2025年12月3日
【キュビナ活用事例】子どもたちの主体性を伸ばす〜自由進度学習での「キュビナ」活用〜/静岡市立清水辻小学校
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2025年8月25日にCOMPASSが開催したオンラインイベント「先生に学ぶ!キュビナ活用実践セミナー」から、静岡市立清水辻小学校の事例報告「子どもたちの主体性を伸ばす〜自由進度学習での『キュビナ』活用〜」を紹介する。
発表は、静岡市立清水辻小学校の白鳥史也教諭がおこなった。
静岡市立清水辻小学校が目指す「子どもの姿」のための自由進度学習とキュビナ
本校では目指す子どもの姿を「自ら考え行動する子」、重点目標として「認め合い夢中になる子」としています。この目指す子どもの姿の実現に向けて、具体的に大事にしたい部分は子どもたちの「探究心」、そして「学ぶ必然性」です。
子どもたちの「探究心」や「学ぶ必然性」を大事にするための手立てとして、子どもが学習を選択・決定することを大事にしようと話し合っています。
子どもが学習を選択・決定するためには、様々な手立てや工夫があると思いますが、その中の一つとして「自由進度学習」と「キュビナ」に注目しました。

自由進度学習は自分に合ったペース・形態・量で学習できます。子どもたちは意欲を持って取り組むことができ、学びを通して充実感を感じやすいです。
教員にとっても、個に応じた支援がしやすいのではないかと考えていています。
「キュビナ」は、いつでもできる・戻る事ができる・つまずきがわかる・取り組みの達成感を感じやすい、そして教員も子どもたちの学びを把握しやすいという良さがあります。

2つの共通点は、個に応じた学習ができること、子どもたちが選択・決定できること、そして達成感を味わえるところです。
そこで「キュビナ」を活用した「自由進度学習」に取り組んでみようと考えました。
「自由進度学習」+「キュビナ」の学習の流れ
本年度は5年生の算数、「ともなって変わる2つの量」と「単位量あたりの大きさ」で実践しました。
まず子どもたちと単元の目標を共有します。
子どもたちは下記の1・2・4の流れを毎時間繰り返していきます。
教員は子どもたちの様子を見ながら、必要に応じて一斉指導を入れます。

自由進度学習を進める上での基本セット①としてGoogleClassroom内で、
・学習内容や進度が見えるチェックシート
・デジタル教科書をもとに作った資料
・子どもたちが選択して学習できる補充問題
・子どもたち同士で問題を出し合えるような発展問題
の4つの資料を配布します。

基本セット②として「キュビナ」を活用し、複数のワークブックを子どもたちに提示します。
チェックシートの黄色の部分が「キュビナ」のワークブックです。左から学習内容の順番に並んでいますが、やるかどうかも、いつやるのかも、子どもたちの選択です。
順番通りに学習を進めていく子もいれば、基本問題を解いた後にキュビナに取り組む子、単元末テストの前に復習として家庭学習で取り組む子、様々な形で取り組んでいます。

基本セット③としてふり返りカードを配布し、毎時間振り返りをしています。
子どもたちが学習を調整する上で、振り返りはとても大事です。1日の学びの満足度を評価して、その満足度に対して自分たちはどんな学びができたのかを具体的に評価していきます。

子どもたちの評価に対して教員が価値付けをしたいので、振り返りカードについては紙で配布しています。そしてポートフォリオとして蓄積しています。
「自由進度学習」+「キュビナ」の学習の様子と評価
子どもたちの学習の様子です。
この子どもたちは話しやすい子同士でグループを作っています。振り返りの中にも、「今回ほとんど教えてもらったから次の時間は自分で考えるようにしよう」とありました。
またある子は、「前の学習とのつながりをもっと考えながら学習しなきゃいけない」と振り返りをしていたので、「丁寧に学習することが大切だね」と価値付けをして、次の学習に繋げています。
この写真の子はホワイトボードを使って隣の子と一緒に考えています。「ホワイトボードで自分の考えを説明することができた」とふり返りがあったので、「それは自分が内容を理解できているからだね」と価値付けています。
また「ホワイトボードを使って友達と考えたからわからないところがわかったよ」とふり返っている子もいます。
このように毎時間の様子を自分たちで振り返って、それに対して教師が価値付けをしながら、子どもたちの意欲付け、またその意欲付けが子どもたちの主体的な学びにつながっていくと考え、取り組んでいます。
「自分の学びに満足している」または、「友だちに上手に教えることができて成長を感じた」、「とても楽しかった」と振り返る子もいますし、逆に「教えてもらわないと自分は無理かもしれないから友だちに積極的に関わっていきたい」と振り返る子、「遅いからもっとどうにかして学びを調整したい」など様々に自分の学びを振り返りながら進めています。
単元の中での評価方法も、予め定めています。
知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習取り組む態度、それぞれどの問題・どの時間で評価するかを位置付けています。
「自由進度学習」+「キュビナ」の学習効果
以下のグラフは「学習効果」に関する参考データです。左側は一斉学習で行った「平均」について学習した単元末テストの結果、右側は自由進度学習で行った「ともなって変わる2つの量」=「比例」の結果です。

難易度の違いがあるので直接比較するのは難しいですが、クラスの学習の傾向を見る上では参考になると考えます。
左の一斉学習を見ると、全体的に分散しています。右の自由進度学習では、知識・技能/思考・判断・表現のいずれも右上(高得点)に比較的集まっています。
自由進度学習では、教員が子どもたちのつまずきを見て個別に携わる事ができるため、下位の子どもたちをサポートできる良さがあっての結果かなと考えます。
まとめと今後の展望
「キュビナ」を活用した「自由進度学習」を行うことで、現時点では「一定の効果があったと思われる」と言うに留めます。それぞれ「キュビナ」の効果だったのか、「自由進度学習」の効果だったのかが、客観的に分析ができていないからです。
通常の授業作りと同様に、「自由進度学習」が子どもたちに合っているのか、どの教科に取り入れるのが良いのか、などを考え続ける必要があります。
今後の展望としては、子どもたちが主体的にあるために、自由進度学習の中では教員が課題を選んで解いてもらう「ワークブック」を活用していますが、本来ならば子どもたちが自分の弱いところ、学習したいところを選択して学習していくことが良いのではと思います。
「キュビナ」を活用することで得られる達成感を元に、子どもたちがもっと自分たちで学習を進めていけるよう、学びのふり返りと学びの価値付け、子どもたちの学びの調整を大事にして、これからも取り組んでいきたいと思っています。
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