2019年8月1日
【小3算数】長さ、かさ、重さなどの単位の関係をプログラミング(スクラッチ教材)で理解
ベネッセコーポレーション プログラミング教育開発課
星 千枝
新学習指導要領第3学年のC(1)長さ、重さの単位と測定で育む「イ 思考力、判断力、表現力等」に関連する学習活動では、身の回りのものの特徴に着目し、単位の関係を統合的に考察することが学習目標である。
第3学年までに学習した長さ(mm,cm,m,km),かさ(mL,dL,L),重さ(g,kg,t)の単位について、それぞれに共通する関係を調べることが学習内容になっている。変換前と後の単位はどのような関係があるのか、スクラッチ教材で「へんかんレート」という用語に数値をあてはめる活動を通じて、理解をさらに深められるような教材を設計した。
単位の関係をプログラミングで視覚的に学ぶ
数値が異なるだけで、同じ関係が成立する概念の理解に、プログラミングは適している。例えば、重さと長さの単位であれば、1000mgと1g、1000mmと1mは、1000倍、1000分の1の関係になっている。そこで使われている1000を変換レートとすれば、単位によらず同じ関係だけが見えてくる。
このことを、プログラミングしたのが(図1)である。右側の実行結果エリアの「重さ」の問題1は、「472466㎎は、何g何mgですか?」という問題だ。左側のプログラミングエリアを見ると、次のように書かれている。
定義:問題1を解くプログラム
mgを【赤かっこの値】にする
(へんかんレート1)を(1000)にする
gを 【赤かっこの値】÷(へんかんレート)の商にする
mgを 【赤かっこの値】÷(へんかんレート)のあまりの数にする
このプログラムに、問題1の数値をあてはめると、【赤かっこの値】は472466なので、
mgを472466にする
(へんかんレート1)を(1000)にする
gを472466÷1000の商=472
mgを、上のわり算のあまり466にする
となり、472466㎎=472g466㎎となる。実際、プログラムを実行してみると、正解が(図2)のように表示される。
緑のはたをクリックして、重さと書かれた部分をクリックすると、(図3)のように、長さ、かさ、時間と単位と問題が変わるが、それぞれのしくみは同じなので、問題1のプログラムは変わらない。単位に応じて、へんかんレートを変更するだけである。
次に示す(図4)は、長さの問題1の例で、右側の実行結果エリアに、「747cmは、何m何㎝ですか?」と表示されている。
単位が長さになっただけで、問題1を解くプログラムの構造は、重さのときと同じであることに気づくだろう。「100cm=1m」なので、左側のプログラムの下線部分の記号や数値を次のように変更するだけだ。
定義:問題1を解くプログラム
cmを【赤かっこの値】にする
(へんかんレート1)を(100)にする
mを 【赤かっこの値】÷(へんかんレート)の商にする
cmを 【赤かっこの値】÷(へんかんレート)のあまりの数にする
このプログラムに、数値をあてはめると、【赤かっこの値】は747なので、
cmを747にする
(へんかんレート1)を(100)にする
mを747÷100の商を7
cmを、上のわり算のあまり47にする
となり、747cm=7m47cmとなる。実際、プログラムを実行してみると、正解が(図5)のように表示される。
取り組んだ児童の反応
授業では、まずプリントで自分の答えを出し、次にプログラミングを実行して答えが合っていたかどうかを確かめた。(図6)は、113772㎎を11g 3772㎎とプリントで答えた児童が、プログラミング後に、113g772㎎と青鉛筆で修正した事例だ。へんかんレートを1000とわかっていたにもかかわらず、わり算の商を間違えて答えたのか、へんかんレートを10000で計算してしまったのか。苦手な問題は、「問題を出す」ボタンを押せば、何度でも解くことができる。
授業後の児童の感想は次のとおりであった。
・すべて同じ方ほうでもとめられることが、びっくりした。へんかんレートが何なのかわかった。
・重さでも、かさでも、時間でも、へんかんレートがあることがわかった。
・単位がちがっても、やり方が同じだということがわかりました。
・とってもむずかしかったけど、理由が分かって、問題をとけたときは、おもわず「すっきりー」といいそうになりました。(図7)
2018年度の丸山農先生(明星学苑明星小学校)の授業では、3年生の学年末に、既習の単位の関係をまとめる活動としてこの教材を使ったが、2019年度の授業では、長さ、かさ、時間のそれぞれの単元を学習するときにも、この教材を利用することにより、ひとつひとつの単位の仕組みを深く学ぶようにしている。
本教材と指導案は、プロアンズに公開されているので、ぜひ、ご活用ください。
ベネッセコーポレーション プログラミング教育開発課
ベネッセにて、プログラミング的思考を導入を通して、教科の概念理解が促されるような教材や指導案などを開発中。そのほか、CRET研究員として、「21 世紀スキルとしての問題解決力と国際的な評価の枠組み」などの調査研究に取り組む。
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