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2020年11月26日

「起業できる力をつける」ことを目指す専門職大学がschoolTaktで実現する「協働学習」/情報経営イノベーション専門職大学

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東京都墨田区初の4年制大学として、コロナ禍の2020年4月に開学した情報経営イノベーション専門職大学(以下、iU)は、文部科学省が2018年に制度化した「専門職大学」という新しい枠組みで誕生しました。今回、schoolTaktの全学導入の決め手から、授業や学内でどのように利活用しているのか、学部長補佐の川上慎市郎さんにお話を伺いました。

iU学部長補佐 川上慎市郎 准教授

「起業できる力をつける」ことが学校としての目標

―はじめに、iUについて教えてください。

川上:iUの設立母体は日本電子専門学校を運営する学校法人電子学園です。電子学園卒業生でもある理事長がご自身の経験から、ICT(情報通信技術)だけではなく、ビジネスと英語も同時に学べる学校が必要だとの思いで設立した大学がiUです。

日本の大学では、1つの学部の中で「ICT」と「ビジネス」と「英語」の3つを同時に教えるところはほとんどありません。そのため、初年度から学生がたくさん集まり、現在1学年230人が在籍しています。

学長の中村伊知哉は「学生全員、4年間の在学中に1回は起業」という理想を掲げています。学生に「起業できる力をつける」ことが大学としての目標です。

schoolTakt導入の決め手は「相互のフィードバック」

―川上さんの担当科目はどのような科目ですか?

川上:私が担当する「イノベーションプロジェクト」は、4年間で起業のトライアルをし続けるという科目です。3人から4人のチーム単位で事業計画を策定し、提出してもらいます。その過程で、ビジネスやICTなど、必要なスキルを身につけていきます。半期に1回チームが組み替えられ、チームで協働することが前提となっています。そして、そのチーム作業を行っていくうえでなくてはならないのがschoolTaktです。

schoolTaktを活用したオンライン授業の様子

―schoolTakt全学導入の決め手は何でしたか?

川上:以前ビジネススクールで教えていた頃から、グループワークを行う科目をいくつか担当していました。そうした科目では学生は授業のある日にだけ集まるのではなく、授業以外の時間にもチームでリサーチしたり、アイデアを出し合ったりする時間をどれだけ作ることができるかが重要になります。つまり、教員はグループ単位のアウトプットを見るだけでなく、クラスの外で誰がどのような活動やコミュニケーションをしているのか、それが他のメンバーやグループのアウトプットに対してどのように貢献しているのかをモニターし、学生を動機付けなければいけないわけです。
当時、一部の科目で授業と授業の間の期間(インタバル)に学生同士のコミュニケーションを促すアプリを入れてみたのですが、直接会って話せば済むことをわざわざオンライン上で記録に残させるためには、学生にも相応のメリットがなければいけません。要するに、学生同士のコミュニケーションを成績評価にも反映させられるような統計機能が欲しかったのですが、なかなかその目的に合うツールがありませんでした。

iUの「イノベーションプロジェクト」も、グループワーク中心のアクティブラーニングを想定していましたので、どうしようか悩んでいた時にschoolTaktを紹介されました。話を聞いてみたところ、まさに私のやりたいことがすべてそろっていたので、開学直前でしたが即導入を決めました。

最大の決め手は、「ピアフィードバック(相互のフィードバック)」ができることでした。「協働学習機能」や、「発言マップ機能」、「コメント機能」や「いいね」ボタンなどによって、学生同士がアウトプットを見せ合い、お互いにフィードバックすることができ、しかも教員がそれを一目でモニターできる質の高い機能が揃っていました。

schoolTaktでのグループワークの結果報告画面

オンラインでもschoolTaktで生まれる学生間の学び合い

―学内では、どのように使われていますか?

川上:コロナ禍で、オンライン授業がはじめての教員が大半の中、全面オンライン授業という特殊な環境からスタートしました。現在schoolTaktをもっとも積極的に活用しているのは、「イノベーションプロジェクト」を担当する教員たちです。

「イノベーションプロジェクト」では、学生全員が毎回の授業のあとに振り返りを書き、お互いにフィードバックする取り組みを行っています。学生たちはまず、schoolTaktに授業の振り返りを書き込みます。次に、お互いの振り返りを読んでそれに対するコメントを付けます。さらに、自分自身の振り返りにつけられたコメントを読み、それから得られた気付きを再度書き込みます。

「イノベーションプロジェクト」でのschoolTaktの振り返り画面

―学生さんに変化はありましたか?

川上:前期が終了した現在では、ほとんどの学生が誰かからコメントをもらったり、誰かにコメントする状況が作れていて、かなり熱心にやり取りする学生も出てきています。

「みんなが自分の頑張っていることを感じてくれているので、うれしくなり、頑張りたいと思えるようになった」などの振り返りが書かれていることからも、schoolTakt上での相互のフィードバックは、自信やモチベーション維持といった効果も期待できるのではないでしょうか。

さらに、schoolTaktを使うことによってオンラインならではのアクティブな授業が実現できています。例えばリアルの授業では、グループ発表の際、発表していない学生はアクションも求められず、ただぼーっと聞いているだけになりがちです。iUでのschoolTaktを使ったオンライン授業では、聞いている人もリアルタイムでコメント欄にフィードバックや参考情報を書き込みます。

開学当初から、聞いているだけの授業にはしたくないという思いがありましたが、授業に全員が参加している状態をschoolTaktによって実現できたと感じています。1回の授業で、発表に対するコメントはだいたいクラス全員から100件ぐらいが集まりますし、振り返りに対する1人当たりの平均コメント数も増えてきています。

コメントによる発言の文化は、ほかの科目にも広がっているようです。9月の後期から新しく講義を担当しはじめた非常勤教員の方からは、「iUの学生は、他の大学の院生よりもはるかに積極的に意見を言う」といった感想が上がってきています。

その他の授業での活用例

―ほかの科目でschoolTaktを活用されている先生はいらっしゃいますか?

川上:私が想定していなかった方法で積極的にschoolTaktを活用しているのが「データ構造と処理法」の授業を担当する片桐雅二教授です。通常紙を使って行う演習を、schoolTakt上で行っています。

schoolTaktでの実習画面

片桐教授は、コンピュータによる演算のさまざまなアルゴリズム(処理法)を学生に体感させるために、schoolTaktのワークシートに演算プロセスを示す文字や記号を並べさせるという授業をされています。
通常、アルゴリズムの授業では机の上に紙のカードなどを並べて演習を行わせ、教員が見て回ったり隣同士やグループで見せ合ったりすることで学び合う/教え合うことができるのですが、オンラインではそれが難しく、個々人で作業することになりがちです。しかし、彼はschoolTakt上で学生に演習を行わせ、zoomのブレイクアウトを用いて学生間の自発的な学び合いを一定程度実現することに成功しました。

片桐教授は、「schoolTaktでは学生の取り組みがリアルタイムで一覧に表示されるため、教員からの状況把握に最適です。また学生同士で相互に閲覧できるので、学び合いも可能になります。今後、授業時間内の演習実習での利用に加えて、授業時間外での復習や演習に活用したいです」と話していました。

コロナ禍のオンライン授業で見えた変化

―オンラインでの前期の授業を終えて何か変化はありましたか?

川上:コロナ禍で一番変わったのは教員たちです。開学当初の4月から全面オンライン授業となり、教員同士はもちろん、学生との対面もないままスタートしました。教室での授業では、学生の表情が見え、直接やり取りもできます。しかしオンラインでは、zoomで顔を出さない学生も多く、チャットやコメント欄を使うなどの工夫をしないと学生の反応がわかりません。

そんな状況でしたので、FD(ファカルティディベロップメント)として全教員に学期ごとに一度は必ず他の教員の授業を見るようにお願いしています。schoolTaktにログインすれば、他の教員が作成した課題、それに対する学生のアウトプット、コメントなど、全て閲覧することができます。前期にはschoolTaktをあまり活用していなかった教員の中にも、「講義中心から、グループワーク中心にした方がいいかもしれないですね」と考え方を変える教員もでてきました。

他の教員の授業も確認できる

schoolTaktを活用し、プロセスも含むフェアな成績評価を実現

―成績評価もschoolTaktを活用されているとお聞きしましたが、どのように成績をつけているのですか?

川上:schoolTakt上のコメント回数等を集計することで、簡単に学生のアウトプット量を評価に反映することができます。通常、大学の授業での成績評価はテスト1回、レポート1回の評価といったものが多く、アクティブラーニングを取り入れた授業であっても学習のプロセスそのものを評価することはほとんどないのですが、schoolTaktを活用したことで、「提出物が出ている」「他者の提出物に対してコメントしている」「振り返りを提出した」「振り返りに対するコメントを書いた」など、毎回の授業やインタバルでの膨大なコミュニケーション量を定量的に成績評価に組み込むことができました。プロセスも含めたフェアな成績評価ができたと思います。

今後は、コメントやフィードバック、アウトプットの回数だけでなく、内容も評価したい ですね。「誰が誰にコメントをつけたことで、コメントをもらった人が新しい気付きを得たか」、この点を評価できる仕組みを、schoolTaktを提供するコードタクトと検討中です。

また、振り返り、コメントから各学生のグループへの貢献の仕方(盛り上げ役、アイデアを出す役、突っ込み役、まとめ役など)を可視化することで、グループ分けに活用するなど、効果的な学習につなげることができるのではとないかと模索中です。

学長からのメッセージ

―iUでは開学当初からschoolTaktを全学導入されていますが、今後どのように活用していきたいですか。

中村学長:コロナ禍でのスタートでしたが、schoolTaktを導入することでオンライン・オフラインでの講義に対応できました。
各科目での利活用が進みschoolTaktに様々なログが溜まっていきているので、今後は教員陣全体で学生の能力を把握し、伸ばす仕組みを作っていきたいと考えています。

―ありがとうございました。今後のさらなる活用が楽しみですね。

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