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2021年7月15日

生徒の好奇心の赴くままの調査探究をかなえる、いつでも自由に使える Chromebook /浜松南高等学校

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静岡県立浜松南高等学校は、浜松市にある1963年創立の進学校。日本の科学技術の発展をリードする人材の育成を目指して2003年度に設置された各学年1学級の理数科は、同校の特色のひとつ。大学・研究所訪問、研究者を招いての特別講座、課題研究など特別な教育課程が組まれ、学究的興味・関心・意欲を高める中で高い学力を身につけている。

2020年度からは理数科の全生徒に1人1台の Chromebook を導入。新村桂司 理数科長と情報科 村松卓 教諭に導入から現在までの取り組み、効果的な活用法をきいた。

静岡県立浜松南高等学校

いち早く教育のICT化に取り組む、静岡県の Google Workspace 導入が転機に

静岡県立浜松南高等学校 新村桂司 理数科長

2014年、まだ校内のネットワーク回線やWi-Fi環境も十分に整備されていない頃から、浜松南高校理数科ではICT機器の1人1台利用の検討が始まった。翌年、Androidタブレット(ASUS社製)を導入。受験サプリ(現スタディサプリ)を中心とした利用で、レポートを Gmail で提出するといった取り組みを開始した。「授業の中で、どのようにタブレットを効果的に活用できるのか模索し、教諭らは頭を悩ませていた。とりまくサービスや環境がまだ教諭らの実現したいことに追いついていなかった、と聞いている」と村松教諭は当時を振り返る。

新村 理数科長は、そのころ研修で出会った G suite(現Google Workspace)の利便性に衝撃を受けたという。そこでカリキュラムの移行で増設した第2コンピュータ室に Chromebook が導入された。

Google Workspace との親和性が高い Chromebook

やがて静岡県では全高等学校に Google Workspace が導入され、希望する学校には全教員生徒に Google アカウントが発行されるようになる。これが授業での端末利用が加速する大きな転機となった。GIGAスクール構想もあって全ての県立高校の普通教室に2019年度からWi-Fiアクセスポイントの、2020年度からプロジェクタの整備を進めている。そしてGoogle Workspace と親和性が高く、キーボードやアウトカメラなど必要なものが備わった ASUS Chromebook Flip C214MA のBYAD(Bring Your Assigned Devide)での導入が2020年に始まった。ASUS Chromebook Flip C214MA は GIGAスクールにおいて文科省が定める標準仕様に準拠する端末だ。

本格的な課題研究に取り組む、共同編集作業になくてはならない Chromebook

ICT端末の活用開始後、生徒の直接の意見交換も活発に

毎年、理数科の2年生は、課題研究の授業で7-8名の班ごとに共同研究に取り組む。情報、理科、数学に分かれ、1学期中に研究テーマを決定、夏休みも利用して12月までに各班で研究やフィールドワークを行い、最後は研究成果のプレゼンテーションを行う。例えば「AIを活用したルービックキューブの最大手数の計算」、「熱伝導と燃焼の研究」「艦砲射撃の弾道シミュレーション」など多岐にわたる。中には連携する静岡大学に出向いて教授や学生らにアドバイスをもらう生徒もいる。この研究過程やプレゼンテーション用の資料制作に Chromebook がなくてはならない存在になっている。1人1台の Chromebook で、Google スライドの共同編集機能を使い班のメンバーがクラウドにある資料を並行して更新、お互い変更を把握することできる。この便利さを既に知っている生徒らは従来のオフィスソフトのローカルに保存したそれぞれのファイルを最後に繋げるといった操作の煩雑さには不満を感じるという。

「あれ?なんで?」主体的な学びを止めない、好奇心の赴くまま即座に自由に使える端末

静岡県立浜松南高等学校 情報科 村松卓 教諭

入学時に1時間、Google Workspace と Chromebook の使い方、クラウドサービスについて授業で説明をする。はじめは、「アプリがない」など戸惑う様子を見せる生徒も1時間の授業が終わるころには一通り使いこなせるほど順応性が高い。課題研究での利用などを通じて、様々な可能性に気づくと、調べるだけの道具でも、スタディサプリのためだけの端末でもないと感じ、生徒が自分で使い方を工夫し始める姿も見られるという。生徒に使うべきツールを指示するのではなく、情報やきっかけを提供するにとどめて見守り、生徒の自性性を尊重する村松教諭の姿勢も良い効果を生んでいるようだ。

生徒からの「勉強する時に『あれ?なんで?』と思ったらすぐに使えるのが Chromebook の良いところだ」という声も印象的だ。

授業中でもいつでも自由に使ってよい自分専用の端末があるので、生徒らは好奇心の赴くままに即時に調査、探究ができる。休み時間に Chromebook を開く姿も見られるという。主体的な学びを止めることなくサポートする端末の存在は大きい。

教諭の利活用の拡がり、Google フォームを使い授業の質を高める

全教諭に Google アカウントが付与され環境が統一されているため徐々に利用が広がっている。村松教諭は、情報の授業の最後数分間で、Google フォームを使った振り返りアンケートを行なっている。「みんな何がわかった?」と理解を確認する問いかけより、全員にわかったことを一言ずつ Google フォームに書いて文章化してもらった方が実態をしっかりとらえることができるからだ。

Google フォームであれば短時間で生徒の意見を集約できる

生徒も挙手で発言するより、書き込みの方が発信しやすい。結果はその場でスプレッドシートにして生徒らにも共有される。他者の考えに触れることでさらに理解を深めることにもつながっている。

教諭は、ICTを活用し得た結果で学習評価を行い、エビデンスに基づいた科学的な視点を授業の質向上に活用している。手軽で便利な Google フォームは同校の教諭らがもっとも活用しているツールだという。授業はもちろん、クラス運営、部活動と利用が進む。さらにICTを効果的に活用した授業の実現のため組織として学校全体の情報活用能力を高め、拡大していくという。

想像以上のメリットは、管理コストが小さいこと

タッチパネル搭載の ASUS Chromebook C214MA

Chromebook 導入の決め手に端末のコストがあった。しかし実際に使用してみて想像以上のメリットがあったと新村 理数科長。サービスはクラウドにあるため、コンピュータ室にサーバーを設置する必要もない。機器やソフトウェアの管理からも解放される。クラウドのデータはとにかく扱いやすい。デバイスやアカウントの管理は Google 管理コンソールなのでブラウザさえあればよい。万が一のOS(基本ソフト)復旧もすぐに終わる手軽さだ。端末本体のコスト以上に、高機能でありながら管理コストが小さいことも想像以上のメリットだという。

ICTを味方に自分の興味関心を追求する姿勢で、主体的に学ぶ

新村 理数科長、村松教諭ともに Chromebook を活用する授業は、生徒が講義を聞いている受け身の時間を抑えて主体的に取り組む時間を最大限にするよう心掛けていると語る。

与えられた問題を与えられた時間に解くだけではなく、自分で試して解決したり、考えて活用方法を工夫したりする学びが、数学など教科の学力の伸びにもつながると考える。生徒の主体的な学びが重要で、そのためにはいつでもすぐに使える1人1台の端末でなければ意味がないと力を込める。

「G suite に興味があってもすぐに授業に活用しきれない期間もここまでにはあった。ただその興味や好奇心を我々が持ち続け試行錯誤した末に今がある。自分の興味や関心を追求する姿勢というのは教諭ら大人も生徒もとても大切だ。実現する時にICTは味方になる。自分のやりたいことを実現するためにコンピュータと親しんでほしい。」村松教諭は笑顔で語った。

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