2017年2月9日
~現場の先生に知って欲しい~ 御厩課長が語る「総務省がICT教育に熱心な理由」
~現場の先生に知って欲しい~
御厩課長が語る「総務省がICT教育に熱心な理由」
みなさん、総務省って何をやっている官庁かご存知ですか。会社で総務と言えば、何でも屋・雑用係のイメージですよね。しかし、会社における総務は、会社の情報中枢でありブランド戦略の中心です。「良い総務が良い会社を作る」という言葉があるそうで、とても重要な組織なのです。
では、総務省の仕事は何でしょうか。総務省は2001年、自治省、総務庁、郵政省を統廃合して設置されました。地方行財政や選挙制度、消防、情報通信事業など多岐にわたる事業を所管する、国にとってとても重要な省です。
その総務省がICT教育にとても熱心だって知っていましたか。クラウド上に様々な教材やアプリを設置して、いつでもどこでも学ぶことができる「教育クラウドプラットフォーム」環境を作り出す「先導的教育システム実証事業」や、「若年層に対するプログラミング教育」普及推進事業」など、ICT教育政策を積極的に進めています。
そこで今回は、総務省でICT活用推進を担当する、情報流通行政局情報通信利用促進課の御厩(みまや)祐司課長に、「総務省がICT教育に熱心な理由」を訊いてみました。
世界に誇る日本の教育レガシーとICTの融合を
総務省が3年間取り組んできた「教育クラウドプラットフォームの実証研究事業」は、100年以上続いてきた日本の教育システムを根本から覆す可能性のある、挑戦的な取り組みである。
大上段に「デジタル改革」を掲げたICT活用一辺倒の施策なのかと、御厩課長に訊くと「一番大切なのはアナログとデジタルの融合です」との答え。「これまでに築き上げてきた日本の初等中等教育文化は、世界に誇るレガシーです。体系的な指導要領、質の高い教科書、民間の豊富な図書・教材、現場での熱心な教材研究に基づく指導案や板書計画など、実に素晴らしいもので、大きな成果を上げてきました」と、日本の教育文化を高く評価。
しかし、「豊かなレガシーがあるが故に、変化への対応が遅れた感もあります」と、御厩課長。一部の学校や先生による先進的なICT活用の取組みは見られるものの、普通の学校、普通の教員への普及はなかなか進まないのが現状だ。しかし、御厩課長は「ティッピングポイント(突然急激に変化する時点)は近づいている」と語る。
まず、保護者の意識が高まっている。シンギュラリティ(技術的特異点)で話題になるAI(人工知能)の進化や、IoT、ロボット、ビッグデータなど第4次産業革命の動きについて、一般紙・地方紙やテレビのワイドショーなどでも盛んに取り上げられるようになってきた。自分の子供が将来、職業的に自立して生き抜いていくためには、ICT教育が必要だとの認識が強まっている、と感じているという。
また、保護者や教員を含め、日常生活の中でスマートフォンの所有や、SNSやウェブメール、動画・音楽配信などクラウドサービスの利用が一般化している。ネットが時代を作っていると言える状況が生じ、あらゆるものがネットにつながるIoT時代が到来する中、変化の大波が学校にも押し寄せている。
御厩課長は、「モデル校という一部の港ではなく、すべての学校をICTにより開港すべき時期に来ています。今後10年程度で、教員も世代交代して半分近くが入れ替わります。学校の中心となるデジタルネイティブの若手教員からも、ICT活用への声が高まってくるでしょう。ICT活用で若手教員の経験不足を補うとともに、校務を効率化し、子供とリアルに向き合う時間を増やしていくという視点も重要です」と、「開国」の必要性を指摘する。
そして、「寺子屋を礎として学校教育が全国に普及したように、これまでのアナログ文化の良さを活かしつつ、ICT活用を全国の学校に拡大していきたい」と決意を語る。
なぜ総務省はICT事業を推進するのか
総務省は、情報通信事業いわゆるICTを所管する省庁である。ICTが効果的・効率的に活用される社会の実現や、それを支える人材の育成を使命としている。すべての国民がICTを理解して、恩恵を享受するためには、義務教育段階からの取り組みが不可欠だ。
さらに総務省にとっては、地域の活性化も重要なテーマである。御厩課長は、「ほとんどの地域において、最大の事業所は自治体であり、自治体の中でも教育は最大の部門です。教職員は地方公務員の37%を占めています。地域の中心である学校でICT活用を進めることは、ICTによる地域発展の観点からも重要です」と述べる。
では、学校でのICT活用をどう進めるか。「学校現場は、お金がない、時間がない、ICT活用の知識・経験がない、という無い無いづくしの状況です」と、御厩課長。
このような背景から、3年前に始めたのが「教育クラウドプラットフォーム」の実証事業。この事業では、如何にコストを下げ、手間をかけずに、いつでもどこでもシームレスに、Edtech(エドテク)のものを含む多様なデジタルコンテンツを、教育現場が活用可能な標準システムを確立することがテーマだったという。
▷▷▷ 実証事業の成果と課題とは?プログラミング教育は?次ページに続く
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