2025年6月12日
大阪大学、人工知能が人と同じ視線を獲得 「詰め込み教育」はだめ
大阪大学は9日、情報量を最大化する自発的な学習を行ったビジョン・トランスフォーマー(ViT)と呼ばれる人工知能が、人間と極めてよく似た場所を見るように「育つ」ことが発見されたことを発表した。
大阪大学大学院生命機能研究科ダイナミックブレインネットワーク研究室 北澤茂教授と大阪大学大学院医学系研究科脳生理学研究室 山本拓都氏(博士課程)らは、動画を見るときの人間の視線計測データと人工知能(ViT)の「注意」を比較して、情報量を最大化する自発的な学習(DINO法の学習)をした人工知能が人間と極めてよく似た場所を見るように「育つ」ことを発見した。
一方で、画像識別を行うように「詰め込み」型の教育を受けたViTは、人間とは違うところを見るようになった。
DINO法の学習をした人工知能は、一切「顔」の概念を教えていないのに、テレビ番組や映画のシーンを見せると、その場の主役を選んでその顔を見るようになった。さらに、視覚心理学で注意の研究に使われる人工的な画像に対しても、人間とよく似た場所を見ることが明らかになった。
ViTには、複数の注意の主体(ヘッド)が設定されている。さらに詳しく注意のヘッドを解析したところ、人間とよく似た場所に注意を向けるグループ1、場面に登場する人や物全体に注意を向けるグループ2、さらに背景だけに注意を向けるグループ3、の3群に分かれることが明らかになった。
伝統的な心理学では、心は世界を注意の対象である「図」とそれ以外の「地」に分離するとされてきた(図地分離)。同研究のDINO法で育てたViTは、図を図の全体(グループ2)と図の中心(グループ1)に分けていた。人間の視線がグループ1と一致したことから、人間もViTのように世界を3群に分けて理解している可能性が示唆される。
同研究の成果は、人と相性が良い人工知能の開発や、人間にとって自然な教育・学習法の開発・評価に応用されるものと期待される。
同研究成果は、5月21日に国際神経回路学会の機関誌電子版「Neural Networks」に掲載された。
関連URL
最新ニュース
- 豊中市、小学校提出書類をデジタル化、教育DXで保護者の負担軽減と事務効率化へ(2025年12月22日)
- 東京都文京区、闇バイトを擬似体験するゲーム「レイの失踪」で区民向け情報リテラシー教育(2025年12月22日)
- 教員の学ぶ機会と生活の保障に関する教職員アンケート結果を公開 =School Voice Project調べ=(2025年12月22日)
- 中高生の学習スタイル、約6割が「オンラインでつながる仲間の存在が受験勉強の支えになる」 =ベネッセコーポレーション調べ=(2025年12月22日)
- 家庭学習で「デジタルデバイス上への手書き」を行う中高生は約3割 =コクヨ調べ=(2025年12月22日)
- 大学受験期のクリスマス、6割以上が「特別なことは何もしなかった」 =Studyplusトレンド研究所調べ=(2025年12月22日)
- 子どものスマホ利用 約半数の家庭が「ルールを決めていない」=LINEヤフー調べ=(2025年12月22日)
- 受験期に親が抱えるプレッシャー、子どもの成績より体調管理や金銭面の不安が上回る =明光義塾調べ=(2025年12月22日)
- Biz Hits、文系出身者に聞いた「文系におすすめの職業」ランキング(2025年12月22日)
- 英語を使う業務歴3年以上のビジネスパーソンの英語学習方法は「AI英語学習アプリ」=アイキューブ調べ=(2025年12月22日)











