2018年11月9日
2020年まで残りわずか!新学習指導要領に向けたICT活用の秘訣とは?
〜新しい学びの実践者に聞く ICT活用実践と2020年突破の鍵〜
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大型書店の教育書コーナーにズラリと並ぶ「新学習指導要領」に関する本。中でも「プログラミング教育」をテーマにした書籍は数を増やしており、小学校での必修化に向けて注目が高まっている。そんな中、「iPad教育活用 7つの秘訣2〜新しい学びの実践者に聞くICT活用実践と2020年突破の鍵〜」がウイネット出版より発刊となった。
2013年3月に初版が発行され話題となった「iPad教育活用 7つの秘訣」の続編である。5年経ったいま、なぜ第2弾の出版に至ったのか。同書のプロデューサーであり著者でもある教育ICTコンサルタントの小池幸司氏に話を聞いた。
「iPad教育活用 7つの秘訣」出版から5年経ったいま、なぜ続編?
「教育×ICTをテーマにした本を作りたい」そんな思いをSNSに投稿したのが2012年8月のことでした。iPadが日本で発売になって1年、ビジネス活用に関する本が続々と出る中、教育現場でのiPad活用に関する本がなかったのです。当時はまだ実践事例も少なく、教育現場でICTを活用するとはどういうことか、どんな変化が生まれるのかを皆が知りたがっていました。だからこそ、先駆者たちの声を本にすることに大きな意味があったのです。
あれから5年、「教育現場でのICT活用」をテーマにした良書も増えました。タブレットを導入する学校も増え、ICTを活用した公開授業や実践発表はあちこちで実施されています。2015年には「iPad教育活用 7つの秘訣」の出版に協力いただいた先生たちと「iTeachers TV 〜教育ICTの実践者たち〜」というネット番組をスタートしました。実践者たちの声やICT活用のノウハウを、誰でも無償で入手できるようになったのです。
・iTeachers TV 〜教育ICTの実践者たち〜 – YouTube
一方、2017年に入ったあたりから、教育ICTの情報を求める新たな層が現れました。ICTという言葉は知っていても、あまり積極的ではなかった先生たちです。しかし、新学習指導要領の施行が目の前に迫ったことで、プログラミングやICTと向き合わざるをえない状況が生まれました。そういった先生たちは、インターネットやSNSで自分から情報を集める習慣がほとんどありません。そこで、教育ICTに関心をもちはじめた先生たちが、気軽に手にとって参考にしてもらえる書籍として「iPad教育活用 7つの秘訣2」を出版しようと考えたのです。
日本の教育現場におけるICT活用、この5年でどのような変化が?
「デジタルかアナログか?」という議論は、この5年ですっかりなくなりました。学校にICTを導入したからといって、すべてがデジタルに置き換えられるわけではない。先進校での取り組みを通じて、その認識はもはや当たり前のものとなってきています。むしろ、デジタルとアナログ、その両方を組み合わせることで、子供たちの主体的な学びを引き出せる。そんな認識が多くの教育関係者にとっての共通見解として定着してきました。
また、首都圏の私立中高一貫校を中心に、「One to One」(生徒一人1台端末)でのICT活用を進める学校が増えてきました。ICTを導入することのリスクより、導入しないことのデメリットを強く感じるようになってきたのです。また、導入校の公開授業に行くと、「ICTはツールである」「導入前に目的やビジョンを共有する」「生徒たちを運営に巻き込む」といった言葉が、どこの学校でも聞かれるようになりました。先進校が自校での導入事例を広く発信してくれたおかげで、ICTを導入する上での成功法則が形作られてきたと言えます。
一方、こういった私立の動きに比べて、公立の小中学校におけるICT導入がいまいち進んでいない現状にあります。もちろん、学校単位・自治体単位で見れば、私立の学校以上に積極的な取り組みをしているところも少なくありません。しかし、その伝播のスピードが非常に遅い。「予算」の問題に加えて、旗振り役だった先生の「異動」による停滞など、公立の学校ならではの構造的な問題が少なからず影響しているものと考えられます。
「iPad教育活用 7つの秘訣2」は第1弾とどのあたりが変わった?
いまICTに関心を持ちはじめている先生たちの多くは、もともとICT好きというわけではありません。新学習指導要領で謳われている「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)やプログラミング教育など、これからの学びを実現するための手段として、ICTを使えるようになりたいという先生がほとんどです。
そこで「iPad教育活用 7つの秘訣2」では、巻頭にリンダ・リウカス氏からのメッセージを掲載しました。リンダ氏は「コンピュータを使わないプログラミング」を広めた絵本「ルビィのぼうけん」の著者。プログラミングやテクノロジーを活用した学びを子どものころに体験する意味を、日本の先生に向けて語っていただきました。
実践者インタビューのうち、小学校編では、先進的な2つの公立小学校における「プログラミング教育」の実践を紹介しています。中学校編では、小学校での教科化も控えて、ますます注目が高まる「英語教育」にフォーカス。ICT活用だけでなく「AI(人工知能)」を活用した事例も取り上げました。高校編では、「アクティブ・ラーニング」「STEAM教育」といった新しい学習スタイルにおけるICTの有効性に言及。先生たちにとって関心が高いテーマを実践ベースで取り上げています。前作で要望が大きかった特別支援学校編を新たに設けたのも、本作での大きな変更点です。
なお、インタビュー記事に加え、各種コラム、座談会、ICT活用講座の各コーナーでは、先に紹介した「iTeachers TV 」とも連動。章末のQRコードを読み込むことで、実践者たちのプレゼンを動画でも見られるようにしました。文字通り「実践者たちの声」を聞くことができる本となっています。
今回のインタビュー取材を通じて印象に残ったエピソードは?
実をいうと、インタビュー取材を開始してからずっと頭を悩ませていたことがありました。「この本のタイトルをどうするか」という問題です。前作から5年が経ち、ICTの選択肢も大きく広がりました。実際、インタビューした先生方が所属する学校では、iPadだけを使っているわけではありません。「Windows」や「Chromebook」を併用している学校もありますし、「アンプラグド」に至ってはそもそもデバイス自体を必要としません。
「スマホ」を活用した実践をされている静岡県立韮山高等学校の鈴木映司先生に取材をした時におもしろいことがありました。取材をした日の翌日、東京の都立高校でも生徒のスマホを活用していくという方向性が発表され、ニュースになったのです。
これからは、本当の意味でのBYOD(=Bring You Own Device)をはじめ、デバイスやOSにこだわらないスタイルが一般的になっていくのだと感じさせる出来事でした。
2020年の新学習指導要領、ズバリその突破の鍵は?
2020年から始まる学習指導要領の改訂について、明治以来の教育改革だと唱える専門家もいます。「学力」そのものの定義が変わるわけですから、日本の教育が一変すると言っても過言ではありません。これまでわれわれが受けてきた「先生が教える」というスタイルから「生徒自身が学ぶ」という学びの形に変われるかどうか。日本の教育の行く末は、2020年からの数年間の動きにかかっていると言えるでしょう。
一方で、その実現を担う現場の先生たちの負担は増えるばかり。教員の過剰な労働時間の問題がネットを賑わせていますが、授業時間内だけに目を向けても問題は山積みです。これまで通り、知識・技能を習得させながら、子供たちがアウトプットする時間を作るだけでも簡単ではありません。そこで重要になってくるのがICTの活用です。「授業の効率化」を図りましょう。「子供たちの主体性」を引き出してください。でも「先生たちの負担」は軽減するように・・・そんな新学習指導要領の「ムチャぶり」に応えるには、ICTくらい当たり前に使えるようでなくては始まらないのです。
これまでの日本の教育は世界的に見ても評価が高いものでした。それは否定されるものではありませんし、誇りをもってしかるべきです。でも、これからの時代に合った教育への転換が、いままさに求められています。実現への道を歩みはじめるならば、2020年という節目の年が最後のチャンスではないでしょうか。「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る」。本書がそんな「温故知新」のイノベーションを起こす先生たちの一助になることを願っています。
・iPad 教育活用 7つの秘訣2 ~新しい学びの実践者に聞く ICT活用実践と2020年突破の鍵~ | 株式会社ウイネット
本のプレゼントキャンペーン実施中。ICT教育ニュースの読者のみなさんに抽選で10名様に「iPad教育活用 7つの秘訣2」をプレゼントいたします。応募方法等、くわしくは下記リンク先をご覧ください。
【プロフィール】
小池 幸司 氏(教育ICTコンサルタント)
2011年3月、他の学習塾に先駆けてiPad導入を実現。教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて自社のiPad導入事例やノウハウを発信。2013年3月にはiPad×教育をテーマにした初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」をプロデュース。NPO法人 iTeachers Academy 事務局長
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