2018年1月22日
1人1台の決定版 教育現場でChromebookがもうすぐ大活躍する理由
教育現場でICTを使い慣れている人たちから、「教育現場にはChromebookが一番向いてると思うんだけどなあ」という声を訊く。確かに、タブレットPCやノートPCなど他のデバイスに比べて安価だという認識はある。しかし、それ以外にどのようなメリットがあるのだろうか。アプリをインストールしなくてもネットに繋げるだけで何でも出来る、くらいしか分からない。
そこで、Chromebook導入のメリットは何処にあるのか、シネックスインフォテック・プロダクトマネジメント本部Google課長の神田秀樹さんに解説をお願いした。
アメリカ・カナダなどでChromebookが一番使われている理由
Chromebookと聞いてすぐに「ああ、Chrome OSが搭載されているノートパソコンね!」と思う浮かぶ教員の方々も増えてきたのではないでしょうか。2014年より日本でも本格的に販売が始まりました。
Chromebookは、Googleが独自に開発したOSが動いていて、世界中で最も利用されているウェブブラウザ「 Google Chrome 」を動かすために作られたノートパソコンです。見た目は普通のノートパソコンと同じですが、様々なアプリをパソコンにインストールして使うのではなく、Chromeブラウザ上でWebアプリを実行します。
調査機関によると、米国では、2016年の調査でK-12(日本でいうと幼稚園から高校3年生まで)の教育機関で導入されたパソコンやタブレットなどモバイルデバイスにおける Chromebookのシェアが58%という調査結果が発表されています。この流れは米国だけではなく、教育先進国のスウェーデン、ニュージーランド、カナダといった国々でもChromebookがK-12で一番利用されているという調査結果も発表されています。
なぜ、このような国々で多くのChromebookが利用されているのでしょうか?それには4つの理由があると言われています。
1)設定・運用がシンプルで教員の負荷軽減を実現
教育機関、特に実際の授業でICTを活用する場合、様々なことを考慮する必要があります。設定、セキュリティ対策、アプリの配布、トラブルの対応など、考えるだけで頭を抱える方も多いはずです。Chromebookはこれらのことが導入規模の大小を問わず簡単に実行可能です。そして自動アップデートや本体に内蔵された多層防御によってセキュリティ対策でのサポートを最小限にすることが可能です。
また、Chrome Educationという端末管理ライセンス(有料)を導入することでポリシーの設定と実行、アプリの配布などが簡単に、しかも個々のChromebookに触れることなく行うことが可能です。私の良く知る学校のIT担当の教員は、いくら変更不可能な設定をしていても、生徒たちが勝手にアプリを入れたり、教員からのアプリ追加依頼などの要求があるので、2週間に1回、数十台のパソコンを初期化して再インストールしています。教員の労働時間が問題になっている現在、ICTの導入でさらに労働時間が増えるといったことを避けるのは当然です。Chromebookの導入によって、より簡単に、より短時間でのデバイス管理を可能とし、教員への負荷を低減することが可能になります。
2)導入・運用のトータルコストを低減
Chromebook本体の購入時の価格が安いことだけが、導入を容易にしている理由ではありません。購入時以外に年・月でかかる費用はもちろん、教員が設定や授業準備などに使う時間やリソースも費用とみなす必要があります。Chromebookの導入によってこのようなTCO(Total Cost of Ownership=総所有コスト)の削減効果が大いに期待できます。
IDCの調査*1では、Chromebookを利用することで他のパソコンやタブレットと比べたTCOが61%、端末管理に対する時間は68%に削減され、他のノートパソコンなどに比べて導入時間が93%、教員の端末などに関わる時間は52時間削減されたという調査結果が発表されています。
*1:Google/IDC調べから引用
この理由はChromebookの本体価格が抑えられていることに加え、基本ツールであるグループウェアの G Suite for Education が学校法人に対して無償で提供されて、端末管理ライセンスの利用により10台から数千台規模まで同時にアプリやソフトを配信し、リモートで管理できるようになるからです。しかも、学校でChromebookなどを購入した後に、Chromebook、G Suite for Education、端末管理ライセンスについて年度更新に関わる追加費用が発生しないのも、重要なポイントとなります。
3)G Suite for Education併用で汎用性が高い
G Suite for Education と Chromebook であらゆる教育現場のニーズに応えることができ、生徒と1対1作業からクラス全員との共同作業までが可能になります。G Suite for Educationを使うことでいつでも、どこでも、どの端末からでもドキュメントなどのアプリにアクセスすることができ、全員がリアルタイムで一緒に作業することができます。
また、G Suite for Educationの中にある無償のツール、Classroom(LMS)を使うことで教員と生徒は課題や回答をどこにいても確認することができます。最新のChromebookはタッチ操作可能な画面を搭載した回転型2in1タイプも用意されており、アウトカメラを搭載し、ペン入力をサポートしたモデルも2017年夏以降新しくラインナップされています。またこれらのChromebookではAndroidアプリが利用できますので、豊富に用意されている教育系アプリを使い、幅広い授業が実現できます。
4)アクティブ・ラーニングを加速する
米国など世界各国で利用されている要因には Chromebook および G Suite for Educationがもたらす高い波及効果があります。アクティブ・ラーニングを加速する共同作業を簡単に実現し、リアルタイムで生徒の作業を確認することでより素早いフィードバックが可能になります。個々の生徒のやる気を引き出し、本来力を入れるべき教育に集中することも可能となります。早くに1人1台の環境を実現した学校では、統一テストの平均点が期待値を上回り、前年比でクラスの成績が向上するといった効果が表れています。
日本でChromebookがどのような活用ができるか
では、今後日本でChromebookはどのような活用ができるでしょうか?
日本では、授業支援、課題管理、プログラミング学習など様々なアプリを利用してタブレットやノートパソコンを使った授業を行っている学校の事例をよく見かけます。またアクティブ・ラーニングや課外授業などには、タブレットを持ち出し、写真や動画を撮影して発表するといった使い方をしている学校もあります。
しかし、多くの学校ではパソコン教室にだけパソコンがあり、パソコンを使いたい教員だけが授業を行い、パソコンを利用するにも順番待ちに苦労している学校もあるのではないでしょうか。1人1台の端末を導入し、ICTを活用した授業の実現に向けてはまだまだ先が遠いと思っている方も多いことでしょう。今の教育現場には、予算、教員のスキル、教員の労働時間、Wi-Fi環境整備など越えなければならない課題がたくさんあります。
そのような中でもキーボードを使った授業やCBT(コンピューターを使った試験)への対策、プログラミング的思考の授業などICTを使った授業を実施しなければならない時期が来ています。有識者会議でも学習用コンピュータにはキーボード機能を有することが必要というまとめも報告されています。
Chromebookは、誰もが簡単に使え、トータルコストも安く、アプリ使用などの汎用性が高く、利用している教員の生産性を高め、生徒の学習効果を高める可能性を秘めた1人1台の教育環境の実現に最適なICT機器の一つであることは間違いありません。
みなさんもぜひ Chromebookを使って、そのメリットを試してみませんか?
シネックスインフォテック株式会社は、米国本社を始め世界各地に事業拠点を持つSYNNEXグループの一員です。日々複雑化するビジネスシーンにおいて、外資系ITディストリビューターとして、お客様に付加価値の高いサービスとサポートをご提供しております。
SYNNEX Corporationは2014年の初めから Google for Educationのチャネル戦略を構築し成長を続けており、これは教育市場における1人1台の端末から共有用の端末というChromebookの確固たる地位を築くために非常に大きな力を発揮しております。シネックスインフォテックでは、そのノウハウを活かしChromebookを使った教育ソリューションの提案・導入を実施しています。詳しくは当社HPからお問い合わせ下さい。
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