2016年5月25日
市区町村の垣根を越えて広がるICT教育環境/東京都+NTT東日本
指導案の作成や指導方法等 授業での活用を支援
東京都教育庁の3か年にわたるこの事業を支援するのがNTT東日本だ。同社では「東京都公立小中学校ICT教育環境支援事業」(別称:出前ICT)と題して、第1期となる2015年度は指定6地区の18校に対し、必要なICT機器とインターネット環境を配備し、モデル事業の円滑な推進とICT教育環境整備計画等の策定を強力にバックアップしている。ビジネス&オフィス営業推進本部ビジネス営業部第三ビジネス営業部門の田畑善基部門長、宮里博明課長と勝田康裕課長代理、教育ICTイノベーションプロジェクト大島美奈子課長代理に、活動の内容について伺った。
宮里課長はこの取り組みについて、「出前ICTは、東京都が進める事業をNTT東日本が支援するものです。具体的には都内の市区町村教育委員会が実施する『ICT教育環境整備計画策定等に資するモデル事業』を支援し、“都内公立小中学校におけるICT環境の整備”を推進することを目的としています」と語る。
NTT東日本が提供するのは、前述のようにタブレットPC等機器と、授業支援ソフトや協働学習ソフト、デジタル副教材等のソフト類、そして専門支援員の派遣などだ。特に支援員については、従来のICT支援員を学校に1人派遣するといっただけではない手厚いバックアップ体制を整えているという。
大島課長代理はこのように説明する。「支援員は約20名程度。まずICT支援員は自治体ごと1名が担当します。さらにノウハウを持ち、学校を巡りながら支援員を管理する支援管理者が1名、そして有識者である支援企画員と、3つの役割からなる体制です。ICT支援員を1校に1名配置するのではなく、地区ごとの担当となった支援員が月に数回、各校を巡回していきます。これは短期間で最大の効果を上げるためにより良い方法だと考えています」
支援員の活動については、まず対象となった学校をスタート前に訪問して、どんなことがやりたいのかについて事前のヒアリングを行うという。「校長や中心となる先生に意見やニーズを聞くことが大切です。機器の操作説明だけではなくて、細かく相談にのって、指導案の作成や指導方法等の授業支援を行っていく。そして先生方は『事業支援メモ』という形で資料をまとめます。こうして情報を可視化することで、一つの学校内で閉じるのではなく他の学校へも展開しやすくなります」(勝田課長代理)。
ICTのスキル・ノウハウを他校へ水平展開していくには、情報共有の面でも巡回型のほうが効率が良く、理解もされやすいのだという。地区全体のスキル底上げのためのこうした選択は、フューチャースクール推進事業の頃から様々な形で授業のサポートに取り組んできたNTT東日本ならではの経験によるものといえる。
公開授業から広がるICT教育環境整備の活動
5月19日、「ICT教育環境整備支援事業」の第1期に採択された、江戸川区立小岩第二中学校で公開授業が行われた。1年3組の理科「植物のつくりとはたらき」の授業では、教員がタブレットPCと電子黒板を使い、植物と呼吸に関する質問を問いかけ、生徒たちは次々と答えていく。その後、班に分かれてタブレットPCを使い、与えられた課題に対して解を導き出していく。その様子は日ごろ使い慣れた筆記用具を使うかのように自然だ。
公開授業には、他の学校関係者が参加し、授業での活用等の様子を見学している。このような取り組みがきっかけとなり、ICT教育についての環境整備のノウハウは、市区町村の垣根を越えて都全体へと波及していくことだろう。
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