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2016年5月25日

市区町村の垣根を越えて広がるICT教育環境/東京都+NTT東日本

実際、2014年当時の都内小中学校のICT推進状況は、各市区町村ごとにまちまちで、ICT整備計画はないがPCの更新は計画しているといったところが全体の7割程度と、それほど進んでいなかったという。ヒアリング調査を実施すると、整備計画が立てられていない主な理由として「ICT運用のノウハウがない」「財政的制約がある」の2つがあることが明らかとなった。

教員用のタブレット、ホワイトボードと投影機

教員用のタブレット、ホワイトボードと投影機

都内小中学校のICT活用の底上げを図るにはどうすればよいのか? 授業などで実際に機器を使い、どのように活用できるのかを実感してもらうことが必要だと考えた岩野課長らは、手始めにモデル校を選定して、授業で活用し効果検証を行ってもらうことを考えた。こうして、機器から運用面のサポートまでを丸ごと1つのパッケージとしてモデル校に提供する「ICT教育環境整備支援事業」はスタートを切った。

支援事業の運営について岩野課長は、「推進の意思のある市区町村のモデル校に対して、タブレットPC40台、電子黒板、充電保管庫を貸し出し、無線LAN・アクセスポイント等インターネット環境を構築するほか、専門の支援員を派遣して現場の先生や校長先生、教育委員会へのサポートを行っていきます。こうすることで、市区町村の財政的負担は一切なく、モデル校では1年の間、授業などでICT機器を使い様々に活用を進めることができるのです。支援事業の実施期間は、2015年から2017年の3年間。毎年6つのモデル地区が対象となり、市区町村の中で小学校2校、中学校1校を選び行います。支援事業の第1期は、江戸川区、小金井市、東大和市、清瀬市、武蔵村山市、西東京市の6地区が対象で、2015年9月から2016年7月までです。モデル地区は毎年変更しますので、3年間で18地区、54校がこの事業を通してノウハウを蓄えることができるのです」と説明してくれた。

生徒用のタブレットPC

生徒用のタブレットPC

学校へ機器等を貸し出して授業で活用してもらうという取り組みはこの施策以外にもみられるが、それらと違うところはモデル事業が終わった後の継続性に関する点ではないだろうか。取り組んだ学校では、事業後、今度は各自治体の予算としてICT推進の費用を計上するなど、具体的な施策が立てやすくなる。また、取り組みの内容を検証・報告書にまとめるなどして、公開授業で他校や他の市区町村に向けて発表を行う。こうした活動を通してノウハウが他へ波及するという良い循環が起きている。

岩野課長も、「各市区町村を見て回った印象では、ICT整備計画の策定に至っていないものの、整備方針や、どう教育に活用していくかといった点について検討している学校が見受けられるようになりました。こうした動きはこの事業がきっかけとなっていると実感しています。公開授業で活用の様子をじかに見ると、児童生徒もICT機器の操作等をどんどん吸収していることが良くわかりリアリティを感じるのではないでしょうか」と、授業公開の場が導入について検討を始めるよい機会になっていると強調する。

また、今後の課題について、「重要なのは活動の中核となる先生や校長先生、教育委員会などのリーダーシップです。どのように取り組んでいくのかが明確でないとその後の活用が図りしにくくなります。第2期では、取り組みの重点化が大切だということを伝えていくとともに、グループで使ったのか、1人1台なのかといった活用場面や、教科ごとの活用方法などを報告書にしてあげてもらうつもりです」。1年間という限られた期間で整備を進めるのは実際には難しい場面もあるが、まず実際に使うことが大切だ、と岩野課長。教員一人ひとりが体験を積み重ねて、活用方法を探す機会にしてほしいと希望を込めて語った。

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