2025年3月14日
6割強の親が「老後の備えより子どもの教育費にお金を回したい」と回答 =ソニー生命調べ=
ソニー生命保険は13日、大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女1000人を対象に実施した、今年で12回目となる「子どもの教育資金に関する調査」の結果をまとめ発表した。
それによると、子どもの教育や教育費に関して「自身の考えや状況」を聞いたところ、「子どもの学力や学歴は教育費にいくらかけるかによって決まると感じる」との項目では、「非常にあてはまる」19.1%、「ややあてはまる」44.8%で、合計した「あてはまる」は63.9%だった。子どもの学力や学歴は教育費の多寡によって左右されると思う親が多いようだ。
「老後の備えより子どもの教育費にお金を回したい」との項目では、「あてはまる(計)」は61.1%、「早期の知育や英才教育は子どもの将来のために重要だ」では65.6%が、「スポーツや芸術の習い事よりも学習塾に教育費をかけたい」では43.0%が、それぞれ「あてはまる(計)」と回答した。
「子どもの教育費の負担を重いと感じるか」を尋ねたところ、「非常にあてはまる」が26.9%、「ややあてはまる」が37.6%で、合計した「あてはまる」は64.5%だった。
子どもの就学段階別にみると、「あてはまる(計)」と回答した親の割合は、就学段階が上がるほど高くなり、大学生など(予備校生・浪人生・大学生・短期大学生・専門学校生、以下同様)の親では77.4%だった。
過去の調査結果と比較すると、子どもの教育費の負担を重いと感じる親の割合は、2024年67.4%→2025年64.5%と微減している。
子どもの将来について、教育資金に不安を感じるかを聞いたところ、「不安を感じる」は81.6%、「不安を感じない」は18.4%で、親の大多数が不安を抱いていることが分かった。子どもの就学段階別にみると、「不安を感じる」と回答した親の割合は、「小学生の親」86.7%と「中高生の親」86.1%で特に高かった。
子どもの教育資金に不安を感じる親(816人)に、「不安を感じる理由」を聞いたところ、「物価の上昇」55.5%が最も多く、以下、「教育資金がどのくらい必要になるか分からない」32.5%、「収入の維持や増加に自信がない」29.7%、「社会保険料の負担増」27.1%、「病気やケガで収入が途絶えるリスク」23.2%と続いた。
未就学児の親(248人)に、子どもが小学生から社会人になるまでに、「教育資金はいくらくらい必要だと思うか」を尋ねたところ、「1000万円~1400万円位」29.4%や、「2000万円~2400万円位」25.8%に回答が集まり、平均予想金額は1489万円。昨年の調査結果と比べると、「3000万円以上」は2024年8.1%→2025年11.3%と、3.2ポイント上昇した。
平均予想金額を過去の調査結果と比較すると、直近1年間では2024年1439万円→2025年1489万円と50万円の上昇となり、2021年から4年連続の上昇で、調査開始以来の最高額を更新する結果となった。必要な教育資金の額を「3000万円以上」と見積もる親が増加したことが、平均予想金額の上昇につながったと考えられる。
全回答者(1000人)に、スポーツや芸術などの習い事、家庭学習、教室学習のそれぞれに1カ月あたりいくらくらい支出しているかを聞き、それぞれの平均支出金額を合計したところ、1万6172円/月になった。
昨年の調査結果と比較すると、平均支出金額の合計は2024年1万7593円→2025年1万6172円と、2022年以降の上昇傾向から一転して1421円減少。相次ぐ値上げや物価上昇で、学校外教育費にかける経済的余裕がなくなるケースが増えていると思われる。
子どもの就学段階別に平均支出金額の合計をみると、未就学児の親では9201円/月、小学生の親では1万8530円/月、中高生の親では2万5282円/月、大学生などの親では1万1603円/月となった。昨年の調査結果と比較すると、すべての就学段階で減少しており、特に大学生などの親では2024年1万6453円→2025年1万1603円と4850円減少した。
全回答者に、スポーツや芸術などの習い事、家庭学習、教室学習(学校外教育)をいくつ行っているか聞いたところ、「0個(行っていない)」45.3%に多くの回答が集まったほか、「1個」17.4%や「2個」15.7%、「3個」13.3%などにも回答が集まり、平均個数は1.3個だった。子どもの就学段階別にみると、平均個数は小学生(2.0個)が最も多かった。
子どもがスポーツや芸術などの習い事(水泳やダンス教室、ピアノ教室、運動系部活、文化系部活など)を行っているかを聞いたところ、「行っている」は39.0%、「行っていない」は61.0%だった。子どもの就学段階別にみると、「行っている」と回答した親の割合は、小学生では66.5%と半数を超えた。
子どもがスポーツや芸術などの習い事を行っている人(390人)に、子どもがスポーツや芸術などの習い事をいくつ行っているか聞いたところ、「1個」68.2%に回答が集まり、平均個数は1.4個。習い事をしている理由を聞いたところ、「本人の希望」74.6%が突出して多く、以下、「将来に活かせる」22.3%、「親の希望」14.6%、「学校の授業で活かせる」10.0%、「友達が習っている」9.2%と続いた。
子どもの就学段階別にみると、未就学児の親では「将来に活かせる」31.3%と「親の希望」20.8%、中高生の親では「本人の希望」83.8%、大学生などの親では「兄弟姉妹が習っている」16.7%が全体と比べて5ポイント以上高くなった。
全回答者に、子どもが家庭学習(通信教育など)を行っているかを聞いたところ、「行っている」28.4%、「行っていない」71.6%だった。子どもの就学段階別にみると、「行っている」と回答した親の割合は、小学生(38.7%)が最も高く、中高生(33.3%)が続いた。
子どもが家庭学習を行っている人(284人)に、子どもが家庭学習をいくつ行っているか聞いたところ、「1個」91.5%に回答が集中し、平均個数は1.1個だった。
全回答者に、子どもが教室学習(学習塾、英会話、そろばん教室、プログラミング教室など)を行っているかを聞いたところ、「行っている」は35.3%、「行っていない」は64.7%だった。子どもの就学段階別にみると、「行っている」と回答した親の割合は、中高生(52.4%)が最も高くなり、小学生(48.8%)が続いた。
子どもが教室学習を行っている親が(353人)に、子どもが教室学習をいくつ行っているか聞いたところ、「1個」85.6%に回答が集まり、平均個数は1.2個だった。
高校生以下の子どもの親、または予備校生・浪人生の親(756人)に、子どもの進学費用のための備えとして、1人あたり月々いくらくらい支出をしているかを聞いたところ、「0円」29.9%に最も多くの回答が集まったほか、「1万円~1万4999円」13.8%や、「2万円~2万9999円」17.5%、「3万円以上」23.1%にも回答が集まり、平均は2万39円/月。
世帯年収別にみると、平均支出額は世帯年収が上がるにつれ多くなる傾向がみられ、世帯年収が1000万円以上の親では3万2605円/月だった。
平均支出金額を過去の調査結果と比較すると、2024年1万6942円→2025年2万39円と3097円増加し、調査開始以来の最高額だった。進学費用の準備としての月々の支出金額が増加した背景には、物価高騰に伴う大学などの学費値上げの影響があるようだ。
「学資保険」と「学資保険以外の子どもの進学費用のための積立」の支出がいずれも0円の親(227人)に、その理由を聞いたところ、「経済的な余裕がない」29.1%と、「学資保険や子どもの進学費用の積立に関する情報・知識が足りない」25.1%が特に多かった。以下、「投資など別の方法で準備している」15.4%、「既に進学費用の準備ができている」12.3%、「子どもの進学までには時間的な余裕がある」6.6%が続いた。
高校生以下の子どもの親(748人)に、大学などへの進学のための教育資金を、どのような方法で準備しているかを聞いたところ、「銀行預金」54.3%が最も多く、以下、「学資保険」38.4%、「資産運用(株式投資、投資信託、NISAつみたて投資枠など)」24.1%、「財形貯蓄」13.4%、「(学資保険以外の)生命保険」10.0%が続いた。
世帯年収別にみると、世帯年収が1000万円以上の親では「資産運用(株式投資、投資信託、NISAつみたて投資枠など)」が38.1%と、他の層と比べて特に多かった。
他方、大学生などの親(予備校生・浪人生を含まない/244人)に、大学などへの進学のための教育資金を、どのような方法で準備してきたかを聞いたところ、最も多かったのは「銀行預金」61.5%で、以下、「学資保険」38.5%、「奨学金」17.2%、「財形貯蓄」10.2%、「資産運用(株式投資、投資信託、NISAつみたて投資枠など)」9.8%が続いた。
高校生以下の子どもの親の結果と比較すると、「奨学金」は高校生以下の子どもの親では8位だったのに対し、大学生などの親では3位と、順位に大きな違いがみられた。
高校生以下の子どもの親、または予備校生・浪人生の親(756人)に大学などの学費(入学金・授業料)や奨学金に関する意識について質問したところ、「大学などの学費は高すぎると思う」の項目では、「非常にそう思う」が44.6%、「ややそう思う」が40.9%で、合計した「そう思う」は85.4%、「大学などの学費を無償化してほしい」では、「そう思う(計)」は81.7%だった。「子どもが貸与型奨学金を利用した場合、返済時に支援したいと思う」では、「そう思う(計)」は78.7%。
高校生以下の子どもの親で世帯年収が1000万円以上の人(155人)に、2024年10月から行われている「児童手当の所得制限撤廃」(以前に設定されていた所得制限が撤廃)によって家計がどのくらい助かっているかを聞いたところ、「非常に助かっている」27.7%、「やや助かっている」47.1%で、合計した「助かっている」は74.8%だった。
「全く助かっていない」は7.1%、「あまり助かっていない」は18.1%で、合計した「助かっていない」は25.2%だった。
高校生の親(127人)に、「児童手当の高校生年代までの延長(中学生までだった支給対象が18歳までに)」で家計がどのくらい助かっているかを聞いたところ、「助かっている(計)」は74.8%、「助かっていない(計)」は25.2%だった。高校生の親の多くが、児童手当の18歳までへの延長で家計負担が軽減されたと実感しているようだ。
子どもが3人以上いる親(120人)に、「児童手当の多子加算(第3子以降の手当が大幅に増額され月額3万円に)」によって家計がどのくらい助かっているかを聞いたところ、「助かっている(計)」は78.3%、「助かっていない(計)」は21.7%だった。
全回答者に、2025年度から行われる「多子世帯の大学無償化(3人以上の子どもを扶養する世帯では大学の入学金・授業料が減免され実質無償化)」によって家計がどのくらい助かると思うかを聞いたところ、「助かると思う(計)」は62.5%、「助かると思わない(計)」は37.5%だった。
子どもが3人以上いる親(120人)についてみると、「助かると思う(計)」は82.5%と、全体(62.5%)と比べて20.0ポイント高くなった。
全回答者に、自分の子どもに目指してほしい「理想の大人」のイメージに合う有名人について聞いたところ、1位「大谷翔平」、2位「芦田愛菜」、3位「所ジョージ」で、「大谷翔平」は2024年調査に引き続き2年連続の1位。
最後に、全回答者に、自分の子どもに就いてほしい職業を聞いたところ、男子の親では、1位「公務員・官僚」、2位「会社員」、3位「医師」、4位「エンジニア」「スポーツ選手」だった。女子の親では、1位「公務員・官僚」、2位「看護師」、3位「医師」、4位「医療関係職(医師、看護師など除く)」「会社員」「薬剤師」。
この調査は、大学生以下の子どもがいる、全国の20歳以上の男女を対象に、1月28・29日の2日間、インターネットで実施した。有効回答数は1000人。
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