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2018年3月21日

閉校する田水山小学校への感謝の歌をボーカロイド教育版で創作

つくば市立百合ヶ丘学園田水山小学校での事例紹介

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2018年3月に141年という長い歴史に幕を降ろす、つくば市立百合ヶ丘学園田水山小学校。2月に行われる閉校お別れ会で、学校の歴史や感謝の気持ちを歌に乗せて歌いたいという柴沼先生、そして5年生の児童たちの思いを形にするため、ボーカロイド教育版を用いてオリジナルソングづくりを行いました。

1.歌詞・リズムを作ろう

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3〜4人のグループにわかれ、計4グループがそれぞれ16小節の曲を作っていきます。最初に、初めて使うボーカロイド教育版の操作説明を受けます。音の入力、修正の方法などを知ることに加え、1小節が8マスに分かれていることに気がつきました(※初期設定、音符の長さは随時変更可能)。つまり1マスの長さが8分音符で、その音符に言葉を乗せていくので、1小節の中には8文字の歌詞が入ることになります。

さらにその歌詞の言葉を伸ばしたり、休符を入れてリズムを作ることを想定し、7文字+5文字、七五調の「やさしいせんせい+ありがとう」という言葉で、入力とリズムの作り方を練習しました。ここではボーカロイド教育版に同梱されている授業モデルパックにあるワークシート「リズム記入表」を使います。2小節分の歌詞ですが、言葉を伸ばす位置や休符の位置で聞こえ方が変わるため、グループでアイディアを出し合いながらリズム作りを行いました。記入したマス目と同じようにボーカロイド教育版にリズムを転記して行くので、一度の練習だけで児童たちはすぐに使い方に慣れていきました。

2.曲想を考えよう

ボーカロイド教育版の操作や、リズム作りに慣れたところで、いよいよオリジナルソングづくりのスタートです。

yamaha-2まずは先程の1小節8文字以内のルールを踏まえながら、歌詞を作ります。歌詞は学校生活の思い出や調べた田水山小学校の歴史など、たくさんの人に聞いてもらいたい言葉をグループで話し合い書き進めます。歌詞が出来たところで、この曲をどんな曲にしていきたいか曲想を考えます。

特に伝えたい言葉は盛り上がるように、静かでおとなしい印象にしたいところは少し低い音を保つなどの曲想を、フレーズごとに付箋に矢印を書き、それをつなぎ合わせていくことで、旋律の流れをイメージします。曲想のイメージが固まったら伴奏を選びます。

今回は数種類の伴奏をクラス全員で視聴し、グループの曲想に合う伴奏はどれだったかさらに話し合いを重ねました。

3.曲の前半を作る

伴奏が決まったら、いよいよボーカロイド教育版で曲づくりの作業に入ります。

yamaha-3今回は、より曲の全体像を把握して作業しやすいように、前半8小節、後半8小節と分けて入力を行います。ボーカロイド教育版にはコードガイドという、伴奏で使われているコードの構成音(=和音の音)が黄色く表示され、それが一目でわかるような機能があります。

ただ入力するのではなく、伴奏の音をもとにしながら旋律を作ることで、伴奏の音にあった心地よい旋律を考えていくことができます。曲想を事前に固め付箋を貼っておいたことで旋律の流れを視覚的にも確認しながら旋律を入力します。それをその場で再生し聴きながら、グループで意見を出し修正していくという作業を繰り返していきました。

4.曲の後半を作る

yamaha-4曲の後半は、前半を踏まえた手順に加え、前半後半で雰囲気が変わらないように気をつけながら作らなければなりません。

そのため、歌いながら旋律がつながるよう考えたりと、グループごとにその点を工夫しながらさらに創作を進めます。加えて一度出てきた旋律を「繰り返す」など、曲づくりの「技」も先生から紹介されました。

これにより、より一曲としてまとまった旋律を作っていくことができました。

5. 「ありがとう田水山小集会」で発表

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今回つくった曲を閉校お別れ会の前に、地域の方々への感謝を伝える「ありがとう田水山小集会」で、ひと足早くお披露目することになりました。そのため発表前の授業では、旋律の音程が離れすぎていないか、歌う上でのなめらかさや歌いやすさなど、発表するという観点からも曲のブラッシュアップを行いました。さらにこの曲がどんな曲なのか、全校児童や保護者の方々へ伝えるためのプレゼンテーションの原稿を作り、自分たちが作った曲への理解を深めていきました。

発表会当日は、それぞれのグループが曲のプレゼンテーションを行った後、歌って発表するという予定でしたが、全員が全てのグループの曲を歌えるようになっていたので、5年生全員が各グループの曲を歌い、より大きな声で曲の思いを伝えることができました。発表を聞いた保護者から、「子供たちが、このようなクオリティの曲を作れるとは思っておらず感動した。」という感想があり、田水山小学校を思うたくさんの人の心に伝わる曲になったと感じました。

6.「閉校お別れ会」で合唱

tamiyama_owakarekai穏やかな小春日和となった2月24日、田水山小学校の閉校お別れ会が行われました。児童や先生方の他、保護者、歴代校長、区長はじめ田水山小を支えてくださっている地域の方々、歴代の先生方、OB、OG、他学校関係者の方々にお集まりいただきました。

児童によるオペレッタや田水山小学校卒業生音楽家による演奏の後、最後の催しとして全校児童による呼びかけや校歌斉唱と共に「田水山小学校ありがとうの歌」の合唱が行われました。曲はアレンジもすばらしく、小学生が作った曲にはとても思えない完成度で、児童たちの思いのこもった合唱は会場の人々の心に響いていました。

■ 全校児童合唱による「田水山小学校ありがとうの歌」

7.曲づくりを通して

今回曲づくりを行ったきっかけは、閉校する学校とともに特別な思いを形にしたいというものでしたが、一方で、どのようにすれば伴奏や和音にあった旋律が作れるか、歌いやすいようになめらかな旋律に工夫できるかなど、音楽的な要素も深く学ぶことができました。歌詞に対する思いや、旋律の流れの工夫に意見を出し合うなど、試行錯誤の上に出来上がった曲は、5年生全員の思いが一つになった曲であり、児童たちにとってかけがえのないものになったと思います。

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