2023年3月14日
コロナ禍、若者の半数が「行動制限が少なくなっても感染は心配」と回答=日赤調べ=
日本赤十字社は13日、全国の高校生・大学生(大学院生)・保護者・教員の合計600人を対象に実施した、「新型コロナ禍と若者の将来不安に関する調査」の結果をまとめ発表した。
同調査は、昨年1月に第1回目の調査結果を発表しており、今回は2回目の調査の結果。
それによると、若者の交友関係の変化に関しては、「友人や知人と対面で会う機会が増えた」(高校生28.0%/大学生32.0%)が最多で、次いで「進学や進級した後も、同級生と対面で会う機会が増えた」(高校生15.0%/大学生13.0%)、「外出する人がたくさんいる繁華街に出かけることが増えた」(高校生16.0%/大学生13.0%)が続いた。
およそ3人に1人の若者が、「対面でのコミュニケーション機会が増えた」と考えているが、「対面で会う機会が増えた」や「出かけることが増えた」などと答えた人でも、「行動に制限が少なくなっているが、感染への不安は残っている」(高校生55.8%/大学生41.2%)と半数近くが感染を心配していることが分かった。
また、「自分が感染源になって周囲の人にうつしてしまうことへの不安は残っている」(高校生23.3%/大学生29.4%)、「自宅学習の便利さや気軽さが分かり、以前よりも登校することを億劫に感じるようになった」(高校生23.3%/大学生25.5%)、「人前に出たり、マスクを外す機会が増え、身だしなみに余計に気を遣うことにストレスを感じている」(高校生25.6%/大学生21.6%)など、行動制限が緩和されることで新たなストレスを感じていることが判明した。
若者の心の変化の上位回答を前回調査と比較すると、「何もしたくなくなる、無気力」は高校生39.0%(前回-4.0ポイント)、大学生34.0%(前回-15.0ポイント)で、「孤独を感じる、1人でいるのが不安になる」は高校生21.0%(前回-7.0ポイント)、大学生23.0%(前回-12.0ポイント)。
また、「悲しい気持ちになる、涙が止まらなくなる」も高校生24.0%(前回+1.0ポイント)、大学生22.0%(前回-3.0ポイント)で、前回調査よりも多くの項目で減少していたが、依然として3割~4割の若者が心に何らかの不安定さを抱えていた。
心の変化の要因としては、「毎日の生活に充実感が感じられないから」(高校生30.4%/大学生37.7%)が最多。
高校生では「仲の良かった友人や知人と疎遠になってしまったから」17.9%や、「屋外でのマスクが不要になったり、外出を制限しなくなるなど周囲の行動や気持ちの変化についていけないから」17.9%が多く、大学生では「いつになっても以前のような生活に戻れるとは思えないから」28.3%と、「コロナ禍で3年近く経っても、将来の見通しが持てないから」28.3%が多かった。
こうした心の変化への対処としては、「『何とかなる』とできるだけ楽観的に考えるようにした」(高校生23.2%/大学生28.3%)、「『起きてしまったことは変わらない』と変化を受け入れるようにした」(高校生19.6%/大学生26.4%)などの自身の心の捉え方に関する回答が多かった。
一方で、周囲の人に相談する機会については、「保護者と話し合った」(高校生14.3%/大学生24.5%)、「学校の教師と話し合った」(高校生10.7%/大学生5.7%)、「同級生や先輩と話し合った」(高校生12.5%/大学生30.2%)との回答で、身近な大人には相談していないことが分かった。
周囲の人に相談しなかった理由としては、「相談しても何も解決しないと思ったから」(高校生26.2%/大学生55.2%)、「相談することが時間の無駄だと思ったから」(高校生14.3%/大学生27.6%)」など、話すことに意義を感じていない様子が見受けられた。
近い将来の進学や就職への不安に関しては、「受験や就職活動で苦労するのでは」が最も多く、高校生30.0%(前回-12.0ポイント)、大学生23.0%(前回-10.0ポイント)。
高校生では、次いで「学習の習熟度が不十分になるのではないないか」が21.0%(前回-5.0ポイント)で、大学生では「進学先や就職先で評価されないのでは」が23.0%(前回-8.0ポイント)という考えを持っていることが分かった。
若者が抱く将来の社会生活に対する不安では、「対人コミュニケーションスキルが身につかない」が高校生30.0%(前回±0ポイント)、大学生18.0%(前回-9.0ポイント)で最も多かった。
高校生では次いで「心を許せる友人や知人が作れないのではないか」が21.0%(前回項目なし)、大学生では「周囲の人との付き合いがうまくできないのでは」が17.0%(前回-9.0ポイント)で、周囲の人との関係性に関連する声が多く寄せられた。
今回の調査から、若者の心の変化として、前回調査(2020年4月の緊急事態宣言~2021年9月の宣言解除まで)で上位回答だった「何もしたくなくなる、無気力」「孤独を感じ、1人でいるのが不安」「悲しい気持ちになる、涙が止まらなくなる」においては、数値が減少しており、前向きに変化しつつある一方で、生活に充実感を感じない、将来の見通しが立たないことから悲観的に考えている若者が一定数存在することも分かった。
また、対面によるコミュニケーション機会に関しては、若者の3人に1人が「増えた」と回答する反面、感染に対する不安は引き続き残り、マスクを外す機会が増えるなど外出時の身だしなみに関することや、在宅生活に慣れてしまい外出に面倒さを感じるなど、長引くコロナ禍で新たなストレスが生まれていることも分かった。
この調査は、全国の高校生・大学生(大学院生)・保護者・教員の合計600人(高校生100人/大学生・大学院生100人/高校生の保護者100人/大学生・大学院生の保護者100人/高校教員100人/大学教員100人)を対象に、2月17日~20日にかけて、インターネットで実施した。
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