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2017年5月23日

柏市、ネットいじめ「脱・傍観者」教育を開始「STOPit」も導入

千葉県柏市教育委員会と千葉大学、敬愛大学、ストップイットジャパンは連携して、ネットいじめ早期発見と抑止力を生み出すための新たな手立てとして、傍観者の視点に立ち、ネットいじめを許容しない集団の雰囲気を醸成するための授業を開発、同市立全中学校の1年生を対象に授業を開始。22日、初日の授業を柏市立土中学校で公開した。

ビデオ教材で課題提示

ビデオ教材で課題提示

授業はビデオ教材ドラマを視聴することからスタート。クラスの男子生徒がSNSで悪口を言われ、靴が隠されるなどの実害にまで発展するストーリー。主人公の女子生徒が、悪口で盛り上がるクラスのSNSにいじめを止めるように①「書き込む」か②「書き込まない」かを選択する場面でビデオはストップ。

生徒に①か②かを選べばせて自分の考えをまとめ、グループでディスカッションを行う。その後、アプリを使って選ばれた数名が考えを発表する。

グループでディスカッション

グループでディスカッション

「書き込む」と答えた生徒の意見は、「自分が勇気を出して意見を言わないと、いじめが止まらないから」、「自分が止めないと悪化してしまうし、クラスの雰囲気が悪くなってしまう」などというもの。

一方、「書き込まない」と答えた生徒は、「なんとかしたいという気持ちはあるけれど、自分が言っても変わらないかもしれないし、やっぱり恐くてできない」という、いたって正直な意見。

今回のクラスでは22人中18人が①の「書き込む」を選択、②の「書き込まない」は4名だった。

自分の意見を発表

自分の意見を発表

この18対4の確率で、教材ドラマの結末編の①か②が選ばれる。抽選の結果①となり、主人公が「いじめを止めよう」と書き込んだSNSの賛同者が拡がり、クラスからいじめはなくなりハッピーエンド。

参考のために②も視聴する。こちらは、いじめは止むこと無く男子生徒は益々孤立していくというストーリー。

ここで授業者が、いじめの構図では「被害者」「加害者」の当事者の他に「観衆・傍観者」がいて、この人たちがどう反応するかがいじめを止められるかに大きな影響を与えると指摘。クラスに止めようとする「雰囲気」があれば、いじめは止めやすいと説明した。

まとめの生徒の感想では、「ただ見ているだけでなくはっきり意見を言うことが大事」、「いじめは、自分が何かしないと変わらない。行動しなくて行けない」など、「脱・傍観者」の授業の狙いが理解されたようだった。

「STOPit」の説明

「STOPit」の説明

いじめ対策としては、「24時間子供SOSダイヤル」「千葉いのちの電話」「ネットトラブル相談窓口」など様々な電話の相談先があるが、柏市では今年度から、新たに「STOPit(ストップイット)」を導入した。

「STOPit」は、相談できない子供に対するセーフティネットの1つとして、また傍観者に対して解決策の1つとして、シンプルですばやく、匿名で報告・相談できるアプリ。アメリカでは、約6000校、266万人が利用しているが、日本の公立学校での導入は初めてだという。柏市の場合、報告・相談は市の教育委員会に送られる設定だという。

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