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2021年6月22日

ICTで学びを保障する“合理的配慮”シリーズ第11回 感情表現が苦手な子ども

ICTで学びを保障する“合理的配慮”シリーズ第11回
ICTを活用した感情表現が苦手な子どもへの合理的配慮(前半)

ASDのある児童は多くの場合感情表現がとても苦手です。そのことが原因で、自分の感情を適切に表現することができないため、トラブルになることが多くあります。算数や理科の成績がとても良く、知識もいろいろ知っているのに、その場の空気を読まずに、相手の気持を考えないで発言しているように見えるので、「もっと人の気持ちを考えなさい」と指導されたり、「もっと空気を読めよ」などと非難されたりすることも多いと思われます。

しかし、本人は言われていることが理解できないために、なぜ、叱られているのか、なぜ、非難されるのかわからず、逆にイライラしたり、落ち込んでしまったりすることも多いでしょう。また、道徳科や国語科の授業などでも、主人公の気持ちや周囲の人の感じ方などが題材にされることも多いと思われるので、そのような授業では、答えを求められても、答えられなかったり、仮に答えたとしても、的はずれな答えになってしまったりすることも多く、それに対して否定的な意見ばかり言われてしまうと、責められていると感じて、つらい思いをする子どもも多くいると思われます。

まず、私たちが考えなければならないのは、ASDのある人たちは、見えないものを理解するのがとても苦手な人たちだということです。視覚的に見ることができるものの理解は優れているのですが、それに比して視覚的に見えないものの理解は苦手なのです。人の気持ちや感情、雰囲気などは見えないので、それらを想像することができないことが原因で、周囲の雰囲気を壊してしまうということがあるのです。これらの問題は、ASDのある人の気質の特徴なので、訓練だけして克服できるものではありません。場合によっては強みとなる部分でもあるので治す必要もないのではないかと思います。

しかし、将来の社会参加を考えたとき、トラブルを経験するであろうことは、容易に想像できるので、何も手立てをしないまま学ぶ環境も良いとは思われません。できないことに対しては、配慮を受けながら学ぶ必要があると思うからです。

では、どのような点を考えながら合理的配慮をしていけばよいのでしょうか。

忘れてはならないことは、ASDのある人は、先にも述べたように、見えないものを想像して理解するのが苦手だということです。これは、ASDのある人への合理的配慮を考える際に、絶対に忘れてはならないことです。このことをいつも意識して考えるようにすると、ASDのある人たちへの合理的配慮を考える上で大切にしなければならないのは視える化することであることがわかります。視覚で理解することができるようにする工夫が重要なのです。

感情を視覚化して伝える練習をするときに注意しなければならないのは、その状況を考えて、子どもの様子から、その子どもの感情を大人が想像して提案するということです。このとき、「楽しかったね」とか「おいしかったね」というだけではなく、そこに程度も入れて提案する必要があります。「すこしおいしかったね」「すごくおいしかったね」などの表現です。これらを視覚化して伝えることが大切なのです。筆者の経験からは、数直線で伝えるようにすることが効果的であることが多いように思います。また、ネガティブな表現もプラスの方向で表現できるようにすることが重要です。ネガティブな表現がマイナスの方向で大きくなると、表現しにくく感じる子どももいるからです。ポジティブな感情とネガティブな感情は対極にあるものではなく、互いに独立したものであるからです。

このようなときにICTが活用できます。

写真は、富士通と香川大学が共同で完成させた「きもち日記」というアプリです。日記を書きながら感情表現の練習をし、あわせてコミュニケーションを促進することができるものです。

このアプリでは、表情等に変化を与えることができるため、効果的に感情表現の練習をすることができます。情報端末に表示されている表情と数直線の数字の大きさを見ながら、今の気持ちに気づくように支援するということです。相手の気持ち等を考えるという活動では、国語科や道徳科の授業でも使うことができるでしょう。

感情を表現できるようになると、行動は落ち着いてきます。気持ちを言語化できるようになれば問題行動も少なくなってくると考えられます。それは、これまで言葉で表現できないことが原因で、周囲から受け入れられないような方法で表現していることが多かったと考えられるからです。

ICTの導入で子どもたちの本当の気持ちも聞いてみたいものです。少し怖い気がするのは、私だけでしょうか。

イラスト提供: Atelier Funipo

執筆者プロフィール
坂井聡
香川大学教育学部 教授
附属坂出小学校 附属幼稚園 校園長
香川大学バリアフリー支援室 室長
日本特殊教育学会常任編集委員
自閉症スペクトラム支援士 エキスパート
特別支援教育士スーパーバイザー
国土交通省 公共交通事業者等における接遇ガイドライン等改訂のための検討会 委員
文部科学省 「学習者用デジタル教科書の効果・影響等に関する実証研究事業」実証研究委員会委員
主な著書
知的障害や発達障害のある人との コミュニケーションのトリセツ エンパワメント研究所
発達障害のある子の学びを深める教材・教具・ICTの教室活用アイデア 共著  明治図書出版
自閉症スペクトラムなど発達障害がある人とのコミュニケーションのための10のコツ エンパワメント研究所 など

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