2022年6月28日
授業も校務も、多面的に効果が広がる Chromebook 活用(前編)/浜松聖星高等学校
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1956年、前身にあたる浜松海の星高等学校として開校した浜松聖星高等学校。現在の校名に変わり、女子高から共学へとなって5年。国際教養教育、理数教育、心の教育を柱に時代にあった教育を推進。近年のトピックであるICT教育は、GIGAスクール構想以前から取り組みを開始した。Google が提供する学びの支援ツール Google for Education の事例校に静岡県の高等学校で唯一選ばれている。同校では教員と生徒の端末に Chromebook を採用。現在の端末活用について、同校の鬼石勇樹教諭(教務部長・地理)、今田裕子教諭(養護・保健室)に話を聞いた。
Chromebook と Google をプラットフォームにICT教育を推進
浜松聖星高等学校は、2018年からICT教育の推進に取り組んできた。Chromebook の採用を決定し、毎年段階的に端末を導入。まずは教員へ配布し、Google Workspace for Education を活用しながら校務などで操作に慣れていき、2020年の新入生から生徒用の端末に着手。2022年4月に全校生徒への1人1台整備を完了した。
現在、教員用の端末にはASUS Chromebook Flip CX3(CX3400)を導入している。この Chromebook は生徒用 Chromebook よりも高いスペック(14型液晶/第11世代インテル® Core™ i3 プロセッサー/8GB RAM)であり、パフォーマンスとレスポンスに優れたパワフルな性能と機能を備えた機種である。
Google Earth Pro を使って授業
地理歴史科で地理を担当する鬼石教諭は、授業で Chromebook を毎回活用している。その中で Google Earth Pro を用いることが多いという。Google Earth は、衛星写真で世界中を見て回れる3D地図ソフト。各デバイスに対応しており、ブラウザ版はインストールが不要。Google Earth Pro は、Google Earth の機能はもちろん、地理情報システムの読み込み、3Dの立体距離計測、人口統計や土地区画などのレイヤの追加、動画の書き出しなど、より高度な機能が使える。
「Proでは、世界の気候区、たとえば熱帯や温帯、冷帯などにまつわるデータを入手して Google Earth の中に落とし込んだり、地球そのものに色付けしたりできます。見やすく拡大・縮小など自由自在に動かせますので、生徒にとって実際に動く資料として可視化できるのは、紙面上で見ていたものとは印象付けが違いますし、興味を持って見てくれています」(鬼石教諭)。
ハイスペックな Chromebook が可能にする高い操作性
Google Earth Pro は、システム要件を満たしていないパソコンではスペックが不足して動かない場合もある。同校の以前の教員用の端末では、Google Earth Pro を利用するにあたって動作がやや遅れぎみだったという。現在のASUS Chromebook Flip CX3(CX3400)になってからは、スムーズで正確に使えて便利だと鬼石教諭は話す。
「一つひとつの都市に気温や降水量など細かくデータが入っているのですが、以前は自分の操作と合わなかったり、提示にズレがあったり。操作性が良くなった分、こちらの意図と動きに差がないので操作ミスもなくなりました」と操作に余裕が生まれた様子だ。
生徒が学ぶ様子にも変化が起きた。生徒はこれまで手元の資料に視線を落として説明を聞くスタイルだったが、デジタルデータを電子黒板で映し、ポイントになる部分を動かしながら全員で一つのものを見ることで、示したい内容がよりわかりやすく伝わっている感じがあるという。今では生徒から「先生、あれ見ることはできない?」と提案されることもあるのだという。地理の楽しさや興味関心が湧き、積極性が現われているようだ。
電子黒板やWi-Fiなど学校のICT整備によって、Chromebook を存分に使える環境が整ってきたことで、教材の用意などいろいろな選択肢が増えて有り難いと語る鬼石教諭。「社会系は資料を使うことが多いですが、より視覚的に、生徒にとって効果的な資料や世界のライブ映像など手軽に用意できるようになりました。生徒も楽しんでくれているんじゃないかと思います」と話す。
身体測定と記録を同時に進行、待機時間ゼロの健康診断を実現
養護を担当する今田教諭は、生徒の心身の健康に日々寄り添っている。保健室に来室した生徒への対応はもちろん、大きな業務の一つに毎年実施する健康診断がある。
健康診断はこれまで、生徒が測定値を記入するための用紙を持って健診を受け、担当の先生が手書きで記録する流れだった。今年は全校生徒分を Google スプレッドシートに置き換えて先生たちに共有したという。測定した結果は先生たちにスプレッドシートへ直接入力してもらうことで、全校生徒分が計測した時点で記録が完了。用紙の用意や回収の作業は不要になり、その後、手書きの記録を保健機能ソフトに転記する作業もなくなった。業務が簡略化できたことは「大きな変化」だったと今田教諭は振り返る。
もう一つユニークな試みとして、スプレッドシートのコメント通知機能を活用した健診の進行状況を先生たちと共有した。次に保健室に来てほしいクラスを時間のロスなく招集するためだという。これまでは受診が終わった生徒に次のクラスを呼びに行ってもらうなどしていたが、行った先の教室に生徒がいなかったり、授業の切りがよくなかったりと、スムーズに健診へ促すことは至難の業であった。
そこで、どのクラスが健診を開始したかなど授業中の先生たちとスプレッドシートを介して情報共有を図ったことで、「次、準備して来てください」とコメントを打ち込めば、「了解」と打ち返して来てくれたという。「はじめは、授業中に Chromebook を開いていないといけないので大変と言われたのですが、終わってみたら、授業がギリギリまでできたよという声を多くもらいました」。授業にできるだけ支障が出ないよう配慮し、効率化を模索していた今田教諭。新しい仕組みとして今後も定着しそうだ。
先生同士の連携が密になりコミュニケーションにも変化
保健室に来室した生徒の情報は、Google ドキュメントを活用してまとめているという。従来はプリントを回覧していたが、ドキュメントであれば一斉に関係する先生たちに見てもらえるうえ、そこに次々と書き加えていける利便性がある。「生徒や保護者にいつ、どう対応して、誰が記録したかなど、小さなこともどんどん書き込めるのがとても有り難いです」。記録は大事だが、回覧では“一方通行”のようだったと今田教諭。しかし、Chromebook が導入されたことで、生徒と面談しながら端末を開いて打ち込んだり、終わった後すぐにまとめたりと記録の習慣がつき、一人の生徒をみんなで見る意識の醸成にもつながったようだ。
また、Google Classroom はコロナ禍の休校時にも多用された。生徒が困っていればすぐに Google Meet で面談もできると呼びかけ、実際に行った。特に返事が多かったのは当時の新1年生。それぞれに悩んでいることを担任の先生に伝え、先生からも Google Classroom で個別に呼びかけてもらったり、クラス担任の先生と一緒に並んで自宅にいる生徒と Google Meet で面談したりもしたという。
Chromebook の活用で、学校における日々の業務全般に良い効果が広がっている。
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