2021年6月23日
将来も役立つWindows、高校生1人1台端末の失敗しない選び方
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GIGAスクール構想を受け、また新型コロナウイルスの影響も相まって、整備が加速する教育機関のICT環境整備。1人1台端末の導入が小中学校から順次拡大している中、これからパソコン選定を検討する高校も多いだろう。ICT教育に精通し、GIGAスクール対応端末の検証など自身のブログで発信する兵庫県立神戸甲北高等学校の松本吉生先生に、公立高校の現役教諭の視点から、高校生のパソコン選定におけるポイントを伺った。
着々と進む兵庫県の1人1台端末の導入
―松本先生の担当教科と貴校のICT環境を教えてください。
教科「情報」を受け持っています。本校は総合学科なので普通高校よりは多くの選択科目があり、「情報」は専門科目の「情報」を、また本来なら工業高校で行うようなプログラミング技術の授業も行っています。1年生から3年生まで全16学級で生徒数は約640名、教員数は常勤や非常勤など併せて80名ほどです。
全国的に2000年頃から各学校にコンピュータ教室が作られてきたと思いますが、本校にはコンピュータ教室が2つありWindowsのデスクトップが各41台で計82台。他の多くの学校でもWindows が導入されているはずです。
それとは別に、兵庫県の高校は昨年度に「Surface Go 2」のタブレットが整備されました。本校は3クラス分の123台が導入されています。また、教員用のパソコンが100台ほどあり、本校全体では現在300台以上の端末が稼働しています。全てもちろんWindowsです。
―1人1台端末の導入はどのような予定ですか?
兵庫県は2022年度の新入生から1人1台導入となります。導入方法は各校で任されていて検討が始まっていますが、おそらくは学校が推奨機種を決め、それを各家庭で購入して生徒に持参してもらうBYOD、厳密に言えばBYAD(Bring Your Assigned Device)の方法になると思います。
高校生のためのパソコン選定のポイント
―高校生向けのパソコンはどのような考え方で選ぶと良いでしょうか?
生徒にどのような学びをさせたいのかしっかりイメージを持った機種選定が重要です。たとえば小学校では「調べ学習」が中心ですが、高校ではレポートや論文などより質の高い創作に取り組む必要があります。文章作成には思考を中断することなくキーボードで入力ができないといけませんから、機能性の低いキーボードではミスタッチがあって困るわけです。また、最近の端末はカメラの性能が高くなったと言われますが、表現活動となるとやはり一眼レフやデジタルカメラなどが良質で、端末はそれらのデータを受け取れたり編集できたりするのに十分な対応ができる機能を備えていることが大事ですし、創造的な活動に適していることが必要です。
高校生に端末を持たせる趣旨は単に便利だからではなく「学びが変わる」ということ。受け身の学習ではなく、自ら求めて学習して創り出すことが望まれていて、そうした授業づくりが重要です。今の教育のキーワードである「主体的・対話的で深い学び」を実現する協働学習に使えるパソコンでないといけません。自分が撮った写真を他の生徒に渡して加工したり、レポートやプレゼンテーションのスライド作成ではそれぞれが分担した作業を一緒にまとめたり、USBでコンテンツの交換がお互い簡単にできるといったこともポイントです。
また、忘れてはいけないのが、オンラインでもオフラインでも同じ作業環境で使えるということ。学校ではネットワーク環境が整ってきていますが、家庭にその環境があるとは限りませんし、修学旅行先や校外活動などでも場合によってオフラインで使いたいシーンがあるわけです。オフラインでも同じように作業ができるのも、Windowsだからです。
生徒の「学びの継続性」も重要です。学校にはWindowsが既に揃っているので、生徒が同じ環境で使えることがポイントになります。学校でWord、Excel、PowerPointを使って作業をして、続きを自宅で自分のパソコンで行う時、異なるOSでは多少互換性がある別のアプリケーションを使用する事になると思います。この場合、同一アプリを使用するより機能に制限があったり、せっかくつくった成果物のデザインやレイアウトが崩れてしまったり文字のフォントが変わって1ページからはみ出してしまったり、その手直しをするのに作業が中断され無駄な時間を要してしまいます。他OSでも使えるWeb版のWord、Excel、PowerPointもありますが、アプリ版と比べると機能の制限がありますので、学校の作業の続きがそのままスムーズに出来ない可能性があります。こうしたことを考えるとやはり学校と同じアプリ版のWord、Excel、PowerPoint が使えるWindowsでなければ困りごとが多く起こるのではないかと思います。
―後々困らないために、他にどのようなポイントがあるでしょうか?
小学生であれば持ち運びを考えると軽さが求められるでしょう。私はブログで3機種の重量を比べましたが、高校生にとって500gや700gの重量の違いは問題になりません。それより、確実に操作できるといった堅牢さを優先した機種選びを大切にしたいですね。
また、周辺機器が使えないと不便です。WindowsでないとそもそもUSBに対応していない端末もありますし、いくつかの機種を試したところ、CDドライブやプリンターなどが認識されず、つながらないのも多いです。特にプリンターが使えないのは致命的です。いくらデジタル教科書などが普及してペーパーレスになるといっても、学習においてはプリントアウトして自分の手を動かして書き込むことは絶対になくなりませんから。
それと、先生から生徒にファイルを渡したり、生徒同士でファイルを交換したり、それを集めて一つのフォルダにまとめたり、グループごとにフォルダを分けたり、そうしたファイルのやり取りがこれから増えてくると思いますが、その時にファイルがどこにあるのかわからなくなったり、無くしてしまったりすることが起こるかもしれません。Windowsにはエクスプローラというファイル操作をするための充実した機能が入っていて便利です。グループで共有したり分類したりするのにWindowsは非常に良くできています。
課題に感じるのは、現場の先生自身はこれからICT活用が必要だとわかっているけれども、生徒の活動をなかなかイメージできていないところです。高校の先生は伝統的に「講義」が授業のスタイルで、大抵はパソコンを教室に持っていきプロジェクターで黒板に映して、チョークは使わずに授業をするというイメージだと思います。もちろんそれも間違いではないのですが、生徒が主体的にICTを活用する場面のイメージが湧かないと、パソコン選定を安易に考えてしまいがちで、そこが少し心配に思います。
―高校生の学びは高度になります。また、大学や企業の多くがWindowsを採用している点でもOSの汎用性は注目すると良さそうですね。
そうですね、たとえばプログラミング教育。オンラインでプログラミング体験ができるようなサイトもありますが、プログラミング的思考は実際に自分でプログラムすることで身につきます。すでに小中学校でプログラミング教育は始まっていて、特にこれからは「オブジェクト指向」の考え方が大事になるので、高校生にはそこをしっかりと学んでほしいです。マイクロソフトには「Visual Studio」というプロも使うツールが個人の学習者には無料で提供されていますので、仮のものではなくこうしたしっかりしたツールで本物を体験させたいですね。
先生方にはあまり知られていませんが、Windowsには他にもたくさんのフリーソフトがあります。たとえば、私が授業で使っている「バイナリエディタ」というツールは、Wordや画像といったファイルが、実は全部1と0の文字コードで作られていることが画面で直接見ることができます。ネットワークを監視するといったソフトもあり、こうしたものを使うと生徒たちはコンピュータの仕組みを本で読むだけでなく、体験的に理解することができます。このように本格的なツールを体験する機会がWindowsならあるわけです。画像編集では「Photoshop」を使っています。やはり将来のキャリアにつながる点でも、高校生にはプロのツールを使わせたいですね。
―ICT活用が日常になっていく高校の先生と生徒の皆さんにメッセージをいただけますか?
生徒がスムーズに学べることが大事ですので、あまり奇抜には考えず。Windowsはネットに情報がたくさんありますし、後々先生が困らないよう、学校で普段から使っているノウハウをそのままどこでも使えるようにしておくことをお勧めします。私はマイクロソフト認定教育イノベーター(MIEE)ですが、ICT活用についてはそうした先生方が紹介している実践事例などを参考にしたり、SNSで先生同士つながって意見交換したり、興味がある情報をインプットしていくと良いと思います。
高校生へは、ゲームでもYouTubeでもいいのでコンピュータや情報技術に興味を持ってほしいです。プログラミングもどんどん敷居が低くなってきています。これからは将来どのような仕事においてもコンピュータが必ず役に立ちます。情報技術を持っているかいないかで人の生産性の差は100倍、1000倍、1万倍にもなるでしょう。それほど面白い世界になってきていますので、ぜひ1万倍の仕事ができる人間になってもらいたいですね。
関連URL
高等学校向けPC一覧/マイクロソフトGIGAスクールパッケージ
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