こるかと考えると、今まで教材を使うときには、先生の指示で教材のページを開いて学習を行うという形が一般的であったと思います。例えば、宿題は「ドリルの何ページをやってきて」というようなやり方ですね。それが、場合によっては子どもたちが自分で、教科書と教材からやりたいところを選んでやってくるという、家庭学習のあり方みたいなところも将来的に変わっていくのでは、と期待しながら皆さんの話を聞いていたところです。

デジタル教科書とデジタル教材の連携の普及に向けて必要なことは何か

木川(COMPASS):
二つ目のテーマ「デジタル教科書とデジタル教材の連携の普及に向けて必要なことは何か」というところで、富士ソフトの三村さんに技術的な課題などもお伺いできればと思います。

三村(富士ソフト):
教科書と教材の連携ですが、会社を問わずさまざまな種類の教科書・教材が、シームレスに連携していく世界が、使う側からすると一番望ましい形だと思います。

そうしたときに、各社それぞれのデジタル教科書、デジタル教材がある中で、連携にあたって、各々事前に設定が必要な情報だったり、取り決めておくべきデータのパラメータだったりが出てくると思います。こういったものを、どう標準化していくかという課題があります。

例えば文科省で作成している「学習指導要領コード」と各社が持っている独自のコードを紐づけして連携をするといった、工夫が必要になってくると思います。

木川(COMPASS):
ありがとうございます。この部分は文科省でも取り組まれているところだと思いますが、いかがでしょうか。

中川(文科省):
「学習指導要領コード」というのが一つのキーワードになってくると思いますが、まだ始まったばかりのところであり、今後改善が進んでいくものだと思っています。

一方で、教科書の観点から申し上げれば、教科書の目次なども教科書会社がこれまで培って蓄積した学習コードだといえます。国と民間が協力しながら、よりよいコードを整備していくためにも、官民一体となってデータ連携を進めていきたいと考えています。

木川(COMPASS):
ありがとうございます。来年度、COMPASSと各社との協働で実証を行っていくということになりますので、そこで得られた知見などを還元させていただければと考えます。

文部科学省 中川氏(上段右)、学校図書 瀬田井氏(上段中央)、教育出版 岡本氏(下段右)、富士ソフト 三村氏(下段右)、COMPASS 木川氏(上段左)

デジタル教科書と教材の連携の今後の展望

木川(COMPASS):
最後のテーマは「デジタル教科書と教材の連携の今後の展望」についてです。

岡本(教育出版):
教科書だけで今の学習が成り立っている訳ではなく、さまざまなドリルやキュビナのようなAIドリルがあって、いろいろな教科書と教材がセットで使われているというところに教科書会社としても目を向けなくてはいけないと思います。

それともう一つは、指導と評価ですね。教科書と指導書というのは表裏一体の関係になっていまして、キュビナのシステムでいうと、問題そのものではなくて解析のAIやリコメンドを出す部分、あとは先生側で学習の状況把握できるようにする部分ですね。先生方が指導をする際の情報、教科書でいえば指導書や評価基準、ほかにも周辺の教材による評価などが連携していって、学習者がさまざまな教科書・教材で学んでいく裏側でしっかりトータルで見取ってあげることが今後必要になってくると思います。
そういうことをいろいろな会社が連携して実現させていけたらなと思います。

三村(富士ソフト):
今回COMPASSさんと予定している実証では、教科書と教材の呼び出しの連携というところが中心ですが、シームレスな相互のコンテンツ交流が進むと、それぞれのサービスで蓄積してきた学習履歴やスタディ・ログが、一段進んだデータになっていくと思います。それを活用した指導や、個人の学習において、両方相互に使うことでより効果が大きくなればいいと思います。このことが、スタディ・ログの流通という2022年1月に4省庁(デジタル庁/総務省/文科省/経産省)から示された「教育データ利活用ロードマップ」で目指す姿につながると思います。

瀬田井(学校図書):
キュビナのコンテンツと教科書のコンテンツの連動に関する内容を拝見して、きめ細かい連動を実現しているなと感動しました。デジタルのドリル教材とデジタル教科書のコンテンツを複合的に学習に取り入れて学んでいく、可能ならば、自宅で予習的なことをして、学校では、一度学んだところの理解が浅いところを補充していけるような、反転に近いような学習形態ができるようになると、もっと学校の教育現場が活性化するのかなと考えています。

木川(COMPASS):
各社のデジタル教科書の機能を拝見させていただいて、今回の実証はうまくいきそうだなと直感しました。

例えば辞書・辞典で調べた後にちゃんと確認するとか、音声で何度も何度も聴き直すことができるのは素晴らしい機能だなと思いました。キュビナでも音声・発音の認識・判定機能の搭載を今後予定しています。デジタル教科書で聴いて理解して覚えた内容をキュビナで発音してみる。うまく喋れているかどうか判定できなかったものを一度戻ってやってみるといった、親和性の高いコンテンツにできるのではないかと、すごく楽しみにしているところです。

まずは来年度の実証を一歩ずつですけれども、進めていきたいなと思っています。

中川(文科省):
少し私見も入りますけれども、デジタル教科書と教材の今後の展望ということで、最初の段階はやはり各コンテンツの機能の充実によって、児童生徒の個別最適な学びが充実していくというステージからになると思います。そして、デジタル教科書や各種教材のシームレスな連携という段階を経て、最終的には学習履歴の活用というステージに入っていくのではないかと捉えています。

そうしていくと、例えば学習履歴が見える化されて、それを先生だけでなく児童生徒や保護者も見ることができるようになれば、場合によっては学期ごとの通知表のあり方だって大きく変わる可能性が十分にあると考えています。

宿題とか通知表といった学校の当たり前の景色も、実は変わる可能性がある。よくデジタル教科書や教材はあくまでもツールという言い方をするのですが、あくまでもツール、されどツール、だと思っています。ガラケーを使っていた時代からスマートフォンが入った瞬間に我々の生活様式が一変したように、このデジタル教科書・デジタル教材というものが、学校の学びのあり方というものを大きく変えるきっかけになる可能性は十分あると思っています。

最初にGIGAスクール構想が始まったときは、本当にいろんなデジタル教材が世の中に出てきて、逆に「教科書」はこれからどうなるのだろうという不安というか、先の見えなさがあったのですけれども、今日こうしてお話を聞かせていただいて、むしろデジタル教科書があって、デジタル教材と有機的に繋がることでお互いの存在を高め合っていく姿というのは、それが子どもたちの学びの充実に繋がっていくものであり、本当に嬉しい思いで今日のお話を聞かせていただきました。

木川(COMPASS):
本日は、「デジタル教科書とデジタル教材の連携の先に描く未来」ということで、貴重な時間をいただきまして誠にありがとうございました。

本セッションをYouTubeで視聴

関連URL

「qubena(キュビナ)」

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