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2015年7月24日

ロイロノート/関西の先駆者集い”大阪夏の陣” 「ご縁」生み熱く開催

LoiLo(ロイロノート)は20日、「ロイロノート・スクールユーザー会”大阪夏の陣”」を、東大阪市の近畿大学・11月ホールで開催した。ユーザー代表の発表者には、そうそうたる顔ぶれが揃った。

熱気に包まれた会場

「ロイロノート・スクール」はタブレット用授業支援ツールで、授業用教材作成とそれに伴う配布・回収・比較・共有・発表・質疑応答などが簡単に行える。協働学習との親和性も高く、学習者の思考力・判断力・表現力を養えるとして、幼稚園から大学まで導入する教育機関が急増中だ。

ユーザー代表として登壇したのは、関西を代表する私立大の附属小・中・高の教員ら11名。ICT教育界では名の知れた先駆者らが一堂に会するとあって、全国各地から多くの聴講者が訪れ、関心の高さをうかがわせた。

「学校は、ともすれば生徒にとってストレスの場であったろう。しかし、ICTはそれを変えると信じた。明治以来のチョーク&トーク一辺倒から、より能動的な学びへ」。これは冒頭、挨拶に立った近畿大学附属高等学校・岡﨑忠秀校長の言葉だ。この想いを共有するかのように、各校から次々と事例発表が続いた。

近畿大学附属高等学校の岡﨑忠秀校長、森田哲教頭、乾武司教諭(左から)

同校の森田哲教頭と乾武司教諭は、ICT導入成功の秘訣を「まず教員が楽しむことだ」とシンプルな真理を提言する。「ICTの導入とは、すなわち教える手札を増やすこと。これだけ捉えても、導入に反対する理由は何もない」と述べ、そのメリットを強調する。

例えば、板書や授業準備などに労する時間を大幅短縮できることがICTの利点の一つだが、近大附属中学の増田憲昭教諭(数学)はロイロを「反転授業×協働学習に使っている」と言う。「限られた授業時間内で、生徒の学びを止めない授業」をテーマに、生徒の実質的学習活動時間・ALT(Actual Learning Time)を増やすことを意識している。

近畿大学附属中学校の増田憲昭教諭、志船八郎教諭、関西大学中等部・松村湖生教諭(左から)

また一般に、附属校から“本体”の大学へ進学する生徒は、受験への危機感の薄さが学習意欲低下に繋がるという問題をはらむ。その対策について「授業を楽しくするのみ!」と述べる近畿大学附属中学校の志船八郎教諭は、「おくのほそ道(松尾芭蕉)」から読み解いた奥州平泉を地図として具現化するワークを紹介。松村湖生教諭(関西大学中等部)も、人気のクイズTV番組風に演出した映像を作って小テスト等をゲーミフィケーション化している。

関西大学中等部の林誠浩教諭(左)、近畿大学附属中学校の後藤友彦教諭(右)

生徒たちに自ら問題を作らせるといった実践も聞かれた。関西大学中等部の林誠浩教諭は、「確率“額”」と称して身近なできごとの確率を考えさせているが「1クラス内でカップルが誕生する確率は?」など、ユニークな視点のものが次々に生まれるという。

近畿大学附属中学校の後藤友彦教諭も、電流値を問う問題を生徒に作らせてその難易度を競わせている。答えを覚えるだけではなく自分で考えるアウトカム型の学習だが、面白いことに生徒たちは、われ先にとより難易度の高い問題を求め始めるという。

一方、「ICTは便利だが、あくまでツール。最後は人と人の関わりが大事」と語るのは関西学院大学初等部の小山廣司教諭。同校では小学3年生に自校の好きなところを作文に書かせ、1年生に教えるといった試みを行っている。同志社中学・高校の反田任教諭も自己紹介・家族紹介のスライドを英語で作り、音声のアテレコをあてた作品として制作する事例を紹介した。そのほか、関西大学中等部の岡本竜平教諭も道徳で阪神淡路大震災を考える授業に応用しているという。

関西学院大学初等部の小山廣司教諭、同志社中学 高等学校の反田任教諭、関西大学中等部の岡本竜平教諭(左から)

しかしそれでも、ICTに苦手意識を持つ教員は少なくない。

立命館守山中学 高等学校の國領正博教諭

立命館守山中学・高等学校の國領正博教諭は「原点は生徒のために『よりよい授業をしたい』という気持ちだけで十分。ツールに合わせて授業スタイルを変える必要はない。まずはこれまでの授業の中で、やりにくかったことをICTでやりやすくするといった発想で大丈夫」と述べ、ツールありきの発想に警鐘を鳴らす。

これを受け、LoiLoの杉山浩二代表取締役も「勉強とは苦行だろうか?ロイロやICTを使ってまず先生が楽しみ、そして生徒が楽しむ。そして学力が上がれば、やがて国力さえも上がるだろう。この流れを止めたくない」と決意を述べた。

各校のプレゼン以外にも特徴的だったことのひとつとして、初の試みとして行われたリアルタイムの質疑応答が挙げられる。参加者全員がその場でロイロにログインし、その機能を活用して登壇者への質問をその場でオンライン送信。全員でシェアできるようにしたのだ。

会場のスクリーンに瞬時に映し出される参加者の質問

こうした試みに対し、さらに大きな視点で捉えている乾教諭の言葉が印象深い。「ある意味で、教員の社会はドメスティック。我々は、ロイロやICTという接点がなければきっと一生出会うことはなかっただろう。ICTを導入して最も良かったと思うのは、繋がりが生み出す新たな発想やナレッジ、そして何より“ご縁”そのものだ。関関同立、そして近大。これらの附属校が志を同じくして一つの場にいるなど、感動的ですらある」。

今回登壇した各校は、受験市場という観点で見れば“ライバル”である。ICTの利用は、そうした壁さえも越えて新たな交流やパートナーシップを生み出していると言えそうだ。
(取材:松見 敬彦)

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