2016年5月31日
JAPETの情報教育セミナーでICT機器とデジタル教材の事例発表
日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)は27日、情報教育対応教員研修全国セミナー「学校現場で活きるICT機器とデジタル教材の整備にむけて」を東京・新宿区のDNP市谷田町ビルで開催した。
教育ICT機器やデジタル教材の導入計画の立案、導入済みの機器の有効活用に向けた取り組みなどを紹介するセミナー。
基調講演では、文部科学省生涯学習政策局 情報教育課の磯寿生課長が「教育の情報化の動向」をテーマに、授業におけるICT活用や校務の情報化といった国の施策・取り組み等について発表した。政府は2011年の「教育の情報化ビジョン」の中で、教育の情報化が目指すものとして、「情報活用の実践力」「情報の科学的理解」「情報社会に参画する態度」の育成が必要だとしている。取り組みの具体例でいうとそれぞれ、インターネット閲覧等ICTの基本的操作、プログラミング教育、情報モラル教育ということになる。また、ICT活用教育としては、授業におけるICTの活用、校務の情報化、地域×学校×ICTの3つの側面から推進している。など、それぞれの現状と今後について説明した。
また、放送大学教育支援センター 中川一史教授が「タブレットで捉える、子どもたちの学力」を講演した後、杉並区立天沼小学校 福田晴一校長が学校現場での事例を紹介した。
天沼小学校では、WindowsタブレットPCを350台導入、4年生以上は1人1台、特別支援学級ではiPadを20台導入する等、環境を整えている。そうした環境下で、2015年にDNPのアンサーボックスクリエイター(Answer Box Creator)を5年生、6年生を対象に試験導入した。本格稼働は今年6月から予定しており、福田校長は試験導入においての活用を中心に解説した。
アンサーボックスクリエイターは、Office環境でデジタルテストを実現するソフト。これまで作成した教材などを、Wordを使ってタブレット教材として活用できるほか、Excelによる採点・集計が可能で、さらに学校単位で学力データが蓄積されるため、指導方針の策定にも役立てることができる。
アンサーボックスクリエイターの利点として、自動採点ができ、採点の効率化が図れると福田校長。これは校務支援の一環として、教員の多忙感緩和に繋がるという。また、データ分析ができるため、クラスの傾向や、生徒一人ひとりの分析が明確になり、データに基づいて個別指導ができる点を挙げた。
さらに、日本の教育現場の良い点として、子どものテストに赤ペンで採点しコメントを加える“まるつけ文化”があるとし、こうしたアナログ的な利点もアンサーボックスクリエイターで行うことができると述べた。
その他にも、デジタル教科書やプログラミング教材の授業実践例についての紹介など、ICT利活用における意欲的な取り組みの発表が行われた。
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